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2012年5月29日火曜日

飲めない人がお酒を楽しむ2,3の方法

★アルコールを一切受け付けないお客様もたまにいらっしゃいます。それは”お付き合い”であったり、飲めなくても”BARでの時間や雰囲気が好きだから”という理由だったり、様々ですが。

★私はそういった人にこそ、せっかくBARに来ていただいたのだから、お酒を楽しんでほしいと思っています。そしてそれはBAR月読の開店時からの重要なコンセプトのひとつです。

★たとえばノンアルコール・カクテルを楽しむという方法もありますが、あくまでもそれはお酒ではなく、ジュースの類です。BAR月読では”お酒”を楽しんでもらいたいと思っています。


★写真上は”シャルトリューズ・ベール”というハーブのリキュールです。フランスの修道院で代々伝承される薬用酒で、130種類ものハーブが使われています。


★写真上はシャルトリューズの原酒(みたいなもの)でエリクシール・ヴェジタルといいます。貴重な薬草酒で飲めば不老長寿になると言われています。
★71%もあるエリクシールはお酒として”飲む”には実践的ではありません。香りがとてもいいので、水に1,2滴落として楽しむのがいいでしょう。
★さて多少、アルコールに免疫がある人はエリクシールを数滴落とした水を飲んでいただいても構いませんが、アルコールがまったくダメな人も、その不老長寿の香りを楽しんでいただきたいと思います。お酒の楽しみは味だけではなく、香も重要な楽しみ方のひとつなのですから。とくにハーブが好きな方にはお薦めです。
★水に数滴落とすだけなので、BAR月読ではチェイサー(水)としてお出ししています。つまり無料です。(他に何かソフト・ドリンクのご注文は頂きますが)


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★写真上は洋梨で造られた”ブランデーの”ポワール・ウィリアムス”です。ビンの中に洋梨の実が丸ごと入っています。こういった”変わり者ボトル”を見て楽しむというのもひとつの方法ですが、もう少し突っ込んで楽しみましょう!
★P・ウィリアムスはブランデーなので度数が高いのはもちろん、通常のブランデーと違い、樽熟成されてないので辛口です。焼酎やウオッカを想像してもらって差支えありません。
★ではそんなブランデーをどうやって”飲めない人”が楽しむのでしょうか? 答えはやはり”香”にあります。P・ウィリアムスの香は芳醇な洋梨のとてもいい匂いがします。これをジンジャーエールと一緒に飲むのです。★といっても、混ぜる訳ではありませんよ! 洋梨の香を匂って、その後、別のグラスのジンジャーエールを飲むのです。


★写真上のようにジンジャーエールをウイスキーを飲むようにショット・グラスにいれて飲めば雰囲気は高まります。そして小さめのワイン・グラスにほんの少し、P・ウィリアムスを注ぎ、繰り返し飲めば芳香な洋梨の匂いに幻惑されて、あたかもジンジャーエールがリキュールのように感じてしまいます。(香が立つ程度のP・ウィリアムスはジンジャーエールのご注文があればサービスでお出しいたします)


★お酒は”味わう”ことや”酔う”ことだけが楽しみではありません。”香”はとても大切で、お酒の楽しみの半分を占めるといっても言い過ぎではないでしょう。
★たとえ飲めなくても、お酒を楽しむことをあきらめないでほしいと思います。飲めない人でもBAR月読では少なくとも”半分”だけはお酒の楽しみを提供いたします。

★ところでP・ウィリアムスのボトルの中に入っている洋梨の実、どうやってボトルに入れたか分かりますか? こんな話題もまた、BARで飲まずに楽しむひとつなのです。

2012年5月28日月曜日

春の丘陵で悔恨のウイスキーを


★”スプリングバンク  ランドレッツ&キルダキンズ”(写真)は シングル・モルト、スプリングバンクの限定品です。
★原酒をランドレッツ(50リットル)とキルダキンズ (100リットル)の小さな樽で熟成を促すのが特徴で、そうすることによって通常より早く熟成が進み、樽香がより強く残ります。★18世紀の貴族の間で流行した造りのものが再現されました。★濃い香りと味が好きな方にはお薦めです。

★スプリングバンクはスコットランドのキンタイア半島で生産されますが、この地方のモルトを総称して”キャンベルタウン・モルト”といいます。(日本酒でいえば新潟とか仙台の酒というように、その地方で造り方や味に大まかな特徴がみられるので、スコットランドでも地方の総称で括った言い方をします。たとえば”ハイランド・モルト”とか”アイラ・モルト”とかです)
★キャンベルタウン・モルトは現在、2基の蒸留所を残すのみとなっていますが、とりわけスプリングバンク蒸留所はスコットランドに150近くある蒸留所の中で唯一、全生産過程を自社で賄っており、シングルモルト・ファンの間でも非常に評価の高いウイスキーのひとつです。


★スプリングバンクのような優秀な蒸留所があるキャンベルタウン地方が衰退したのは明確な理由があります。★キンタイア半島はスコットランドの南西にあり、アメリカと貿易するのに優れた立地にあります。アメリカが禁酒法の当時、密造酒がまかり通っていました。キャンベルタウンの蒸留所はアメリカに”売れる”のをいいことに粗悪なウイスキーを造り、輸出し続けました。その後、時代が変わると世間から”劣悪な酒の地方”としてだけ認識され、衰退の一途をたどり、良質なものだけが生き残る結果となりました。

★スプリングバンクはそんな歴史を鑑みながら、経営者やモノ造りに携わっている方たちが自らの指針を確かめ、しみじみ味わうのにいいウイスキーかもしれません。もちろん私自身も自戒の念を込めて、です。

恋愛に効くお酒、あります。

★長年、BARなんかで仕事をしていると、それなりに恋愛相談をうけたりします。もっとも恋愛経験の乏しい店主に的確なアドバイスなんか出来るわけもなく、ほとんど役たたずな状態ですが。
★さて何の役にも立たない話より、”プロポーズ”や”愛の告白”にゲン担ぎのできるお酒がありますのでご紹介しましょう。★まずはバーボン・ウイスキーの”フォアローゼス”です。


★このバーボンにフォアローゼスの名前がついたエピソードは結構、有名な話です。★工場を受け継いだ若社長がある舞踏会でダンサーに一目惚れをします。すぐさまプロポーズをするのですがその彼女は「プロポーズをお受けするなら次の舞踏会に薔薇のコサージュをつけて踊ります」と答えたそうです。で、当日。彼女の胸には4つの薔薇をあしらったコサージュがつけられていました。こうした経緯で記念に”フォアローゼス”の名前が命名されたのでした。

★まあ、こんなエピソードからプロポーズや愛の告白の成功祈願にその前夜、このバーボンを飲んでみるのもいいかと思います。因みに写真は良質な完成度の樽からのみ瓶詰めされた”シングル・バレル”タイプのフォアローゼスで、ノーマルのものより少し上等です。きっとこっちの方が御利益があるのでは? と、さり気なく売上UPを目論んでおきます。

★この話は有名なので、いわば”表”のおまじないですが、ついでに”裏”のゲン担ぎをご紹介しておきましょう。★”好きな相手にもう恋人がいる場合。それでもその人を奪いたい!”と、いうときに飲むと効果のあるお酒。(おおっ、黒魔術みたいじゃないか!)



★”アパートの鍵貸します”という映画、観たことあるでしょうか? ジャックレモンが演じる冴えない会社員が出世を図るために上司連中に自分のアパートの部屋を数時間貸し出す(今で言うところのラブホテルですね)ことからおこる恋愛喜劇です。★そのワン・シーンで、彼の部屋を借りた上司の不倫相手が実は彼が想いを寄せる女性だったことを知ってしまいます。そしてアパートを貸している間の時間、彼は酒場でカクテル、”マティーニ”を浴びるように飲み続けるのですが、このシーン、ちょっと仕掛けがしてあります。


★彼はアパートを貸している時間をとても長く感じているのは明白です。その気持ちを画面では一切時計を見せないで、代わりにマティーニ添えられているオリーブのピンを飲み干したあかしに一本ずつ並べていきます。あたかも時計の針のように円形状に。たぶん10本弱はあったと思いますが、大量のジンで作るアルコール度数の強いカクテルの代表格”マティーニ”をこれだけ多く飲めば普通は倒れてしまいますね。★映画は一応、ハッピーエンドで想いを寄せる彼女の気持ちをゲットします。(詳しくは映画を観て下さい。名作です)
★劇中のジャックレモンのように、カクテル・ピンを時計のように円形状に並べるのに成功するまでマティーニを飲み続けることができたなら、横恋慕のお相手を奪うことができるかもしれませんね・・・やっぱり黒魔術みたいですが。

2012年5月22日火曜日

代替の太陽


★京都、宇治に三室戸寺という大きな庭園をもつお寺があります。ここは”花の寺”と呼ばれ四季折々に”ツツジ”、”アジサイ”、”蓮”、”紅葉”と花を目当てに多くの観光客や地元の人が訪れます。

★写真は去年、三室戸寺にアジサイを見にいった時のものですが、上のお茶目な方はこの地が巳年生まれの人のパワースポットだから鎮座されているようです。


★かなり広い庭園に約1万本のアジサイが植えられています。



★今日、2012年5月21日は金環蝕でした。前日まで天気が危ぶまれましたが京都では青空が広がり、神秘的な天体ショーを満喫することができました。
★でも他の地域では天気が悪く、せっかくの金環蝕を観ることができなかった方も多いのでしょうね。本当にお気の毒様です。
★金環蝕の代わりにはとても及びませんが、幾つかの小さな太陽を飾っておきます。
★アジサイ=紫陽花。漢字で表す方が好きです。





2012年5月21日月曜日

日蝕の朝はエスプレッソで目覚めの一杯を


★本日、あと数時間で金環蝕です。さてここに”エクリッセ・エスプレッソ”というお酒があります。有名なカクテル、カルーアミルクに使うコーヒー・リキュールのイタリア版と思ってください。★少し違うのは”エスプレッソ”のリキュールなのでカルーアのコーヒー味より、ちょっとだけ大人味です。★BAR月読ではカルーアミルクのご注文があれば代わりにエクリッセのミルク割りを作らせて頂いております。(因みにカルーアは月読在庫にはありません)

★”エクリッセ”というのはイタリア語で”エクリプス”(日蝕)という意味で、もともとはギリシア語で”力を失う”が語源だそうです。★如何にもイタリア的という感じでセンスよくデザインされた日蝕柄のボトルです。疲れて力を失ったココロとカラダに糖分補給の一杯をお試しください。★普通は冷やしたミルクで割りますが、温めたミルクを使ったホット・ヴァージョンはBAR月読、冬季カクテルの定番でもあります。★もしBAR月読で今回の日蝕の観測会を行うとしたら、ドリンクはこのリキュールを使ったホット・エクリッセ・ミルク”で朝の冷気を和らげながら楽しんだと思いますが・・・絵に描いた餅ですね。


★さて、京都はあいにく曇り空のようですがどうなることでしょう? 神秘的で楽しい時間をお過ごしください。

2012年5月14日月曜日

望郷の酒は夜店の味


★風にのってどこからか列車が走る線路の音が聞こえてくることがあります。汽笛の響きや線路の音、それから駅そのものが何かしら旅愁を感じさせてくれますね。
★子供の頃、私にとって汽車に乗ることはイコール、”田舎に行く”ということでした。生後2年間、母方の祖父母のもとに預けられていたこともあって、田舎の景色こそが自分の”原風景”の大部分を占めています。★バス停の隣のガソリンスタンドのオイルのニオイ。竹林のざわめき。役場のサイレンの音。駄菓子屋の当て物、買わずに見ているだけのプラモデル屋。縁側の火鉢の蓮の花。夜中にトイレに起きたとき、決まって鳴り出す意地悪な柱時計。蛍取り、そして夏祭り。



★宅地開発が進み昔の景色はもう殆ど面影を残しておらず、なにより両方の祖父母も他界してしまって、もう帰るべき田舎はなくなりました。ただひとつ、夏祭りだけは昔の風情のままです。毎年、NHKがニュースで放送するくらいの大きな行事ですから、これからもそんなに変わることはないのでしょう。★夏祭りでは貰ったお小遣いの分は夜店で何を買っても自由でしたが、あるものだけはいつも苦い顔をされたものでした・・・



★最近、BAR月読ではとくにアルコールに弱いお客様にお薦めしているお酒があります。★ポモー・ド・ノルマンディー (シャトー・ド・ブルイユ)という、とても覚えにくい名前のブランデーとリキュールの間の子です。
★カルバドスという林檎で造ったブランデーがあるのですが、このお酒はカルバドスに原料の林檎ジュースをブレンドして度数をワイン程度まで下げてから樽熟成をするため、アルコールに弱い人でもストレートやロックで美味しく飲めます。林檎の香りが鮮烈で爽やかな甘味も感じますが、ブランデーの風味もしっかり残っているので、飲み慣れた方にも食前酒や食後酒などに最適です。

★このポモー・ド・ノルマンディーを飲むと、何か不思議に懐かしい感じがします。それが何故だかずっと解らなかったのですが、久しぶりに今日、風にのって電車が走る線路の”カタンコトン、カタンコトン”という音が聞こえたとき、急に思い出しました。★夏祭りの夜店。いつも最後まで食べ切らずに”中身”だけ残して、両親に小言を言われていた林檎飴の味です。

★ ♪ 線路は続くよ、何処までも ♫ という歌があります。祖父母が亡くなり、住んでいた家もなく、もう汽車に乗っても線路は田舎には続いていないのだと思うと、つい風が吹くと線路の音を探してしまいます。

2012年5月6日日曜日

海のウイスキー


★ラフロイグというシングル・モルトウイスキーがあります。よくお客様に「一番好きなウイスキーは何?」と聞かれますが、その時の気分によって違ったり、香りのタイプが様々なので”一番好き”を答えるのは難しいですね。

★ただ「一番やさしいウイスキーはラフロイグだと思います」というと、このウイスキーを飲んだことのある方はたいてい怪訝な表情をされます。それはラフロイグというウイスキーがスコットランドのアイラ島という小さな島で造られる強烈な個性をもつウイスキーで、人によっては”ノド薬”だというような、”普通では考えられないような味と香り”がするからです。

★ラフロイグだけでなくアイラ島で作られるウイスキーの多くは(例外もあります)このノド薬のような”ヨード香”が特徴で、総称として”アイラ・モルト”と呼ばれています。(ヨード香とは、ウイスキーを造る過程や熟成の間に染み付く、自然環境がもたらす海の香りです)

★このアイラ・モルト、10人中9人は大嫌いで残り1人は大好きというかなり特殊なウイスキーですから、おそらく一般的には”優しくない”ウイスキーなはずですよね…



★話は少し飛びます。学生の頃、映画『グラン・ブルー』を観ました。この映画、僕はオープニング・シーンが大好きなのです。

★主人公の幼少時代。防波堤の上で主人公の気弱な少年(ジャン マルク バール)が浅瀬の水底にキラキラ光るコインを見つけます。そこにはガキ大将(ジャンレノ)率いる数人が居合わせていて、彼にコインを横取りされてしまいます。それを見ていた神父が自分の袂からコインを取り出し、こっそり海に投げ入れ、”あそこにもあるよ”と教えてやるのです。

★何気ない光景のシーンです。でも画面に溢れる陽の光と穏やかな翠色の海の様子がとても絵画的で、このシーンだけでちょっとしたショート・ムービーのようです。

★グラン・ブルーは実在したダイバーの物語ですが、映画の結末は当時学生だった僕には複雑でした。ストーリーの詳しくはここでは控えますが、ラスト、主人公は身ごもった恋人の静止を振り切って暗い海に深く潜っていき、そこにイルカが迎えにきて終わります。

★映画冒頭の穏やかで美しく希望の溢れる海と、エンディングの生命も簡単に飲み込んでしまい、何事もなかったように無に帰する無慈悲な包容力をもった暗く深い海。どちらもあわせて”海の優しさ”なのですね。

★ラフロイグは”優しさ”の本質を考えさせてくれます。分りやすいものだけが”優しい”ことではないし、それを理解するには”優しさを受け取る側”の資質も問われるのだと思うからです。

★海の香りのするラフロイグ、このウイスキーは何気なくただ飲んでいると、もしかしたらグランブルーのエンディングのような、暗く深い海の厳しさだけを感じてしまうのかも知れません。でも僕はこのウイスキーを飲むとき、その水底に神父の投げ入れたコインを確かに見つけるこどができるような気がするのです。




2012年5月3日木曜日

氷の世界

★BARの必需品、氷。もとの形や大きさ、知っていますか?
こんなものです。(写真↓)


★単位を一貫目、二貫目といい、写真は二貫分です。これを使いやすい大きさに割っていくのですが、包丁を使うことが多いです。意外でしょ? ”切る”というよりは線上に叩いて割るという感じです。
★店によって様々ですが月読では一貫を四等分して、豆腐一丁より少し大きいくらいに切り割します。下の写真はそれをさらに半分にカット。


★この大きさが蒲鉾より少し大きいくらいです。普通はそれを更に水割りやロック・グラスに使える大きさに割るのですが、月読では一旦、ここで終わって冷凍庫に収納します。


★あとは営業中にお客様にドリンクの注文を受けてからグラスの大きさにに合わせて割ります。(この時はアイスピックを使います)
★最初からすぐに使えるように割っていてもいいのですが、お客様の目の前で割っていると話題になることもあり、喜んでいただけることも多くあります。忙しい店では時間的に余裕がありませんが、暇な店ならではのサービスです・・・って、ないよ。そんなサービス。