bar月読に一番近い大通りは店から南に30m程歩いた所を東西に走っている御池通りです。
御池通りには地下街があって、そこは地下鉄と連絡しているわりには人通りはそれ程多くなく、何処にでもあるような寂れた商店街で、名前をゼストといいます。
このゼスト、たまに買い物、つまり月読の仕入れに行く途中の通り道として使うのです。今日も通りました。
地上から地下に降りる階段で会社員風の若い男性が走りながら僕の横を通り過ぎていきました。その時の印象は顔の小さな人だなあ、と。
この小顔さん、僕を追い越して地下街に入った後、飲食店街のコーナーで立ち止まり、何やらメニューを見ていらっしゃる。
きっとお腹が空いていたので早く食べたくて走っていたのだろう…
立ち止まる彼を今度は僕が追い越して、本屋の辺りに来ると、今度は青いカーディガンを肩に羽織ったOLさんか学生さんか微妙な感じの女性が全力疾走でこちらに向かって来て、あっと言う間に僕の横を通り過ぎていく。デートに遅れそうなのか?と思う。
まさかさっきの小顔氏か?
いや、ないな…なんて勝手に思う。
さて、今度また暫くして後ろから勢いのある足音をさせて誰が走ってくる気配がする⁉
すると、鞄を小脇に抱えて僕の左隣を猛スピードで走り抜けて行ったのは先程の小顔氏だった。
食べたいものがなかったのか? と思い様子を見ていると途中の地上出口のコーナーで立ち止まり、数秒躊躇した後、再び地下鉄の駅の方に向かって全力で走り始めた。
その方角は僕の向かっている方向だったので、歩きながら彼の後ろ姿を見ていました。
すると、またしても後ろから僕を勢いよく追い抜いていく走者あり。
なんと、さっき反対側に全力疾走していったブルーカーディガン女子だ‼
どうしたんだ?
何故に今度は反対に?
今日、ゼストでは運動会でもやってるのか? という思いと、やれやれ、元気やなあと感心する思いが入り混じる。
その時、事件発生。
ブルーカーディガン女子が僕を追い越して10m程進んだ時、彼女の鞄からポケットティッシュサイズの何かが落ちた。
ん⁈ ティッシュくらいなら落としても平気か、と思ったそのブツは、シュルシュルというプラスチック特有の軽快な音を立てながら僕の足元まで滑ってき、見ると定期入れでした。
えっ⁈ ん⁈
なんでまたよりに寄って、ここに転がってくるかなあ…
(T ^ T)
前を見ると落とし主は遥か30m先をまだ全力で走ってるし。
頭の中のどこか遠いところで、スタートを告げるピストルの空砲の音が鳴ったような気がした。
謎のゼスト運動会、第三走者は僕だった…
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