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2013年1月29日火曜日

『おいしい』の仕組みを考える Ⅱ

☆美味しさの定義(中)

こんな途中から何ですが、今回の内容は全て個人的見解によるもので、なんら客観性や正当性が証明されている訳ではないことを明記しておきますので、宜しくご了承の程、お願い致します。
m(_ _)m

では前回の話に戻ります。

作る人が違う、食材も違う、調理方法も違う。それでも”ある条件を満たし、ある状態になっている”=『美味しい』となる共通定義を設定しようと思います。

こういう場合、よりシンプルな要素の方が分かりやすい筈なので、”美味しい定義”には甘味、酸味、塩味、苦味、旨味、それから辛さ(刺激)を使って、前説の美味しさの定義付けだけでなく、本編のお酒に関する謎解きもしていきたいと思います。ただ”旨味”だけは殆んどないものとして捉えています。というのは、”よくわからない”と言うことと、メインはお酒の話であって、特に蒸留酒において”旨味”は無視して差し支えないと思うからです。(*1)よって『甘味(旨味)』的な概念で捉えて頂くと助かります。

(*1 ラフロイグやラガヴーリンには確かに旨味を感じますが・・・)



★”いい塩梅”とは言うけれど・・・

さて、どこぞのスーパーで鮭の切り身をひと切れ、買ってきます。

焼いて食べるとしますね。
使っていい調味料は塩だけというルールにして、何人かで『焼き鮭を美味しく料理する』というゲームをしたとします。

あまりに焼き方が下手すぎて身がボロボロになるような例外は別とすれば、焼きあがる鮭のパターンは大別して3通りだけになります。即ち、

1 塩が足りなくて味気ない鮭

2 塩加減がちょうどよい、美味しい鮭

3 塩が多すぎて塩辛い鮭

・・・この3通りです。

はい、言いたいことはわかりますよ、② の美味しい鮭の塩加減は個人の好みによって千差万別であり、すべての人に共通して②の状態になっていることはありえない、ということですよね?

その通りです。ただここで言いたいのは、たとえそれが何人いて、すべての人の味覚に個人差があるとしても、”必ずそれぞれにこの3パターンが存在して、それぞれに違う味付けだとしても、必ず何処かに②の状態が存在する”という事実です。

そしてその状態が”美味しい”のはずなのですが、ちょっとお待ちを!!

だからといって、”塩加減”が”美味しい”を決める訳ではないと思っています。何故なら塩を使わない食材、調理法もあり、とくにスイーツ系のものに説明がつかなくなってしまうからです。苺に塩をかけても美味しくはならないですから。


★(殆んど全ての)食材が内包している”美味しい”もの

・・・それは甘味(旨味)です。

例を挙げましょう。

ご飯、豆腐、水、これらが美味しい時、「甘くて美味しい」といいます。
特に水は『甘露』という言葉もありますね。

甘辛い、甘酸っぱい、甘塩っぱいという言葉はよく使いますが、苦酸っぱいとか、塩苦い、苦酸っぱいとは言いません。(もしあったとしても極めて少数)

アルコール度数が96度もあるスピリタスというウオッカでさえ、それを美味しいと飲む人は決まって「甘い」といいます。

味を褒めるのに使う言葉はこれ程に『甘味』が多く、つまり味のベースは常に甘味が主導権を握っているとは言えないでしょうか?

どんな料理でさえ、口の中で噛み続けると最後は必ず甘くなります!!
\(^o^)/



★甘いほど美味しい訳ではない・・・
  (ー_ー)!!

ただ、誤解されては困るのですが『甘い(より甘い程)』=『美味しい』と言う訳ではありません。そうなると羊羹の方がポテトチップスより美味しい・・・ということになりかねませんから。

1、食材には甘さ(旨味)が内包されている、もしくは既に露出している。いづれにせよ、『甘さ』をもっている。(ここでいう『甘さ』は旨味でもあるのですが専門家でない一般人が話すときは『甘味』=『旨味』で簡略化したほうが分かりやすいので、以後、その前提で『甘味』に旨味が含まれていることとします。

2、その食材を調理する目的は内包された、もしくは露出した”甘さ”を『引き出す』 『抑える』 『加える』 『薄める』などして、”もっともバランスの取れた甘さ(旨味)加減にコントロールする”ことにあります。(勿論、料理の目的はそれだけではありませんが)

3、千差万別する個人の味覚に対して、『最もバランス良く甘さ加減がコントロールされた状態』、これが”美味しい”ということです。そのバランスは個々に違うはずですが、より多くの支持を得たバランス点が『一般的に美味しい』ということになります。
(^。^)


羊羹は甘さを砂糖を”加えて”や”塩”で抑えたりしながら甘さを適度な状態にコントロールしているし、ポテトチップスは塩加減においてポテトや油などが内包する甘さを”引き出して”コントロールしています。


”焼き鮭”でも同じことです。
(^。^)y-.。o○

1 塩が足りなくて味気ない鮭
(塩の働きが少なすぎて、肉に内包されている甘さが引き出しきれていない状態)

2 塩加減がちょうどよい、美味しい鮭
(塩が過不足無く、ちょうど肉に内包されている甘さを全部引き出しきった状態)

3 塩が多すぎて塩辛い鮭
(塩が多すぎて、肉の甘さを引き出しきったあとも、余分に働いている状態)



よって美味しさの定義(1)は『料理(食材)のもつ甘さ(旨味)のバランスが最も取れている状態』とします。

異論、反論、山ほどあると思います。
・・・が、ここは黙ってグっと飲み込んで頂きたい。
m(_ _)m

これは本題(お酒の話)に移る前の前提条件なので、「取り敢えず今回だけは、そーゆー事にしといてやろう」という、温かい気持ちで宜しくお願いします。
(T_T)

あと・・・ですね、ご察しのいい方はお気づきだと思いますが、美味しさの定義(1)があるということは(2)もあります。
「まだ続くのかよ・・・」と。しかも前説が・・・
m(_ _)m

スイマセン。次の(2)で終わります。これを終えないことには本題の話に移れないもので・・・
(もう人に読んでもらうためではなく、自分のための”自由研究ノート”みたいになっていますが)


では次回、

『塩をかけて甘さを完璧に引き出した豆腐』
    VS
『秘伝の甘辛ソースをかけて旨みを最大限に引き出したお好み焼き』

この2者ともに100%のポテンシャルを引き出された異なる料理に対して、定義上、美味しさの優劣をつけることが出来るのか?! ・・・という内容です。






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