★ギャラリーに向かう道すがら、商店街を抜けるとそこは猿沢池があり向こう岸に興福寺の5重塔が見えます。
★この猿沢池には七不思議があるのです。(以下、Wikipediaより抜粋)
1 澄まず
2 濁らず
3 出ず
4 入らず
5 蛙はわかず
6 藻は生えず
7 魚が七分に水三分
猿沢池の水は、決して澄むことなくまたひどく濁ることもない。水が流入する川はなくまた流出する川もないのに、常に一定の水量を保っている。亀はたくさんいるが、なぜか蛙はいない。なぜか藻も生えない。毎年多くの魚が放たれているので増えるいっぽうであるにもかかわらず、魚であふれる様子がない。水より魚の方が多くてもおかしくないような池。
その他、
★泳ぐ亀を見ながら暫く休憩し目的のギャラリーに向かって猿沢池を後にしたのですが、この時まだ私たちには分かっていませんでした。この後、この地に来たことを痛烈に後悔することになるとは。
★この辺は路地が多く、至るところが細く繋がっています。猫も多く見かけます。元来、二人とも裏路地散歩が好きなので勿論、表通りではなく路地に躊躇なく進んでいきます。
★少し雲がかかってきたのでしょうか、さっきよりは大分と暗くなってきたように思えます。やはり梅雨はあけてはいないようです。
★奈良に限らす路地を散歩していると不思議な気分にさせられます。”そこ”を通り抜けるとどこか異界に繋がっているような怪しい、けれどもそこを通り抜けずには居られないような不思議な感覚。まるで路地の向こうの突き当たりの角から見えない誰かが手招きをしているようです。
★路地裏の空間にはいろいろな店が点在しています。途中、私たちが吸い込まれるようにして入った店には不思議なものが天井から吊るされていました。『涙の結晶』、『金平糖の化石』、『薄笑いの道化師』、『木の絡繰人形』、『凍った動物』、そして『錬金の茸』。
★この店は2階にあり廊下は屋根を伝ってくる野良猫の通り道になっています。風がよく吹き抜け、その時には店内に吊るされているモノ達が一斉に異界の音楽を奏ではじめます。音に魅せられた私はその中から一本の茸を選んで持って帰ることにしました。月読の軒に吊るすつもりでいます。
★さて気まぐれに立ち寄った店を出て、路地裏散策をしているつもりがいよいよ方向があやふやになってきました。ふと立ち止まって立て札をみるとそこには”鬼”の伝承が。
~不審ヶ辻子町(ふしんがづしちょう)~
その昔、夜になると元興寺の鐘楼に鬼が現れ、人に危害を加えるので、道場というお坊さんがこれを退治しようと争い、逃げる鬼の後を追ったが、このあたりで見失ってしまったところから、不審ヶ辻子と呼ぶようになった。
★つまりこの辺にはまだ鬼が潜んでいるかもしれないということです・・・ ♪ 「鬼さんこちら、手の鳴る方へ ♫ 」 ・・・
★辺はもうすでに暗く、昼と夜の境目の”魔の刻”です。果たして私たちは異界にいるのやら現実世界の迷子やら・・・かなり歩き回ったので足腰にも疲れが感じられます。まだこれからギャラリーを観覧し、来た道をもどって京都に帰らねばなりません。
★どうしたものかと思案していると、さっき買った金属の”茸”がしまい込んだ鞄の中で『カラン・・』と音を鳴らしたような気がしました。ふと向こうを見ると探していたギャラリーがそこに。
★這う這うの体でやっと目的のギャラリーにたどり着くと、そこには更に恐ろしい札が貼りつけてあるのが分かり、二人とも顔から血の気が引くのを感じました。
・・・入口のドアには凍りつくような字でこう書かれてありました。「本日は定休日」
★疲れた足取りで肩を落として京都に帰り、家の手前で缶ビールを買うためにコンビニに寄りました。仕事柄か単に興味本位かは分かりませんが、ビールを買うときは知らない銘柄のものを試し飲みするようにしています。この日もエビスビールを一本選んだあと、隅っこに並べてあった見慣れないビールを手に取ってみると・・・そこには鬼が。
★そういえば猿沢池はインドに由来しているのでしたが、不審ヶ辻子町の鬼はインドから流れてきた青鬼であることが判明しました。
★京都に帰って安心したのも束の間、まだ異界から抜け出したわけではなかったようです。
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