SINCE 2004
京都の繁華街から外れた場所。
ジャズレコード、蓄音機、シーメンスのスピーカー、ビリヤード台、昭和歌謡、古書…シングルモルトをはじめとする蒸留酒とスタンダード・カクテル。
外の世界とは少しだけ時間の流れが違う場所。
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2014年11月7日金曜日
林檎の香るバーボン
80年代から90年代にかけてのbarシーンを知っている人からすると、最近はあまりバーボンを飲む人口が減ったなという印象は否めない。
ただし、当時に比べてプレミアムなバーボン、つまり少数生産であったり、高品質で上品な、比較的高価な銘柄は随分と多くなった。もちろんそれらは昔からあるスタンダードなバーボンよりも味、品質ともに優れているのだけれど…。
最近、僕個人の好みとしては少々変化があって、昔ながらのスタンダード・バーボンに回帰している。ただしなんでもOKという訳ではなく、ワイルドターキーという銘柄にのみについて。
これは長期熟成の12年物ではなく、もっともスタンダードな8年物に限る。
その理由はオンザロックにして、少し氷が溶け出した頃合いに、ふっとグラスの中から林檎の香りがするから。
50度以上ある強い酒に似合わず、このアップル香を発する不似合いなバランス感にどこか危うい魅力を感じてしまうのだ。林檎の香りに合わすため、最近、ワイルドターキーのオンザロックにシナモンスティックを入れて飲んでいるのだけど、これがとてもいい。
ところで、この酒と合わせて聴くBGMはなんといってもキャノンボール・アダレイのサムシン・エルス、A面の一曲目 ”オータムリーフ”が相応しい。
秋のタイトルでありながら、冬のようでもあり、夏の夜道のようでもある。トラディショナルでありながら攻撃的でもあり、孤高でありながら決して淋しくはない。マイルスデイビスの妖しい魅力とこの酒の危ういバランスが妙にしっくり、心地よい。約5分間、ちょっと変わった秋にトリップする。
ちなみに僕はジャズに詳しい訳ではないのだけれど、このサムシン・エルスに入っているオータムリーフの演奏が全ての知っているジャスの中でいちばん好きだ。ジャズに詳しい人からすると多分、「けっ!」って嘲笑されそうなほど有名どころの曲ではあるのだけどね。(サッカーで言うところの本田、野球で言うところのダルビッシュみたいなものか?)
ただ以前、ジャズバーにいて、あれこれあった結果、自宅にジャスのレコードが1500枚以上ある。
全部聴いたけど、”自分好みの”という感覚で言うと、この曲以上に凄いと思える演奏にはまだ出会えてはいない。
今でもこの曲を聴くとその演奏の後半部分で頬っぺたの後ろの方が痺れるくらい、ヤられてしまう。
ただ、そんな曲に合わす酒がまさかスタンダードのワイルドターキーになるとは今まで想像だにしなかったけど、まあ、所詮そんなものなんだろうな。
マイルスデイビスならなんと言うだろうか?
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