12月28日(月曜日)を持ちまして、2015年度の営業を終了いたしました。
2016年は元日より通常通り(火曜定休)営業いたします。
ご了承の程、宜しくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。
店主 平岩
SINCE 2004
京都の繁華街から外れた場所。
ジャズレコード、蓄音機、シーメンスのスピーカー、ビリヤード台、昭和歌謡、古書…シングルモルトをはじめとする蒸留酒とスタンダード・カクテル。
外の世界とは少しだけ時間の流れが違う場所。
詳しくはオフィシャルサイトをご覧下さい
2015年12月29日火曜日
2015年12月17日木曜日
それでも地球はまわっている
雲ひとつないよく晴れた12月の夕方、僕はサンマを焼いた。
サンマを魚焼きグリルに入れてタイマーをセットする。焼き上がり時間は4分後だ。サンマが焼き上がるまでの4分間の間、僕は魚焼きグリルの前に立ったまま、福山雅治について考えていた。
2、3日前に録画しておいた映画を観たのがそもそものきっかけだ。
ガリレオという東野圭吾原作のミステリーがあって、それを福山雅治がTVシリーズで主演して人気がある。(TVは基本的に競馬中継しか見ないのだが、再放送で昼間に何度か観たことがある)
福山雅治が演じる天才物理学者の湯川(ガリレオ)が、警察に協力して完全犯罪のトリックを究明するという物語で1話完結。
で、人気があるので過去2回、映画化された。僕が最近観た録画は2回目のやつだ。
内容は、湯川が海洋資源かなんかの開発についての説明会に呼ばれていて、地方の寂れた海辺の旅館(民宿?)に宿泊中に殺人事件がおこるというものだ。
今回は謎解きよりも、その旅館に夏休みを利用して遊びに来ている”旅館を営む家族”の親戚の少年とガリレオとの心の交流を中心に物語は進んでいく。
ただ、その映画自体は殆ど関係ない。あるシーンが問題だった。(シナリオ、セリフ等が正確でないかもしれないが、概ね以下の感じで違ってないはず)
旅館での朝、福山雅治はロビーで新聞を読んでいる。そこに旅館の親戚の少年が彼に纏わりついて話しかける。(福山雅治演じる湯川は子供がキライな設定だ、”論理的でないから”という理由で)
しつこく話しかける少年に向かって福山雅治はこう言う。
「僕はいま何をしている?」
…新聞を読んでる、と少年は答える。
「そうだ、わかっているなら邪魔しないでくれ!」と言い放つ。
これだ。
これなんだ。
いつも”僕が”新聞を読んでいるときにこれを言いたいのだ。
…でも言えない。
小説読んでるときも、漫画読んでるときも、DVD観てるときも、競馬のメインレースで馬が走ってるときもコレを言いたい。
「僕はいま何をしている?」
bar月読の店舗スペースで月1で映画の会をやっている。そこで以前、『素晴らしき哉、人生』という名作を観たことがある。長い映画だ。3時間弱くらいだったか…
主人公の辛いエピソードが延々と続き、最後の10分くらいでドラマティックな出来事が起こり、物語は大団円を迎えるのだが、その残り10分に差し掛かったときに彼女は僕に向かって「水をくれ」と言う。信じられるか⁈ なぜ、あと10分が待てないのだ? ここはサハラ砂漠の真ん中じゃないんだ。
最後の10分をちゃんと観られない”素晴らしき哉、人生”なんて、変身しないで怪獣がやっつけられるウルトラマンとか、印籠を失くした黄門様と同じではないか?
「僕はいま何をしている?」
魚焼きグリルはもしかしたら故障しているのかもしれない。煙が少し漏れているのではないか? プラターズの歌声が聞こえてくる。そして涙が溢れそうになる。
福山雅治、君はエライなあ。
言いたいことがちゃんと言えて。
でも君は結婚した。今度はドラマじゃない、現実だ。
「僕はいま何をしている?」
言えるか?
毎朝、吹石一恵にそれをちゃんと言えるか?
「そうだ、わかっているなら邪魔しないでくれ!」
もし言えたら僕は君のファンクラブに入ってもいい。
もし言えなかったら、いや、たぶん言えないだろう。現実とドラマは違うのだ。現実では、なにかをひとつ得たなら、違うなにかをひとつ手放さなければならない。その時は一緒にカラオケにでもいって『家族になろうよ』でも歌おうじゃないか。
「僕はいま何をしている?」
…そう、僕はいまサンマを焼いているのだ。
サンマを魚焼きグリルに入れてタイマーをセットする。焼き上がり時間は4分後だ。サンマが焼き上がるまでの4分間の間、僕は魚焼きグリルの前に立ったまま、福山雅治について考えていた。
2、3日前に録画しておいた映画を観たのがそもそものきっかけだ。
ガリレオという東野圭吾原作のミステリーがあって、それを福山雅治がTVシリーズで主演して人気がある。(TVは基本的に競馬中継しか見ないのだが、再放送で昼間に何度か観たことがある)
福山雅治が演じる天才物理学者の湯川(ガリレオ)が、警察に協力して完全犯罪のトリックを究明するという物語で1話完結。
で、人気があるので過去2回、映画化された。僕が最近観た録画は2回目のやつだ。
内容は、湯川が海洋資源かなんかの開発についての説明会に呼ばれていて、地方の寂れた海辺の旅館(民宿?)に宿泊中に殺人事件がおこるというものだ。
今回は謎解きよりも、その旅館に夏休みを利用して遊びに来ている”旅館を営む家族”の親戚の少年とガリレオとの心の交流を中心に物語は進んでいく。
ただ、その映画自体は殆ど関係ない。あるシーンが問題だった。(シナリオ、セリフ等が正確でないかもしれないが、概ね以下の感じで違ってないはず)
旅館での朝、福山雅治はロビーで新聞を読んでいる。そこに旅館の親戚の少年が彼に纏わりついて話しかける。(福山雅治演じる湯川は子供がキライな設定だ、”論理的でないから”という理由で)
しつこく話しかける少年に向かって福山雅治はこう言う。
「僕はいま何をしている?」
…新聞を読んでる、と少年は答える。
「そうだ、わかっているなら邪魔しないでくれ!」と言い放つ。
これだ。
これなんだ。
いつも”僕が”新聞を読んでいるときにこれを言いたいのだ。
…でも言えない。
小説読んでるときも、漫画読んでるときも、DVD観てるときも、競馬のメインレースで馬が走ってるときもコレを言いたい。
「僕はいま何をしている?」
bar月読の店舗スペースで月1で映画の会をやっている。そこで以前、『素晴らしき哉、人生』という名作を観たことがある。長い映画だ。3時間弱くらいだったか…
主人公の辛いエピソードが延々と続き、最後の10分くらいでドラマティックな出来事が起こり、物語は大団円を迎えるのだが、その残り10分に差し掛かったときに彼女は僕に向かって「水をくれ」と言う。信じられるか⁈ なぜ、あと10分が待てないのだ? ここはサハラ砂漠の真ん中じゃないんだ。
最後の10分をちゃんと観られない”素晴らしき哉、人生”なんて、変身しないで怪獣がやっつけられるウルトラマンとか、印籠を失くした黄門様と同じではないか?
「僕はいま何をしている?」
魚焼きグリルはもしかしたら故障しているのかもしれない。煙が少し漏れているのではないか? プラターズの歌声が聞こえてくる。そして涙が溢れそうになる。
福山雅治、君はエライなあ。
言いたいことがちゃんと言えて。
でも君は結婚した。今度はドラマじゃない、現実だ。
「僕はいま何をしている?」
言えるか?
毎朝、吹石一恵にそれをちゃんと言えるか?
「そうだ、わかっているなら邪魔しないでくれ!」
もし言えたら僕は君のファンクラブに入ってもいい。
もし言えなかったら、いや、たぶん言えないだろう。現実とドラマは違うのだ。現実では、なにかをひとつ得たなら、違うなにかをひとつ手放さなければならない。その時は一緒にカラオケにでもいって『家族になろうよ』でも歌おうじゃないか。
「僕はいま何をしている?」
…そう、僕はいまサンマを焼いているのだ。
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