バーテンダーが初めてのバーに行くと、ほとんどの場合その店のバーテンダーに”同業者”であることがバレてしまう。
…バックバーという言葉を知っているだろうか? バーでカウンターに座るとそこから見える向い側の壁(の棚)にウイスキーなど、多種多様な酒がこれでもか!ってくらいに並んでいる光景、あれがバックバー。
同業者の場合、ドアを開けて入ってくると、まず店全体を眺める。でもそれは一瞬だけで、そのあと視線はずっとバックバーに注視されたままになる。カウンターに座るために椅子を手前に引くときも、腰掛けるときも、とりあえず何かをオーダーするときも、ずっとバックバーを見ている。仮に見ていないときがあったにせよ、意識は常にバックバーだ。この時点でだいたい80%くらいは”ご同業”と判別されてしまう。
ではそこになにを見てるのか?
「あの酒がある!」
「あんな酒も置いてある!」
「おおっ、あんな高級酒が…」
「むうっ、あの酒は見たことないぞ‼︎」
…とか、まあ、そんな感じだろうか。
でもいちはん観るのは全体を通したその人(店)のセンスだと思う。よほど大きな店ならともかく、一般的にバックバーのスペースは限られていて、置ける酒の本数も決まっている。そこにどういった意思やある種の哲学を踏まえて酒をセレクトしているのか?…ということを、たぶんみんな見てるんだと思う。
このとき、たとえば自分が欲しかったのに、どうしても手に入らなかったボトルがそこに並んでいたとしても、そこに少しばかりの羨望があったとしても、それは悲喜こもごもなとても心地の良い刺激であり、自分自身は時間の流れの外にいて、柔らかな空気の中に包まれているようなとても幸せな時間なのだ。
実は昨日、初めてのバーに行った…わけではなく、京都駅の伊勢丹内にあるギャラリースペース”えき”で行われている安西水丸展に行ってきた。
僕はだいたい美術館に行くとひどく疲れてしまう。優れた作品に向き合うと(概ね絵画のことだけど)、そこから発せられるエネルギーみたいなものに正面から対峙しなければならないので、こちらもかなりのエネルギーを消費する。そしてあたりまえだけど、ことごとく打ち負かされてしまうので、出口を抜けるときはもうクタクタなのだ。
だから心身ともに良好なときにしか美術館には行かないし、ヨメに誘われても断ったり、渋々つきあって怪訝な顔をされたりして、最悪の場合は交戦状態となる。w(たぶんよほど不機嫌そうな疲れた顔をしているのだろう)
ところが昨日の安西水丸展はそうはならなかった。それがイラストレーションだったから…ではないと思う。もちろん作品にそれだけの力がなかったから、でもない。
僕にとっては滅多にないことだけど、出口のところまできて、もう一度引き返して最初から観てまわった。(小さなギャラリーを別にして、こんなことはいつ以来だろう!)
2度目の最終コーナーのあたりでさすがに歩き疲れて、設営されていたベンチに腰掛けながら、「多才な人だなあ…」とか、「なんであの作品をみて泣きそうになったんだろう?とくに好きなものではなかったのに…」とか、ぼんやりと考えていた。そしてもう一度遠回しに作品を眺めたとき気がついたんだ。
「あ、バックバーを眺めているみたいだ」
SINCE 2004
京都の繁華街から外れた場所。
ジャズレコード、蓄音機、シーメンスのスピーカー、ビリヤード台、昭和歌謡、古書…シングルモルトをはじめとする蒸留酒とスタンダード・カクテル。
外の世界とは少しだけ時間の流れが違う場所。
詳しくはオフィシャルサイトをご覧下さい
2016年7月1日金曜日
2014年5月30日金曜日
氷の微笑
営業中、お客様の前で氷を割っているとよくこう聞かれる事があります。
「アイスピックで指を突いたりしませんか?」って。
そんな時は決まってこう答えています。
「アイスピックで指を突くようなことがあったら、それはもうバーテンダーを辞めるときですね。かれこれ30年弱この仕事をしてますが、今まで一度もそんなことはないですね」と。
さも当然という風にしれッとね。
… …昨日、やってしまった。
左の人差し指。
ルールの変更をお知らせします。
加齢による衰えのため、ペナルティは累積3回で退場に改正。
当たり前だけど、けっこう痛い。
「アイスピックで指を突いたりしませんか?」って。
そんな時は決まってこう答えています。
「アイスピックで指を突くようなことがあったら、それはもうバーテンダーを辞めるときですね。かれこれ30年弱この仕事をしてますが、今まで一度もそんなことはないですね」と。
さも当然という風にしれッとね。
… …昨日、やってしまった。
左の人差し指。
ルールの変更をお知らせします。
加齢による衰えのため、ペナルティは累積3回で退場に改正。
当たり前だけど、けっこう痛い。
2014年3月20日木曜日
限りなく無力な一滴
アンゴスチュラ・ビターズ
おそらく何処のBarにも必ず置いてあり、にもかかわらず誰にも注意を払ってもらえない地味で知名度の低い酒。ボトルの大きさも15センチくらいとかなり小さめのサイズだ。味は…苦い。
実際、その用途は酒とすら呼べない。
”彼”の仕事の殆んどはマティーニやマンハッタンといったカクテルの香り付け。その制作過程において”一滴”だけ使用される。
元々は健胃剤として調合された薬=薬草酒の一種だ。
Barで悪酔いした時や腹痛の時にチェイサー(ロックやストレートなどアルコール度数の高い酒を飲むときに横に添えられる水又はそのグラスの事)に数滴落として無償で提供される。ただその効能が現在でもあるのかどうかは甚だ怪しいと思われる。おまじない、悪く言えば気休めの一滴に過ぎない。やはりアンゴスチュラ・ビターズはどこまでいっても地味な酒なのだ。
ある日の深夜―――閉店間際に彼女は店に入ってきた。”彼女のお客様”を伴って。彼女は祇園のクラブで働いている、古くからの僕の友人だ。ただし歳は僕よりもかなり若いと彼女の名誉のためには言っておこうか。
童顔でまだ少女の面影を残してはいるものの、年々と化粧は上手くなり、身に付けているものは少しづつ煌びやかになってきている。
何より彼女の”接客態度”が最も時間の経過を感じさせたのかもしれない。
昔、彼女がまだ学生だった頃、月読に来てこんなことを言っていたのが印象に残っている。
「ねえねえマスター、私ね、ヤモリが好きなんですよ。夜に窓から外を眺めているとね、どこからともなくペタペタとヤモリがでてきて羽虫をパクッって食べるんですよー。 ね?! カワイイでしょう? でも先月一人暮らしを始めて引越ししたんで、もうヤモリに会えなくなっちゃったんですよねー」
「それは残念やったねえ…」と僕。
「でもね、昨日の夜、新しい部屋の窓から外を眺めてたら出てきてくれたの、ヤモリが!! ねえ、すごいでしょう!! 私に会いに来てくれたのかなあ…」
そう言って彼女は童顔に輪をかけたようにしてケラケラ笑ったのだった。
―――今夜の彼女はいつになく酔っていた。もとからそんなに酒に強いほうではない。それでもマメに、それでいて強引さを感じさせない程度に”彼女のお客様”に対して、しきりに酒のお代わりを勧めているのはこの店、つまり月読に、ひいては僕に対して少しでも売上を揚げさせてやろうという心遣いなのだろう。ただ、お客様に勧めるということはイコール、自分も飲まなければならないという暗黙のルールがある。
「ねえ、もう一杯飲みましょうか?」
また彼女はお客様に勧める。彼が断る筈も無く、ついに4杯目のオーダーが通った。もちろんここに来る前にも飲んできていることは明白だった。
彼女ひとりだったら、「そんなに無理して飲む必要はないよ」と”友人”として言えただろう。でも今、彼女は”仕事中”なのだ。興醒めしてしまうような野暮なことは言えない。
こんな時、いったいバーテンダーに何が出来るだろう? いや、実際に何も出来はしないのだ。ただ彼女と彼女のお客様が話に夢中になっている間――その隙に作りかけのオンザロックから手を放して、水を足すふりをしながらアンゴスチュラ・ビターズを取り出し、彼女のチェイサーに一滴だけそれを落とす。
それは限りなく無力に等しい一滴に違いない。
思うにBarには華やかなカクテルや高価なウイスキーが無数に存在する。けれどもしバーテンダーの仕事を最も象徴する酒は何かと問われたならば、この無力で地味なアンゴスチュラ・ビターズこそが、もしかしたらそれに相応しいのかも知れない。
無力にも等しい行為を誰にも気づかれることなく行う。けれどもそこに”意味”だけは存在する。
今回も”気づかれず”に終わるはずだった。
ところが僕はついうっかり忘れていた。彼女がとても聡明であり、記憶力がいいことを。
以前、彼女は僕に尋ねた事があったのだ。バックカウンターに置かれている小さく地味なアンゴスチュラ・ビターズを指さして、「あれは何?」って。
あの時、一通りアンゴスチュラ・ビターズの説明をした後、彼女は「へぇー、なんだかヤモリみたいなお酒ですね!!」と言った。
それはアンゴスチュラ・ビターズのサイズが小さいことからの連想だったのか、その存在感になにかしらの共通項を見つけたのかは分からない。
そんなことがあったものだから、彼女がアンゴスチュラ・ビターズ入りのチェイサーを口にしたとき、その一滴に込めたメッセージを彼女はすべて理解したのだろう。それからほどなくして彼女はタクシーを呼んだのだった。
”お客様”を先に乗せて彼女がタクシーに乗り込む際、僕は彼女にだけ聞こえるようにこう言った。
「今度またゆっくりおいで。酒は飲まなくていいから紅茶でも…」
すると彼女は顔を上げて一瞬だけ真顔になり、そのあと少し恥ずかしそうに笑った。その時だけは以前にヤモリの話をした時のような少女の顔だった。
次の日、彼女の二日酔いがどれ程のものだったか?
―――アンゴスチュラ・ビターズが効いたかどうかは未だに聞いてはいない。
おそらく何処のBarにも必ず置いてあり、にもかかわらず誰にも注意を払ってもらえない地味で知名度の低い酒。ボトルの大きさも15センチくらいとかなり小さめのサイズだ。味は…苦い。
実際、その用途は酒とすら呼べない。
”彼”の仕事の殆んどはマティーニやマンハッタンといったカクテルの香り付け。その制作過程において”一滴”だけ使用される。
元々は健胃剤として調合された薬=薬草酒の一種だ。
Barで悪酔いした時や腹痛の時にチェイサー(ロックやストレートなどアルコール度数の高い酒を飲むときに横に添えられる水又はそのグラスの事)に数滴落として無償で提供される。ただその効能が現在でもあるのかどうかは甚だ怪しいと思われる。おまじない、悪く言えば気休めの一滴に過ぎない。やはりアンゴスチュラ・ビターズはどこまでいっても地味な酒なのだ。
ある日の深夜―――閉店間際に彼女は店に入ってきた。”彼女のお客様”を伴って。彼女は祇園のクラブで働いている、古くからの僕の友人だ。ただし歳は僕よりもかなり若いと彼女の名誉のためには言っておこうか。
童顔でまだ少女の面影を残してはいるものの、年々と化粧は上手くなり、身に付けているものは少しづつ煌びやかになってきている。
何より彼女の”接客態度”が最も時間の経過を感じさせたのかもしれない。
昔、彼女がまだ学生だった頃、月読に来てこんなことを言っていたのが印象に残っている。
「ねえねえマスター、私ね、ヤモリが好きなんですよ。夜に窓から外を眺めているとね、どこからともなくペタペタとヤモリがでてきて羽虫をパクッって食べるんですよー。 ね?! カワイイでしょう? でも先月一人暮らしを始めて引越ししたんで、もうヤモリに会えなくなっちゃったんですよねー」
「それは残念やったねえ…」と僕。
「でもね、昨日の夜、新しい部屋の窓から外を眺めてたら出てきてくれたの、ヤモリが!! ねえ、すごいでしょう!! 私に会いに来てくれたのかなあ…」
そう言って彼女は童顔に輪をかけたようにしてケラケラ笑ったのだった。
―――今夜の彼女はいつになく酔っていた。もとからそんなに酒に強いほうではない。それでもマメに、それでいて強引さを感じさせない程度に”彼女のお客様”に対して、しきりに酒のお代わりを勧めているのはこの店、つまり月読に、ひいては僕に対して少しでも売上を揚げさせてやろうという心遣いなのだろう。ただ、お客様に勧めるということはイコール、自分も飲まなければならないという暗黙のルールがある。
「ねえ、もう一杯飲みましょうか?」
また彼女はお客様に勧める。彼が断る筈も無く、ついに4杯目のオーダーが通った。もちろんここに来る前にも飲んできていることは明白だった。
彼女ひとりだったら、「そんなに無理して飲む必要はないよ」と”友人”として言えただろう。でも今、彼女は”仕事中”なのだ。興醒めしてしまうような野暮なことは言えない。
こんな時、いったいバーテンダーに何が出来るだろう? いや、実際に何も出来はしないのだ。ただ彼女と彼女のお客様が話に夢中になっている間――その隙に作りかけのオンザロックから手を放して、水を足すふりをしながらアンゴスチュラ・ビターズを取り出し、彼女のチェイサーに一滴だけそれを落とす。
それは限りなく無力に等しい一滴に違いない。
思うにBarには華やかなカクテルや高価なウイスキーが無数に存在する。けれどもしバーテンダーの仕事を最も象徴する酒は何かと問われたならば、この無力で地味なアンゴスチュラ・ビターズこそが、もしかしたらそれに相応しいのかも知れない。
無力にも等しい行為を誰にも気づかれることなく行う。けれどもそこに”意味”だけは存在する。
今回も”気づかれず”に終わるはずだった。
ところが僕はついうっかり忘れていた。彼女がとても聡明であり、記憶力がいいことを。
以前、彼女は僕に尋ねた事があったのだ。バックカウンターに置かれている小さく地味なアンゴスチュラ・ビターズを指さして、「あれは何?」って。
あの時、一通りアンゴスチュラ・ビターズの説明をした後、彼女は「へぇー、なんだかヤモリみたいなお酒ですね!!」と言った。
それはアンゴスチュラ・ビターズのサイズが小さいことからの連想だったのか、その存在感になにかしらの共通項を見つけたのかは分からない。
そんなことがあったものだから、彼女がアンゴスチュラ・ビターズ入りのチェイサーを口にしたとき、その一滴に込めたメッセージを彼女はすべて理解したのだろう。それからほどなくして彼女はタクシーを呼んだのだった。
”お客様”を先に乗せて彼女がタクシーに乗り込む際、僕は彼女にだけ聞こえるようにこう言った。
「今度またゆっくりおいで。酒は飲まなくていいから紅茶でも…」
すると彼女は顔を上げて一瞬だけ真顔になり、そのあと少し恥ずかしそうに笑った。その時だけは以前にヤモリの話をした時のような少女の顔だった。
次の日、彼女の二日酔いがどれ程のものだったか?
―――アンゴスチュラ・ビターズが効いたかどうかは未だに聞いてはいない。
2013年4月25日木曜日
Colorful Poison For Sale ~綺麗な毒を売り物にして~
★『パンドラの箱』の話は有名ですね。
決して開けてはならない箱をパンドラ(女性)が好奇心に負けて開けてしまう。
すると世界中にありとあらゆる災厄が光のつぶてになって飛び散ってしまい、慌ててパンドラは箱の蓋を閉じますが時すでに遅し。
取り返しのつかないことをしたと落胆するパンドラに箱の中から声が聞こえてきます。
恐る恐るもう一度箱を開けてみると、最後に残っていた希望という光が弱々しく出てきます…
★実はバーテンダーにも決して開けてはならないパンドラの箱が存在します。
カクテルコンテストで優勝し、何冊も酒の本を書いているような有名な人も、そして昨日今日、バーテンダーになった人でも、皆、等しくこのパンドラの箱を持っています。
「…開けてみましょうか?!」
★曰く、バーテンダーは神父のような存在なのだそうです。
自殺しようとする人が最後に行くところは教会かバーなのだそうで、「ご安心ください、バーテンダーは決してお客様を裏切りません、世界中があなたの敵でもバーテンダーだけはあなたの味方です。どうぞこの一杯で元気を取り戻して下さい」
…と、カウンター越しに笑顔で差し出した綺麗なカクテル。
しかしその綺麗な色には発癌性などの健康を害するであろうといわれる着色料や保存料、香料が盛りだくさん。
(主に)リキュールには化学物質がいっぱい入っています。
でも誰もバーテンダーはその危険性を口にすることはありません。
僕が子供の頃、1号、2号などと名前に付くものは仮面ライダーやサンダーバードであって、いずれも大好きであったけれど、赤色1号とか青色2号なんてものは絶対に好きにはなれないし、殆どの人がそう思っているはずなのです。
でも著名なバーテンダーにはスポンサーがつき、それ(リキュール)を使ったカクテルのコンテストがあり、レシピ本を書き、その危険性を口にすることは出来ません。
そもそも、どんなバーテンダーでさえ添加物を含んだリキュールは、存在するすべてのリキュールのうちで多分、99%以上を占め、それを否定して使わないことはカクテルの殆んどを作らないという、自分の存在自身をも否定する事になりかねないのです。
他の食品業界が原点回帰して昔ながらの製法や原料を厳選して作った場合、その”昔ながらのやり方”は味方になってくれるけれども、ことカクテルに至ってはそうはいきません。何故なら昔から色はその殆どが添加物であり、現在、どんどんと市場に出てくる新しいリキュールもまた添加物の使用された酒なのだから、”古き”も”新しき”も味方にはなってはくれません。
★リキュールだけが危ない訳ではなく…
例えば、アメリカ圏で造られる酒=バーボン、ライウイスキー、ウオッカ(実はアメリカでの生産が結構多い)などはすべて遺伝子組み換え原料が使われています。
日本でも、ビール、発泡酒、廉価品の焼酎などは遺伝子組み換え原料が使われていると言われています。
★食の安全が危惧され始め、一部の生産者や販売業者、そして飲食業務店などがより安全なものを提供しようという気運が高まりつつあるのに、バーだけはまったくそこに手つかずのまま今日に至っています。(少なくとも僕の知る限りでは)
そもそも日本人の気質は良くいえば売る側(企業であれ個人であれ)への信頼が強く、それはそれでいいのかもしれないけれど、悪く言えば危機管理がなく”ユルイ”のです。
例えばミスタードーナツなど過去2回も禁止されている添加物を使い営業停止になっているのに未だに多くの人が買って食べているし、有名な焼酎の魔王、これも混入だったか原料の偽装が発覚していた。なのに未だにプレミア価格で取引されています。
一度発覚して社会的制裁を加えられたらもう二度と同じ過ちは犯さないと信じる方が人としては良いのかも知れませんが、以前にモラルを欠いた会社の製品をプレミア価格で余分なお金まで支払って嬉しそうに飲むなどと僕には到底理解しがたいのですが…
★で、自分(Bar月読)はどうするのか?
さて、その方針を決める前に添加物(酒に使われている)がどの程度、危険なのか調べてみました。
…が、その前に、ネットでこの手のことを検索してみると面白いことが分かってきます。
食品添加物について書いている人は大きく分けて次の三通りに分類されます。
① 食品添加物に対して感情的、道徳的、宗教的に拒絶する人
② 化学的論証を用いて一応の安全性は認められるものの、それでも摂取したくない人
③ 捏造された、或いは間違った、誤解された、一見、化学的に見えるようなデータを感情的に嫌悪感を持って否定する人
①②③共に多かれ少なかれ添加物に対しては否定的なのですが、実は③が結構多いのにびっくりです。
③の人はもともとフラットな思考が出来ていなく、添加物=絶対悪という答えが初めから出来ているので、間違ったデータや意識的に捏造された実験などに騙されていたり、固定観念に囚われていて、およそ化学とは無関係な感情論を無理やり”化学的根拠”として書いている人が殆んどです。
例えばこれは当初、僕も誤解していたのですが、天然添加物と人口添加物だとどちらが安全か?
答えはどちらもそれぞれに危険性が憂慮されています。ものによっては天然添加物の方が危険な場合があります。でも③の人はよく「天然だからこちらが安全」という風に言っていたりします。
また、赤い色を付けるのによくコチニールという虫の色素が使われます。カンパリなどの赤色がそうです。
これはこれで実際、化学的に危険性が認められているのですが、③の人は「虫を使って色を付けているのですよ! 化学的に言って不衛生極まりなく危険だ!! 」と”感情的”に言っています。
何が言いたいのか? ③の人を馬鹿にしたい訳ではありません。
この手の問題を考えるとき、決してひとつの意見や書物(例え著名人が書いたものやベストセラーであっても)で判断したり、固定観念をもって足を踏み入れる事のないようにしなけれは、誤る可能性が非常に大きいということです。
★一旦の結論は出たのですが…(ここでは遺伝子組み換え原料については除外)
話を戻しましょう。
僕は②(=化学的論証を用いて安全性は認められるものの、それでも摂取したくない)の人の話にまず着目します。複数の化学に携わる人達の話で、客観性が認められる(と思える)ものです。
そうすると添加物は未知の危険性は残すものの、現状では安全ということになってしまいます。
現時点で憂慮されている危険性も例えば「駅に向かって歩いていくのに、大通りを歩いていくより、交通量の少ない裏道を歩いていった方が安全だ」というような具合に、まず歩いていて交通事故に遭う可能性はごく僅かであり、その上で更に安全を期す…というような差でしか添加物(ここでは酒に使われているものに限りますが)を摂取する、しないに殆んど違いがないのです。実際、添加物が原因で死亡した事例で明確なものはありません。
★こんな風に書くと添加物容認かと思われそうですが、そうではありません。
②の人達もこぞって出来るならば摂取しない方が望ましい(が、別段、摂取したからといって心配はしていない)との方針をお持ちのようです。
それに加えて僕は①(=食品添加物に対して感情的、道徳的に拒絶)の考え方も持ち合わせているので基本的に添加物はNOなのです。
基本概念はふたつあります。
1 自分や身内に飲ませたくないものをお客様に、それもお金を払っていただいてお出しする訳にはいかない。(感情)
2 僅かでも危険が指摘されているものを飲食物として扱っていいのか? (職業的倫理)
★では、添加物を使っていない酒(主にリキュール)だけを使ってBarが出来るか?
1 添加物を使っていない蒸留酒・ワインなどと、無農薬(もしくはそれに類する)フレッシュフルーツのジュースだけで出来るカクテルも幾つかある。
2 数は少ないが無添加のリキュールもある。
3 オーガニックのリキュールは概ね高価であり、例えば無添加の木苺リキュールなどを使ってソーダ割りを作るとすると単純な原価計算上、一杯あたり¥2000のフランボアーズ・ソーダになってしまう!? いったい誰がそんな高い木苺ソーダを飲むか?
4 原材料に危険性のある酒を排除するならビール(EU圏を除く)やバーボンをも取り除かなくてはならない。売るものが圧倒的に減ってしまう。
5許容範囲の原価でまったく新しい無添加カクテルを幾つも作ることは可能であるが、お客様の需要として味ではなく、伝統的なカクテルの、そのネーミングからくるイメージや雰囲気といったものが必要なときはどうするのか? しかもそのケースは往々にしてあるはず。
★以上、幾つかの解決すべき問題は残すものの、『安全な酒だけを使ったBar』として特化した店にすれば何とか出来そうだ。
でも…なんかおかしい… …? ?
何処かで何か大事なことを見落としている気がする…
どうも先のところで触れた③の過ちと同じ臭いがする。
★Barは廃業しなければ…
しばらく考えてとんでもない事実に気がつく。
パンドラは箱からすべての災厄を解き放ったあと、箱の隅に希望という小さな光を見つけるのでしたが、バーのパンドラの箱は最後に絶望的な闇が??
それはーーーーー
主にリキュールに使われている添加物。その危険性は歩いていて交通事故に遭って死亡するような可能性。それでも危険性のある化学物質であることには違いないのだから排除する…
でも、しかし、この考え方でいくと…
実はバーには添加物の何百倍にもおよび危険性のある化学物質が数多く存在します。
その化学物質の名はエチルアルコール。つまりは飲料アルコール全般。
『酒』が、アルコールの方が、添加物よりも格段に人体にリスクのある危険化学物質なのです。
アルコール中毒性、各消化器官、臓器疾患。
アルコールという化学物質は添加物では明らかでない死に繋がる因果関係が明確に証明されています。
人体に危険な化学物質を排除してバーを営業使用とすれば、まずエチルアルコールをなくさないといけなくなってしまいます。
★さあどうする? Bar月読 !!
明日からカフェに転向するのか?!
★箱の奥に希望の光はあるはず。
考え方を変えてみよう。
酒とは何か? バーとはどういった処か?
カクテルを作ることやそのレシピを”処方・処方する”と言います。
これは薬と同じですね。元来、リキュールは薬草を漬け込んだ薬として飲まれていました。今日、その意味はなくなってしまいましたが、精神的な部分を癒すという意味では今でも薬と考えてもよさそうです。
孤独を癒す。悲しみを紛らかす。雰囲気をつくる。心を開く。喜びを噛みしめる。内なる自分を省みる…
これらは酒という特効薬がもたらす効能の一部です。
酒が薬であり、嗜好品であるなら効能の他に副作用というリスクは付き物で、そういったことをすべて踏まえて、バーという日常を忘れた空間で効能を最大限に、リスクを最小限にしてお客様に提供するのがバーテンダーという職業の本質なのでしょう。
もちろんそこにはお客様によっては『酒を一切提供しない』という処方も含まれます。
”誰に”、”何を使って”、”どのくらい”作るのか。そこには”処方”の技術と経験が必要なのです。バーという異空間で酒という綺麗な毒を楽しんでもらうために。
★最後に箱から出てくるもうひとつの光を。
友人やお客様にも飲食物に関して無農薬やオーガニック、無添加など、しっかりとした知識を持っている人達がいます。
彼らにはある共通した”意外なこと”があるのです。
それが何かというと、彼らにこう質問したとします。
「あなたが無農薬や無添加にこだわるのは健康のためですか?」と。
普通、そう思うでしょ?
でも彼らは決まってこう言いますよ。例外なく全員が、です。
「いいえ、その方が美味しいからです!!」と。
何故こんな答えになるのかというと、感情的でなく、先入観や固定観念なく、ちゃんと学んでいるからだと思います。
現時点で公平な目で見た場合、添加物を科学的・化学的にリスクを踏まえて見れば否定できない事実があり、そこを突こうと思うとパラドクスに陥ってしまうことを知っているから。
そしてこれが今回の最大の答えでもあります。
飲食物を”つくる”という時、本当に美味しいものを作り、それを追求していくということは、その向こうに必ず『キレイなもの』『ヤサシイもの』が存在するということなのだと。
PS それにしても、やっぱりこの分野に関しては他の食品業に比べてバーは大幅に意識が遅れていると思いますね。
決して開けてはならない箱をパンドラ(女性)が好奇心に負けて開けてしまう。
すると世界中にありとあらゆる災厄が光のつぶてになって飛び散ってしまい、慌ててパンドラは箱の蓋を閉じますが時すでに遅し。
取り返しのつかないことをしたと落胆するパンドラに箱の中から声が聞こえてきます。
恐る恐るもう一度箱を開けてみると、最後に残っていた希望という光が弱々しく出てきます…
★実はバーテンダーにも決して開けてはならないパンドラの箱が存在します。
カクテルコンテストで優勝し、何冊も酒の本を書いているような有名な人も、そして昨日今日、バーテンダーになった人でも、皆、等しくこのパンドラの箱を持っています。
「…開けてみましょうか?!」
★曰く、バーテンダーは神父のような存在なのだそうです。
自殺しようとする人が最後に行くところは教会かバーなのだそうで、「ご安心ください、バーテンダーは決してお客様を裏切りません、世界中があなたの敵でもバーテンダーだけはあなたの味方です。どうぞこの一杯で元気を取り戻して下さい」
…と、カウンター越しに笑顔で差し出した綺麗なカクテル。
しかしその綺麗な色には発癌性などの健康を害するであろうといわれる着色料や保存料、香料が盛りだくさん。
(主に)リキュールには化学物質がいっぱい入っています。
でも誰もバーテンダーはその危険性を口にすることはありません。
僕が子供の頃、1号、2号などと名前に付くものは仮面ライダーやサンダーバードであって、いずれも大好きであったけれど、赤色1号とか青色2号なんてものは絶対に好きにはなれないし、殆どの人がそう思っているはずなのです。
でも著名なバーテンダーにはスポンサーがつき、それ(リキュール)を使ったカクテルのコンテストがあり、レシピ本を書き、その危険性を口にすることは出来ません。
そもそも、どんなバーテンダーでさえ添加物を含んだリキュールは、存在するすべてのリキュールのうちで多分、99%以上を占め、それを否定して使わないことはカクテルの殆んどを作らないという、自分の存在自身をも否定する事になりかねないのです。
他の食品業界が原点回帰して昔ながらの製法や原料を厳選して作った場合、その”昔ながらのやり方”は味方になってくれるけれども、ことカクテルに至ってはそうはいきません。何故なら昔から色はその殆どが添加物であり、現在、どんどんと市場に出てくる新しいリキュールもまた添加物の使用された酒なのだから、”古き”も”新しき”も味方にはなってはくれません。
★リキュールだけが危ない訳ではなく…
例えば、アメリカ圏で造られる酒=バーボン、ライウイスキー、ウオッカ(実はアメリカでの生産が結構多い)などはすべて遺伝子組み換え原料が使われています。
日本でも、ビール、発泡酒、廉価品の焼酎などは遺伝子組み換え原料が使われていると言われています。
★食の安全が危惧され始め、一部の生産者や販売業者、そして飲食業務店などがより安全なものを提供しようという気運が高まりつつあるのに、バーだけはまったくそこに手つかずのまま今日に至っています。(少なくとも僕の知る限りでは)
そもそも日本人の気質は良くいえば売る側(企業であれ個人であれ)への信頼が強く、それはそれでいいのかもしれないけれど、悪く言えば危機管理がなく”ユルイ”のです。
例えばミスタードーナツなど過去2回も禁止されている添加物を使い営業停止になっているのに未だに多くの人が買って食べているし、有名な焼酎の魔王、これも混入だったか原料の偽装が発覚していた。なのに未だにプレミア価格で取引されています。
一度発覚して社会的制裁を加えられたらもう二度と同じ過ちは犯さないと信じる方が人としては良いのかも知れませんが、以前にモラルを欠いた会社の製品をプレミア価格で余分なお金まで支払って嬉しそうに飲むなどと僕には到底理解しがたいのですが…
★で、自分(Bar月読)はどうするのか?
さて、その方針を決める前に添加物(酒に使われている)がどの程度、危険なのか調べてみました。
…が、その前に、ネットでこの手のことを検索してみると面白いことが分かってきます。
食品添加物について書いている人は大きく分けて次の三通りに分類されます。
① 食品添加物に対して感情的、道徳的、宗教的に拒絶する人
② 化学的論証を用いて一応の安全性は認められるものの、それでも摂取したくない人
③ 捏造された、或いは間違った、誤解された、一見、化学的に見えるようなデータを感情的に嫌悪感を持って否定する人
①②③共に多かれ少なかれ添加物に対しては否定的なのですが、実は③が結構多いのにびっくりです。
③の人はもともとフラットな思考が出来ていなく、添加物=絶対悪という答えが初めから出来ているので、間違ったデータや意識的に捏造された実験などに騙されていたり、固定観念に囚われていて、およそ化学とは無関係な感情論を無理やり”化学的根拠”として書いている人が殆んどです。
例えばこれは当初、僕も誤解していたのですが、天然添加物と人口添加物だとどちらが安全か?
答えはどちらもそれぞれに危険性が憂慮されています。ものによっては天然添加物の方が危険な場合があります。でも③の人はよく「天然だからこちらが安全」という風に言っていたりします。
また、赤い色を付けるのによくコチニールという虫の色素が使われます。カンパリなどの赤色がそうです。
これはこれで実際、化学的に危険性が認められているのですが、③の人は「虫を使って色を付けているのですよ! 化学的に言って不衛生極まりなく危険だ!! 」と”感情的”に言っています。
何が言いたいのか? ③の人を馬鹿にしたい訳ではありません。
この手の問題を考えるとき、決してひとつの意見や書物(例え著名人が書いたものやベストセラーであっても)で判断したり、固定観念をもって足を踏み入れる事のないようにしなけれは、誤る可能性が非常に大きいということです。
★一旦の結論は出たのですが…(ここでは遺伝子組み換え原料については除外)
話を戻しましょう。
僕は②(=化学的論証を用いて安全性は認められるものの、それでも摂取したくない)の人の話にまず着目します。複数の化学に携わる人達の話で、客観性が認められる(と思える)ものです。
そうすると添加物は未知の危険性は残すものの、現状では安全ということになってしまいます。
現時点で憂慮されている危険性も例えば「駅に向かって歩いていくのに、大通りを歩いていくより、交通量の少ない裏道を歩いていった方が安全だ」というような具合に、まず歩いていて交通事故に遭う可能性はごく僅かであり、その上で更に安全を期す…というような差でしか添加物(ここでは酒に使われているものに限りますが)を摂取する、しないに殆んど違いがないのです。実際、添加物が原因で死亡した事例で明確なものはありません。
★こんな風に書くと添加物容認かと思われそうですが、そうではありません。
②の人達もこぞって出来るならば摂取しない方が望ましい(が、別段、摂取したからといって心配はしていない)との方針をお持ちのようです。
それに加えて僕は①(=食品添加物に対して感情的、道徳的に拒絶)の考え方も持ち合わせているので基本的に添加物はNOなのです。
基本概念はふたつあります。
1 自分や身内に飲ませたくないものをお客様に、それもお金を払っていただいてお出しする訳にはいかない。(感情)
2 僅かでも危険が指摘されているものを飲食物として扱っていいのか? (職業的倫理)
★では、添加物を使っていない酒(主にリキュール)だけを使ってBarが出来るか?
1 添加物を使っていない蒸留酒・ワインなどと、無農薬(もしくはそれに類する)フレッシュフルーツのジュースだけで出来るカクテルも幾つかある。
2 数は少ないが無添加のリキュールもある。
3 オーガニックのリキュールは概ね高価であり、例えば無添加の木苺リキュールなどを使ってソーダ割りを作るとすると単純な原価計算上、一杯あたり¥2000のフランボアーズ・ソーダになってしまう!? いったい誰がそんな高い木苺ソーダを飲むか?
4 原材料に危険性のある酒を排除するならビール(EU圏を除く)やバーボンをも取り除かなくてはならない。売るものが圧倒的に減ってしまう。
5許容範囲の原価でまったく新しい無添加カクテルを幾つも作ることは可能であるが、お客様の需要として味ではなく、伝統的なカクテルの、そのネーミングからくるイメージや雰囲気といったものが必要なときはどうするのか? しかもそのケースは往々にしてあるはず。
★以上、幾つかの解決すべき問題は残すものの、『安全な酒だけを使ったBar』として特化した店にすれば何とか出来そうだ。
でも…なんかおかしい… …? ?
何処かで何か大事なことを見落としている気がする…
どうも先のところで触れた③の過ちと同じ臭いがする。
★Barは廃業しなければ…
しばらく考えてとんでもない事実に気がつく。
パンドラは箱からすべての災厄を解き放ったあと、箱の隅に希望という小さな光を見つけるのでしたが、バーのパンドラの箱は最後に絶望的な闇が??
それはーーーーー
主にリキュールに使われている添加物。その危険性は歩いていて交通事故に遭って死亡するような可能性。それでも危険性のある化学物質であることには違いないのだから排除する…
でも、しかし、この考え方でいくと…
実はバーには添加物の何百倍にもおよび危険性のある化学物質が数多く存在します。
その化学物質の名はエチルアルコール。つまりは飲料アルコール全般。
『酒』が、アルコールの方が、添加物よりも格段に人体にリスクのある危険化学物質なのです。
アルコール中毒性、各消化器官、臓器疾患。
アルコールという化学物質は添加物では明らかでない死に繋がる因果関係が明確に証明されています。
人体に危険な化学物質を排除してバーを営業使用とすれば、まずエチルアルコールをなくさないといけなくなってしまいます。
★さあどうする? Bar月読 !!
明日からカフェに転向するのか?!
★箱の奥に希望の光はあるはず。
考え方を変えてみよう。
酒とは何か? バーとはどういった処か?
カクテルを作ることやそのレシピを”処方・処方する”と言います。
これは薬と同じですね。元来、リキュールは薬草を漬け込んだ薬として飲まれていました。今日、その意味はなくなってしまいましたが、精神的な部分を癒すという意味では今でも薬と考えてもよさそうです。
孤独を癒す。悲しみを紛らかす。雰囲気をつくる。心を開く。喜びを噛みしめる。内なる自分を省みる…
これらは酒という特効薬がもたらす効能の一部です。
酒が薬であり、嗜好品であるなら効能の他に副作用というリスクは付き物で、そういったことをすべて踏まえて、バーという日常を忘れた空間で効能を最大限に、リスクを最小限にしてお客様に提供するのがバーテンダーという職業の本質なのでしょう。
もちろんそこにはお客様によっては『酒を一切提供しない』という処方も含まれます。
”誰に”、”何を使って”、”どのくらい”作るのか。そこには”処方”の技術と経験が必要なのです。バーという異空間で酒という綺麗な毒を楽しんでもらうために。
★最後に箱から出てくるもうひとつの光を。
友人やお客様にも飲食物に関して無農薬やオーガニック、無添加など、しっかりとした知識を持っている人達がいます。
彼らにはある共通した”意外なこと”があるのです。
それが何かというと、彼らにこう質問したとします。
「あなたが無農薬や無添加にこだわるのは健康のためですか?」と。
普通、そう思うでしょ?
でも彼らは決まってこう言いますよ。例外なく全員が、です。
「いいえ、その方が美味しいからです!!」と。
何故こんな答えになるのかというと、感情的でなく、先入観や固定観念なく、ちゃんと学んでいるからだと思います。
現時点で公平な目で見た場合、添加物を科学的・化学的にリスクを踏まえて見れば否定できない事実があり、そこを突こうと思うとパラドクスに陥ってしまうことを知っているから。
そしてこれが今回の最大の答えでもあります。
飲食物を”つくる”という時、本当に美味しいものを作り、それを追求していくということは、その向こうに必ず『キレイなもの』『ヤサシイもの』が存在するということなのだと。
PS それにしても、やっぱりこの分野に関しては他の食品業に比べてバーは大幅に意識が遅れていると思いますね。
2013年4月15日月曜日
とあるチャームのご紹介
★”チャーム”ってご存知でしょうか?
いわゆる”つき出し、オツマミ”です。
酒場でドリンクを注文したら小皿にのって自動的に出てくるアレです。(笑)
チャージ料(場所代、席代)の付属品のように考えられているフシも多々ありますが、個人的には全くの別物で、チャームは無料サービス品であるという考え方を持っています。
ただ、サービス品だからといって御座なりにはしたくなく、月読ではチャームに何をお出しするは、かなり意識して選んでいます。
☆注文されたお酒によく合うもの。(味に相乗効果のある組み合わせをマリアージュする、といいます)
☆なるべく添加物の使われていないもの。(全体的な食の安全という意味も勿論、ありますが、複数でご来店のお客様で、その中に妊婦さんがいらっしゃることもあります。ソフトドリンクを注文されてもチャームは付きますので、そういったケースでも躊躇なくお出しできるもの)
☆なるべく他店で使われていない珍しいもの。(小さなサプライズを差し上げたいと思います)
さて、長くなりましたが、色々なチャームを試してきた中で、最近、抜群に気に入っている取合せがあります。
沖縄の伊江島産のラム、サンタマリア(クリスタル)。これは味、そして甘くコクのある香が本家のカリブや南米諸国のラムより素晴らしく、月読ではホワイトラムの主力品に抜擢しました。ラムベースのカクテルなどもこれで作っています。
純粋にサトウキビから造られた秀逸品です。
このサンタマリアに対してチャームは黒糖をまぶして作られたオーガニックの胡桃です。
このまま食べてもとても美味しいのですが、ラムのサトウキビから由来する香に黒糖の仄かな甘さがよくあって素晴らしくマリアージュします。
★商品紹介というのはよくありますが、無料サービス品であるチャームの紹介というのは見たことがないので、少し彼等にもスポットライトを当ててやりたくなった次第です。
2013年3月12日火曜日
『おいしい』の仕組みを考える 終
☆美味しい定義の理想的なレシピ
最後にスタンダードカクテルの中から、もっとも『美味しい定義』に見合ったカクテルをロングドリンク、ショートドリンクから各1種類、ご紹介します。
<スプモーニ>
カンパリ、グレープフルーツ、トニックウォーターの組み合わせ
それぞれに苦味、甘味を持ち、カンパリの弱いアルコール分とトニックに含まれる炭酸の刺激が絶妙に和合。
グレープフルーツのフレッシュな香、炭酸の弾ける音。
完璧な組み合わせの優しいカクテルです。
<マルガリータ>
テキーラ、コアントロー(=オレンジ果皮リキュール)、ライム(またはレモン)
現在のレシピではライムの方がよく使われますが、ここではレモンレシピを採用します。
テキーラ、コアントロー、柑橘にそれぞれ苦味があり、コアントローの甘さ、レモン果汁の酸味、テキーラのアルコール刺激、オレンジ、レモンの風味、あと、Ⅸのページで述べたレモンと甘味の抜群の相性の良さ、それに加えてグラスの縁に付けられた塩。
甘味 酸味 塩味 苦味 うま味、そしてアルコール刺激による辛味を含めて、すべての味の要素を合わせ持つ完璧なレシピのカクテルです。
☆カクテルを考えたり、作ったりするのは恋人を探すのに似ています。
相性の良さ、共通の要素、お互いを高め、引き立る。
でも中々そんな相手は見つからないし、つくれない。
繊細で美しいのだけれど、、ちょっとしたミスや手抜きですぐに壊れてしまうことも。
だからこそ上手くいったときは最高に嬉しいのですけどね。
といったところで、長く続いたこのシリーズを終わりにしたいと思います。
2013年3月8日金曜日
『おいしい』の仕組みを考える Ⅸ
☆オーダーの少ないカクテル、ありそうで無いカクテル
*―――* 太陽の果実と月の果実*―――*
★ジントニック
おそらくはBarで最もよく飲まれるカクテルのひとつです。
でも、どうしてジンなのでしょう?
同じスピリッツにウオッカ、ラム、テキーラとあるのに、その中でもダントツにジントニックの人気は群を抜いています。
答えは簡単。同じ条件下であるひとつだけが抜きん出ている場合、それは『おいしい』からに他ならないのです。もちろん好みはありましょうが、それでも多くの人の総意としてジントニックが他のスピリッツで作る”~トニック”より美味しいと判断した結果の大差なのです。
ここにも『おいしい』の定義は当てはまります。
ジンは他のスピリッツに比べて、香の複雑さがあり、(使っているハーブの種類が多い。ウオッカは0、ラムはサトウキビの香、テキーラは竜舌蘭に由来する香。それに比べてジンはジェニパー、コリアンダー、レモン、ジンジャーなどなど多種)トニックウォーターの苦味、甘味、炭酸の刺激とよく和合するのです。
ジンの次に相性がいいのはテキーラで、ラムはサトウキビの甘い香とトニックの甘さがそれぞれ異質なので、合わさったときにアンバランスな甘さを感じてしまいます。
ジントニックの次に人気があるのはウオッカトニックですが、これは味、香がプレーンに近い分、スイートスポットが小さく、作り手の腕がより要求されます。
★ジンライム
これもジントニックと同様に、たまにウオッカライムの注文があるくらいで、ラムライムやテキーラライムなんてオーダーはありません。カクテルブックにもジントニックやジンライムは載っていても他のものは記載されていません。
ところがジンライムが他のスピリッツよりも群を抜いて美味しいかというと、そうではありません。ここが重要なポイントですが、トニックウォーターと違って、ライムはどのスピリッツとも相性がよく、1+1を2+αにしてくれます。
ライムという果実はBarの中でも特によく使われる柑橘ですが、最も蒸留酒に程良く混ざり、甘さ、酸味、苦味のバランス具合がちょうどいいので、まるで月のように相手に合わせて、味の役割を様々に変え、相手の(お酒の)長所を引き出してくれます。
さて、ここで問題です。カクテルに(レシピ本なんかでも)ジンライムはあってもジンレモンが無いのは何故でしょう?
おそらくBarで「ジンレモンください!!」と注文したらバーテンダーは躊躇なく作ってくれると思います。でも、カクテルの本には載っていないし、バーテンダー自らが率先して作ることはありません。
何故か? 美味しくないからです。レモンそのものの味が好きな人は別ですが、スピリッツにレモンを混ぜると1+1は2に満たなくなってしまうのです。
★バーテンダーは知っていて作らないのか?
バーテンダーが率先してジンレモンを作らないのはそれが美味しくないと知っているからですが、『何故、美味しくないか?』については経験則的、感覚的に解っているという理由が多数なのではないでしょうか?
この”『おいしい』の仕組みを考える”をまとめるにあたって、いちばん大事だったところはここで、”何となく解っている正しいこと”を”ちゃんと理由を解って理解している”に変えることはとても重要だと思うのです
さて、ジンレモン。どうして美味しくないか分かりますか?
とても簡単な答えです。そしてお酒に詳しくなくても分かる理由です。
★レモンの特性
生牡蠣にレモンを搾ります。
何故か? 生臭さを消すためです。
レモンの強い酸味は香を消すのですね。これはお酒の最も大事な要素をなくしてしまうことなのです。だからジンレモンを作るとレモンの香に支配されて、ジンの複雑で繊細な香がなくなってしまうから美味しくはならないのです。
レモン果汁の使い道のひとつは少量だけ、香ではなく、味としての酸味をアクセントに加えるレシピがカクテルにも多くみられます。多く使うと香において危険なのです。例えるなら紫外線のようなものでしょうか。
ただ、レモンの最も優れた特性は他にあります。
それは多量の糖質と混ざると素晴らしく美味しい味に変化するというところです。
(蜂蜜レモンを考えてもらうといいと思います。)
この特性を利用したカクテルのレシピは数多く存在します。
ジンフィス(ジン+レモン+砂糖+ソーダ)
ホワイトレディー(ジン+コアントロー+レモン)
マルガリータ(テキーラ+コアントロー+レモン)
XYZ(ラム+コアントロー+レモン)
バラライカ(ウオッカ+コアントロー+レモン)
サイドカー(ブランデー+コアントロー+レモン)
*コアントローはオレンジ果皮のリキュールでかなり甘口。このスピリッツ+コアントロー、レモンというレシピはカクテルにおいての黄金配合です。
その他、
ニコラシカ(ブランデー+レモンスライス+砂糖)
ウイスキーサワー(ウイスキー+レモン+砂糖)
この強く濃い甘さに対しては、スピリッツに万能であったライムでは太刀打ち出来ないのです。
太陽には太陽の、月には月の相応しい空があるということでしょうか。
*―――* 太陽の果実と月の果実*―――*
★ジントニック
おそらくはBarで最もよく飲まれるカクテルのひとつです。
でも、どうしてジンなのでしょう?
同じスピリッツにウオッカ、ラム、テキーラとあるのに、その中でもダントツにジントニックの人気は群を抜いています。
答えは簡単。同じ条件下であるひとつだけが抜きん出ている場合、それは『おいしい』からに他ならないのです。もちろん好みはありましょうが、それでも多くの人の総意としてジントニックが他のスピリッツで作る”~トニック”より美味しいと判断した結果の大差なのです。
ここにも『おいしい』の定義は当てはまります。
ジンは他のスピリッツに比べて、香の複雑さがあり、(使っているハーブの種類が多い。ウオッカは0、ラムはサトウキビの香、テキーラは竜舌蘭に由来する香。それに比べてジンはジェニパー、コリアンダー、レモン、ジンジャーなどなど多種)トニックウォーターの苦味、甘味、炭酸の刺激とよく和合するのです。
ジンの次に相性がいいのはテキーラで、ラムはサトウキビの甘い香とトニックの甘さがそれぞれ異質なので、合わさったときにアンバランスな甘さを感じてしまいます。
ジントニックの次に人気があるのはウオッカトニックですが、これは味、香がプレーンに近い分、スイートスポットが小さく、作り手の腕がより要求されます。
★ジンライム
これもジントニックと同様に、たまにウオッカライムの注文があるくらいで、ラムライムやテキーラライムなんてオーダーはありません。カクテルブックにもジントニックやジンライムは載っていても他のものは記載されていません。
ところがジンライムが他のスピリッツよりも群を抜いて美味しいかというと、そうではありません。ここが重要なポイントですが、トニックウォーターと違って、ライムはどのスピリッツとも相性がよく、1+1を2+αにしてくれます。
ライムという果実はBarの中でも特によく使われる柑橘ですが、最も蒸留酒に程良く混ざり、甘さ、酸味、苦味のバランス具合がちょうどいいので、まるで月のように相手に合わせて、味の役割を様々に変え、相手の(お酒の)長所を引き出してくれます。
さて、ここで問題です。カクテルに(レシピ本なんかでも)ジンライムはあってもジンレモンが無いのは何故でしょう?
おそらくBarで「ジンレモンください!!」と注文したらバーテンダーは躊躇なく作ってくれると思います。でも、カクテルの本には載っていないし、バーテンダー自らが率先して作ることはありません。
何故か? 美味しくないからです。レモンそのものの味が好きな人は別ですが、スピリッツにレモンを混ぜると1+1は2に満たなくなってしまうのです。
★バーテンダーは知っていて作らないのか?
バーテンダーが率先してジンレモンを作らないのはそれが美味しくないと知っているからですが、『何故、美味しくないか?』については経験則的、感覚的に解っているという理由が多数なのではないでしょうか?
この”『おいしい』の仕組みを考える”をまとめるにあたって、いちばん大事だったところはここで、”何となく解っている正しいこと”を”ちゃんと理由を解って理解している”に変えることはとても重要だと思うのです
さて、ジンレモン。どうして美味しくないか分かりますか?
とても簡単な答えです。そしてお酒に詳しくなくても分かる理由です。
★レモンの特性
生牡蠣にレモンを搾ります。
何故か? 生臭さを消すためです。
レモンの強い酸味は香を消すのですね。これはお酒の最も大事な要素をなくしてしまうことなのです。だからジンレモンを作るとレモンの香に支配されて、ジンの複雑で繊細な香がなくなってしまうから美味しくはならないのです。
レモン果汁の使い道のひとつは少量だけ、香ではなく、味としての酸味をアクセントに加えるレシピがカクテルにも多くみられます。多く使うと香において危険なのです。例えるなら紫外線のようなものでしょうか。
ただ、レモンの最も優れた特性は他にあります。
それは多量の糖質と混ざると素晴らしく美味しい味に変化するというところです。
(蜂蜜レモンを考えてもらうといいと思います。)
この特性を利用したカクテルのレシピは数多く存在します。
ジンフィス(ジン+レモン+砂糖+ソーダ)
ホワイトレディー(ジン+コアントロー+レモン)
マルガリータ(テキーラ+コアントロー+レモン)
XYZ(ラム+コアントロー+レモン)
バラライカ(ウオッカ+コアントロー+レモン)
サイドカー(ブランデー+コアントロー+レモン)
*コアントローはオレンジ果皮のリキュールでかなり甘口。このスピリッツ+コアントロー、レモンというレシピはカクテルにおいての黄金配合です。
その他、
ニコラシカ(ブランデー+レモンスライス+砂糖)
ウイスキーサワー(ウイスキー+レモン+砂糖)
この強く濃い甘さに対しては、スピリッツに万能であったライムでは太刀打ち出来ないのです。
太陽には太陽の、月には月の相応しい空があるということでしょうか。
2013年2月19日火曜日
美味しいハイボールの作り方
『おいしい』の仕組みを考える 番外編
~美味しいハイボールの作り方~ Bar月読スタイル
前回ブログでハイボールについてお話しましたが、自宅などでハイボールを作る時のちょっとしたコツなんかをご紹介したいと思います。
前回のブログでは銘柄はタリスカーというシングルモルトにしましたが、ここでは一般家庭用についてなので、ウイスキーの銘柄は”何でもあり”ということにします。
あと氷ですが、本来なら冷蔵庫の製氷機の氷はあまり美味しくないので、コンビニかなんかで、ブロックアイスを購入するのが望ましいのですが、家で軽く飲むのにそんなに時間や手間もかけてはいられないので、製氷機の氷もあり、ということにします。
まず用意するもの。
ウイスキー 氷 マドラー グラス 炭酸ソーダ 小皿
グラスを冷凍庫で1,2分冷やします。
炭酸はあらかじめ冷蔵庫で冷やしておきます。
完成後、氷が溶けて水っぽくなるのを防ぐことが最大のポイントです。
小皿にウイスキーを少量(ティースプーン1杯くらい)垂らし、冷凍庫で冷やし終えたグラスの縁にそれを塗ります。
ソーダで割ることによって薄まったウイスキーの香を補うためです。
次に氷をグラスに入れます。この時、なるべく大きな氷が望ましいのですが、それは大きいほど表面積の割合が小さくなって溶けにくいという理由がひとつと、グラスの内壁と氷の間に隙間が出来やすいというのが理由です。これについては後述します。
写真上 グラスと氷の間に大きな隙間があり、底が見えているのが分かります。
グラスにウイスキーを注ぎます。量は30ml (お好みで40mlでも60mlでもかまいません)
料理用のメジャーカップでも構いません。
ソーダを入れる前にマドラーでウイスキーをステアして(混ぜて)冷やします。
この時、想像力が大事です。冷えたソーダーと同じくらいの温度になるように”想像して”混ぜます。
同じ温度にウイスキーが冷えたと思ったら(あくまで想像で結構です)、混ぜるのを止めます。
この時、最初にグラスの中に氷を入れた時の様にグラスとの間に隙間を作って、底が見えるような部分を残します。(写真下)
ソーダの入っている瓶(ペットボトル)の内容量をあらかじめ減らしておいて、グラスに注ぎ込む量だけを残しておきます。
比率はウイスキー1に対して3から4です。
清涼感重視なら4倍、濃い味が好みなら3倍です。(2倍でもOK)
先程、ウイスキーの量は30ml入れたので4倍なら120mlです。(僕は1:4が好みです)
空瓶に水を120ml入れてみて、どの高さまでがその量なのか、あらかじめ調べておきます。
写真上の量が120mlなので、この量になるまで別の容器に移して減らしておきます。
その後、グラスにソーダを注ぐのですが、この時、底が見えている部分に向かって”グラスの内壁を滑るように”底に流れていく感じで、なるべく泡が立たないように静かに、それでいて強く、ウイスキーとソーダが混ざり合うように落し入れます。
これは完成した時、炭酸ガスがなるべく抜けないようにするためです。
あらかじめソーダの量を調整しておいたのも、一気に流し入れて、その後、ステア(マドラーで混ること)をしなくて済むようにするためです。
つまりソーダを注ぎ終わったら完成で、その後、マドラーは使わない”ノー・ステア”スタイルなのです。
完成(写真上)
さて、例えば夏の蒸暑い日だとか、使うウイスキーが角などの香が脆弱なタイプの場合、完成したハイボールにレモンピールを施すとより美味しくなります。
レモンの皮を軽く削いで、指で折りたたむように軽く潰すと果皮にある油脂が飛んで、ハイボールに柑橘の爽やかな香が付着します。
真上からすると苦味が付いてしまうので、グラスのやや前方から15cmくらい飛ばすような感覚で行うと上手くいきます。
以上、Bar月読スタイル 美味しいハイボールの作り方でした。
家庭ではソーダの余分な量をあらかじめ他の容器に移し入れる作業は手間なので省いてもらっても構いませんが、その代わり、瓶のどの辺までソーダの量が減ったら120ml(入れたい分の量)を入れたことになるのかを把握しておく必要があります。
★ おさらいポイント ★
① グラスとソーダをよく冷やす。
② 氷を入れ、ウイスキーを注いだらソーダを入れる前に、まず混ぜてウイスキーをソーダの温度になるように冷やす。
③ ソーダを注ぐときは勢い良く、それでいて静かに注ぎ、”ウイスキーとよく混ぜる”ことと”炭酸ソーダーの泡を抜かない”ことの相反する仕事を同時に行う。
では、家庭でもより美味しいお酒を楽しんでください。
(因みにBar月読では配合比率は1:3でお出ししています。)
~美味しいハイボールの作り方~ Bar月読スタイル
前回ブログでハイボールについてお話しましたが、自宅などでハイボールを作る時のちょっとしたコツなんかをご紹介したいと思います。
前回のブログでは銘柄はタリスカーというシングルモルトにしましたが、ここでは一般家庭用についてなので、ウイスキーの銘柄は”何でもあり”ということにします。
あと氷ですが、本来なら冷蔵庫の製氷機の氷はあまり美味しくないので、コンビニかなんかで、ブロックアイスを購入するのが望ましいのですが、家で軽く飲むのにそんなに時間や手間もかけてはいられないので、製氷機の氷もあり、ということにします。
まず用意するもの。
ウイスキー 氷 マドラー グラス 炭酸ソーダ 小皿
グラスを冷凍庫で1,2分冷やします。
炭酸はあらかじめ冷蔵庫で冷やしておきます。
完成後、氷が溶けて水っぽくなるのを防ぐことが最大のポイントです。
小皿にウイスキーを少量(ティースプーン1杯くらい)垂らし、冷凍庫で冷やし終えたグラスの縁にそれを塗ります。
ソーダで割ることによって薄まったウイスキーの香を補うためです。
次に氷をグラスに入れます。この時、なるべく大きな氷が望ましいのですが、それは大きいほど表面積の割合が小さくなって溶けにくいという理由がひとつと、グラスの内壁と氷の間に隙間が出来やすいというのが理由です。これについては後述します。
写真上 グラスと氷の間に大きな隙間があり、底が見えているのが分かります。
グラスにウイスキーを注ぎます。量は30ml (お好みで40mlでも60mlでもかまいません)
料理用のメジャーカップでも構いません。
ソーダを入れる前にマドラーでウイスキーをステアして(混ぜて)冷やします。
この時、想像力が大事です。冷えたソーダーと同じくらいの温度になるように”想像して”混ぜます。
同じ温度にウイスキーが冷えたと思ったら(あくまで想像で結構です)、混ぜるのを止めます。
この時、最初にグラスの中に氷を入れた時の様にグラスとの間に隙間を作って、底が見えるような部分を残します。(写真下)
ソーダの入っている瓶(ペットボトル)の内容量をあらかじめ減らしておいて、グラスに注ぎ込む量だけを残しておきます。
比率はウイスキー1に対して3から4です。
清涼感重視なら4倍、濃い味が好みなら3倍です。(2倍でもOK)
先程、ウイスキーの量は30ml入れたので4倍なら120mlです。(僕は1:4が好みです)
空瓶に水を120ml入れてみて、どの高さまでがその量なのか、あらかじめ調べておきます。
写真上の量が120mlなので、この量になるまで別の容器に移して減らしておきます。
その後、グラスにソーダを注ぐのですが、この時、底が見えている部分に向かって”グラスの内壁を滑るように”底に流れていく感じで、なるべく泡が立たないように静かに、それでいて強く、ウイスキーとソーダが混ざり合うように落し入れます。
これは完成した時、炭酸ガスがなるべく抜けないようにするためです。
あらかじめソーダの量を調整しておいたのも、一気に流し入れて、その後、ステア(マドラーで混ること)をしなくて済むようにするためです。
つまりソーダを注ぎ終わったら完成で、その後、マドラーは使わない”ノー・ステア”スタイルなのです。
完成(写真上)
さて、例えば夏の蒸暑い日だとか、使うウイスキーが角などの香が脆弱なタイプの場合、完成したハイボールにレモンピールを施すとより美味しくなります。
レモンの皮を軽く削いで、指で折りたたむように軽く潰すと果皮にある油脂が飛んで、ハイボールに柑橘の爽やかな香が付着します。
真上からすると苦味が付いてしまうので、グラスのやや前方から15cmくらい飛ばすような感覚で行うと上手くいきます。
以上、Bar月読スタイル 美味しいハイボールの作り方でした。
家庭ではソーダの余分な量をあらかじめ他の容器に移し入れる作業は手間なので省いてもらっても構いませんが、その代わり、瓶のどの辺までソーダの量が減ったら120ml(入れたい分の量)を入れたことになるのかを把握しておく必要があります。
★ おさらいポイント ★
① グラスとソーダをよく冷やす。
② 氷を入れ、ウイスキーを注いだらソーダを入れる前に、まず混ぜてウイスキーをソーダの温度になるように冷やす。
③ ソーダを注ぐときは勢い良く、それでいて静かに注ぎ、”ウイスキーとよく混ぜる”ことと”炭酸ソーダーの泡を抜かない”ことの相反する仕事を同時に行う。
では、家庭でもより美味しいお酒を楽しんでください。
(因みにBar月読では配合比率は1:3でお出ししています。)
2013年2月18日月曜日
『おいしい』の仕組みを考える Ⅷ
☆ 作るのが最も簡単なカクテル
*ーー* 一本の道を照らし出す隠者 *ーー*
★ ハイボールが人気を得た理由…
「♪ ウイスキーがお好きでしょ?」…宣伝広告のヒット、でもそれだけではありません。ハイボールが人気の理由、それは最も簡単に美味しく作れるカクテルのひとつだからです。
(簡単というと語弊があるかもしれません。定義上、スイートスポットが簡単に取りやすい、ということです)
★水とソーダ、大した違いがあるようには思えませんが…
作るのが難しいカクテル”水割り”に比べてハイボールが簡単な訳。
1 清涼感を重視するため、水割りよりも配合割合の幅が大きい
大手酒販メーカーや様々なレシピ本、ネット等で記されている配合割合は次の通り。
水割り ウイスキー 1 × 水 2(~3)
ハイボール ウイスキー 1 × 2(~4)
スイートスポットが広いのが分かります。
2 ソーダには味がある
ソーダには塩味、苦味などの水よりも味の複雑性に富む(定義②)、またその味はウイスキーのそれと同じものが多く、和合性(定義③)が強い。
3 薄まった刺激の代替は泡で補う
ソーダの持つ炭酸ガスの刺激がアルコールを薄めて飲み易くなった分の刺激を補うので、アルコール度数に弱い人ばかりでなく、普段、ウイスキーをストレート、ロック等で飲んでいるような人が、たまに清涼感を求めて飲んでも刺激の物足りなさを感じなくて済む。
4 水の致命的な弱点がソーダにはない
もちろんソーダで割るということはウイスキーをストレートやトゥワイスアップで飲むときよりも香は弱まります。ただ、全ての香が弱くなるわけではないのです。ここがハイボールを作るのが簡単なわりに美味しく飲める最大の秘密なのです。
★ ソーダの最も面白い特徴
ウイスキーには複雑多種な香が混在していて、それがウイスキーの最大の醍醐味でもあります。
では、その多種多様なウイスキーの香の中で、”そのウイスキーの最も特徴的な香”をひとつだけ嗅ぎわけろ、と言われるとかなり難しいはずです。
「虹をみて最も特徴的な色は何か?」というようなものです。
ソーダで割るということはその対象となるウイスキーの香の殆どを抑えてしまいますが、その代わり、どれかひとつだけ、そのウイスキーの最も特徴的な香を突出して引き伸ばす特性があるのです。(個人的見解です)
このソーダによって引き出されたウイスキーの中にある、ひとつの特徴的な香は面白いことにストレートやトゥワイスアップで飲む時に感じるその香よりも、格段に判り易く現れます。
★ソーダには逆説的な利用価値が・・・
この事が何を意味するかといいますと、本来、水割りやハイボールにシングルモルトを使うのは勿体ないというのが定説ですが、(シングルモルトは“強烈な個性の香”を持ったの飲物であり、その楽しみを打ち消す、つまり香を損なう飲み方をするのは勿体ないということです)ソーダで割ることによって起こる、最も特徴的な香の突出性を考えた時、「ソーダ割りにはシングルモルト程、面白い」と言えるのではないでしょうか?
最も特徴的な香を浮き上がらせ、ストレートとハイボール、違う種類のシングルモルトモルト同士を飲み比べるのはとても興味深く、まるでミステリーを読んでいるような楽しさでもあります。
★最も美味しいハイボール
水割りの所では作り方の工夫にこだわりましたが、ハイボールでは作り方は定義上、簡単だと決めつけましたので、”ハイボールに合うもっとも美味しい銘柄”を独断で決めたいと思います。(銘柄は月読に常設してあるスタンダードなシングルモルトからの選択)
ソーダのもつ塩味、苦味の和合性を考えると、ある程度のクセがあり、塩味を感じられる銘柄。それと全体的に薄まる分、骨格の強いウイスキーがベストと考えました。
その結果、選んだのがタリスカーという銘柄。
ハイボールを作ってみて、(配合比は1:3)大当り。
かなり美味しく出来たのでこれでいいかと思ったのですが、とあるBarのスタッフからある残念な情報を聞きました。それは関東の方でタリスカー・ハイボールが流行りつつあるらしいのです。日本の輸入代理店がネットなんかでキャンペーンをして、巷に広がっているみたいです。(詳細は不明)
流行りの”後追い”的なコトはしたくないので、タリスカー以外のウイスキーをもう一度探し直さなければ…と一旦リセット。
ところが、月読にある全種類のスタンダード・モルト(15種)でハイボールを作ってみたのですが、(自分の好みとして)タリスカー以上のハイボールは見当たりませんでした。かなり面白い銘柄も幾つかあったのですが、タリスカーはソーダのもつ『最も特徴的な香を引き出す』という特性にいちばん和合するのです。
その引き出されたタリスカーの香は他のモルトにはみられない、かなり面白いものです。
ウイスキーの香はシトラス、南国フルーツ、白い花、バニラ、チョコレート、コーヒー、ナッツ、シナモン、ヨードなど色々なものに例えられますが、ソーダによって強調して引き出されたタリスカーの香は他のウイスキーには殆んど類を見ない『瓜系フルーツ』、つまりスイカやメロンのようなちょっと青臭い二アンスでした。そしてこの香はハイボールを作って時間が経っても、殆んどその香を損なわずに在るのです。
何度もこのハイボールを作って飲んでいますが飽きないですね、今のところ…。
よって月読版、最も美味しいハイボールは『タリスカー・ハイボール』に決定します。
もう既に流行っているというのがかなりシャクですがね。
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