★唐突ですが”強い酒”といわれて何を思い出しますか?
ジン?
ウオッカ? それともテキーラ?
アルコール度数が96度もあることで有名なポーランド産のウオッカ、『スピリタス』。
このお酒もすっかり有名になってしまいましたが、今回はアルコール度数の強さの話ではありません。
★林檎を原料にしたブランデー、カルバドスという種類のお酒があります。昨今、Barでも人気のあるお酒ですし、お菓子やケーキの香りづけにも使われたりしますので知っている方も多いことでしょう。
そのカルバドスに『クールドリオン』という銘柄があります。
この『クールドリオン』が語られるとき、絶対に避けては通れない話題があります。
それはこのフランス語のネーミングを英語に直すと『ライオンハート』になるからです。
「獅子の心ですよ・・・・つまり強いお酒なんです!」
と、本当はこういう展開でブログに紹介しようかと思っていたのですが、新聞のニュースをみていると、「ちょっと待てよ!!」と心にブレーキ。
★『クールドリオン』は本来、イギリス国王リチャード一世のニックネーム”ライオンハート・キング”(獅子心王)から来ており、それは彼が王位の間、政治活動よりも十字軍の遠征、イスラム軍との戦争に明け暮れた事からの由来です。もちろん、その名の通り彼は勇猛果敢な王様だったようですが・・・
でも・・・でもなんだかなあ・・・
こんな由来で付いた『ライオンハート』をもとに”強い酒”、”勇ましい酒”と紹介してもいいのだろうか?
取り敢えずは一旦、リセット。
そういえば、『ライオンハート』は酒なんかの名前よりも、もっと有名なものがあるじゃないかっ!
そう、SMAPの歌っていたあの歌です。
ブログネタ、他に思いつかないし、あの歌を引っ張り出してきて、無理やり『クールドリオン』にこじつけようかと画策、歌詞とかその背景の意味を調べました。
ところが!!
う~ん・・・ちょっと違うぞ、これは・・・
皆さんは知っているのでしょうかね、あの歌の歌詞の意味するところ。
『ライオンハート』ってなんか”勇ましく、それでいて優しい”みたいな意味で歌われてるのかと思いきや・・・
*ーー* かい摘んで引用 *ーー*
オス・ライオンは何にも仕事をしませんぜっ!!
子供の世話も一切しません
狩りをするのも、食事を作るのも育児もみんなメス・ライオンさ
オスはなんにもしないんだけど、でも嫁ライオンに身の危険がせまったら生命を賭けて戦うぜ!!
それがオス・ライオンの生まれてきた訳、使命なのさ
子供ライオンよりメス・ライオンが大事さ、オス・ライオンのいちばん大切なのはメス・ライオンだよ、ららら~♪
・・・・とこんな風にいたるところで『ライオンハート』の意味が書かれてあり(最初、冗談だと思って信じられなかったので幾つか検索しました)、ファンだから当然なのかもしれないけれど、「なんて素敵な歌詞♥」的な言葉で大絶賛の嵐。
本当にそれでいいのか? 雌ライオン。
個人的にはどちらの『ライオンハート』の意味にもがっかりしたので、いつか違うカタチで何か思いついたら、『クールドリオン』はちゃんとご紹介することにしましょう。
★ところで、『ライオンハート』の対義語っていえば『チキンハート』(臆病者)ですよね。
このトリについて思い出したことがあるので、『クールドリオン』には関係ないけれど書き留めておこうと思います。
先日、相撲取りの大鵬氏が亡くなりましたが、ニュースを見たとき、何故か(歳のせい?)双葉山と間違えました。その双葉山の有名なエピソードです。
69連勝までしていた横綱の双葉山。大記録70連勝がかかった土俵でかなり格下の相手に負けてしまいます。
ところが双葉山は普段通りに一礼して土俵を去り、彼の友人に電報を打ちました。
「我、未だ木鶏(モッケイ)たりえず」と。
この木鶏の意味は中国の故事から来ています。
闘鶏という、鶏同士を争わして遊ぶゲームがあるのですが、或ところにその軍鶏を育てるのが上手い、名人トレーナがいました。
闘鶏好きの王様が彼に自分の鶏をあずけ、暫くしてからトレーナーに強くなったか尋ねます。
すると敏腕トレーナーは答えます。
「まだまだこの鶏は虚勢を張って威嚇してばかりいます」と。
また暫くして王様は尋ねます。
するとトレーナー氏は答えます。
「まだダメですね。相手の動きが気になってしかたありません」
そしてまた暫く過ぎて王様が尋ねます。
するとトレーナーはこう答えました。
「もう大丈夫です。あなたの鶏はどんな相手を前にしても心動かされることなく、まるで木鶏のようです。この鶏に挑もうとする鶏たちは見ただけで恐れをなして逃げ出してゆくでしょう」
この故事から、強さとは”力”や”技”など身体能力だけではなく、威嚇したり、虚勢を張ってるうちはまだまだニセモノ、木鶏のように動じない心を持ちなさいという教えです。
★この頃、ニュースをみていると嫌でも目につきます。
リチャード一世のようになりたい、どこかの国の総理大臣、
威嚇、虚勢の大好きな元・都知事、
相手の動きが気になって仕方なく、コケコケと鳴きまくるどこかの市長とか。
★木鶏。正式には『木鶏に似たり』というそうです。
本当に強いものは木で出来た鶏の如し。
強さを外に表さず、敵意を見せることはない。
敵意無き者には敵もまた無く、困難苦難を乗り越える最良の方法である・・・ということです。
さて、『ライオンハート』と『チキンハート』、
強いのはどちらでしょう?
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