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2017年4月13日木曜日

夜の帳

『夜の帳』というコトバが昔から好きで、なぜ好きかというと、そこに意味などなく、ただ単に”好き”なのだ。

よく『月読』という屋号はどうして名付けたのですか? という質問をお客様や雑誌の取材時にいただく。

便せん上、「夜のカミサマである月読命にあやかって(バーだから)、ご利益がありますことを願って」と答えるのだけれど、本当は名付けた意味なんてなく、ただコトバの響きが好きだっただけなのだ。



それと同じように『夜の帳』というコトバの響きに強く惹かれてしまう。

毎年、春になると店の窓一面に桜の花を見ることができる。もちろん桜の花は好きなのだけど、桜の花が咲くとき、この窓から見える景色の中でいちばんに好きなのは、じつは花ではない。

日没時、薄紅色の花がそこにあることによって、夜の帳が降りてくる様がはっきりと見てとることができて、それがこよなく好きなのだ。

やわらかい春の光に包まれた景色に、夜の帳が降りてくる。誰もが言うように、やはり夜の帳の色は青なのだ。

逢魔が時。一瞬、どこかに連れていかれそうになる、妖しい青。