小説に出てくる男女の別れのシーン(会話や台詞について)で、特に印象深いものが2つある。
ひとつは作者もタイトルも覚えてはいない。話の内容もイマイチだった気がする。なのにそのシーンだけは覚えているのだから、やはり”よほど気に入った”のだと思う。
たしか大学生くらいの青年が一時、何だったかの店でアルバイトをする。そこには彼よりかなり歳上で物静かなお姉さんが若くして(店を商うにしては)店主をしていた。
二人はお互いに彼氏彼女がいる身であり、なんだかんだありながらラストで青年はアルバイトを辞めて店を出ていく。
この間、二人はプラトニックな関係であり、自分の意思表示は一切、相手に分かるようには現してはいなかった。
別れ際、青年が彼女を見て「さよなら。僕はたぶん、少しだけ貴女の事が好きでした…」という。
彼女はそれを聞いてまっすぐに青年を見つめ返して「さようなら…わたしもきっと少しだけ、貴方の事が好きだったわ」と応える。
これだけなんだけど、この”たぶん、きっと…少しだけ”あなたが、という微妙な機微がとても甘痛い感じで良かったんだなあ。
もうひとつはチャンドラーの長いお別れでマーロウが最後に呟く「サヨナラを言うことは少しの間、死ぬことだ」かな。
この小説も話の内容やプロットよりも会話や台詞が断然優れている類だったけれど…
高校生の時にコレ読んで「カッチョイー! 自分もいつか別れ話のあと、この台詞を言ってみよー」と思ったものだった。
あれから数十年、人生とはままならないものだと身に染みている。サヨナラを”言われて”死ぬ事多数。未だ”言って”死んだことはない…
カクテル ダスヴィダーニャ
(ロシア語でサヨナラの意)
ウオッカとグレープフルーツ、少しのライムとアクセントにサクランボのリキュールを。
ほんのりサクランボの香りが今の季節とマッチングして、飲むには旬も感じることが出来ます。
時間が経てば甘く美味しく思える…そんなサヨナラ、いいですね。
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