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2015年12月17日木曜日

それでも地球はまわっている

雲ひとつないよく晴れた12月の夕方、僕はサンマを焼いた。

サンマを魚焼きグリルに入れてタイマーをセットする。焼き上がり時間は4分後だ。サンマが焼き上がるまでの4分間の間、僕は魚焼きグリルの前に立ったまま、福山雅治について考えていた。

2、3日前に録画しておいた映画を観たのがそもそものきっかけだ。

ガリレオという東野圭吾原作のミステリーがあって、それを福山雅治がTVシリーズで主演して人気がある。(TVは基本的に競馬中継しか見ないのだが、再放送で昼間に何度か観たことがある)
福山雅治が演じる天才物理学者の湯川(ガリレオ)が、警察に協力して完全犯罪のトリックを究明するという物語で1話完結。

で、人気があるので過去2回、映画化された。僕が最近観た録画は2回目のやつだ。



内容は、湯川が海洋資源かなんかの開発についての説明会に呼ばれていて、地方の寂れた海辺の旅館(民宿?)に宿泊中に殺人事件がおこるというものだ。

今回は謎解きよりも、その旅館に夏休みを利用して遊びに来ている”旅館を営む家族”の親戚の少年とガリレオとの心の交流を中心に物語は進んでいく。

ただ、その映画自体は殆ど関係ない。あるシーンが問題だった。(シナリオ、セリフ等が正確でないかもしれないが、概ね以下の感じで違ってないはず)

旅館での朝、福山雅治はロビーで新聞を読んでいる。そこに旅館の親戚の少年が彼に纏わりついて話しかける。(福山雅治演じる湯川は子供がキライな設定だ、”論理的でないから”という理由で)
しつこく話しかける少年に向かって福山雅治はこう言う。

「僕はいま何をしている?」

…新聞を読んでる、と少年は答える。

「そうだ、わかっているなら邪魔しないでくれ!」と言い放つ。

これだ。

これなんだ。

いつも”僕が”新聞を読んでいるときにこれを言いたいのだ。

…でも言えない。

小説読んでるときも、漫画読んでるときも、DVD観てるときも、競馬のメインレースで馬が走ってるときもコレを言いたい。

「僕はいま何をしている?」

bar月読の店舗スペースで月1で映画の会をやっている。そこで以前、『素晴らしき哉、人生』という名作を観たことがある。長い映画だ。3時間弱くらいだったか…

主人公の辛いエピソードが延々と続き、最後の10分くらいでドラマティックな出来事が起こり、物語は大団円を迎えるのだが、その残り10分に差し掛かったときに彼女は僕に向かって「水をくれ」と言う。信じられるか⁈ なぜ、あと10分が待てないのだ? ここはサハラ砂漠の真ん中じゃないんだ。

最後の10分をちゃんと観られない”素晴らしき哉、人生”なんて、変身しないで怪獣がやっつけられるウルトラマンとか、印籠を失くした黄門様と同じではないか?

「僕はいま何をしている?」

魚焼きグリルはもしかしたら故障しているのかもしれない。煙が少し漏れているのではないか? プラターズの歌声が聞こえてくる。そして涙が溢れそうになる。

福山雅治、君はエライなあ。

言いたいことがちゃんと言えて。

でも君は結婚した。今度はドラマじゃない、現実だ。

「僕はいま何をしている?」

言えるか?

毎朝、吹石一恵にそれをちゃんと言えるか?

「そうだ、わかっているなら邪魔しないでくれ!」

もし言えたら僕は君のファンクラブに入ってもいい。

もし言えなかったら、いや、たぶん言えないだろう。現実とドラマは違うのだ。現実では、なにかをひとつ得たなら、違うなにかをひとつ手放さなければならない。その時は一緒にカラオケにでもいって『家族になろうよ』でも歌おうじゃないか。

「僕はいま何をしている?」

…そう、僕はいまサンマを焼いているのだ。

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