★毎年、京都の夏の催しとして”五条坂の陶器まつり”があります。以前はこの場所のすぐ近くに住んでいたので身近な行事だったのですが、引っ越してからは足が遠のいていました。今年はちょうど月読の定休日にあたったので初めて夜の時間帯に繰り出すことにしました。
★祇園祭の宵山など、祭りの夜店というものに興味がなくなったのはいつの頃だったでしょうか? 夜の陶器まつりはなんとなく『大人の夜店』という趣で楽しめました。
★さて、祭りで何が好きかといいますと、そこから帰るときのなんともいえない寂しさが好きなのです。俗にいう『祭りのあとの寂しさ』ですね。これは幼い子供の頃からそうでした。祭りの輪から離れて家路につく道すがら、祭囃子がだんだんと小さくなっていくあの感じです。
★大人になってあまり祭り(夜店)に行くことはなくなりましたが、ジャズのレコードをかけるとき、テナー・サックスの音を聞くと不思議に”祭のあとの寂しさ”や”遠ざかる祭囃子”を感じてしまいます。とくにそれが顕著なのはベン・ウェブスターの『ダニーボーイ』という曲がそうです。
彼の吹くダニーボーイは微かにベース音がしますが、ほぼサックスの音色だけでダニーボーイを奏でているので私の耳にはとても心地よく、大好きなジャズ・ナンバーのひとつです。
★”陶器まつり”の帰り道、当然”祭り”といえど祭囃子があるわけでなく、遠ざかる灯を目にしながら『ダニーボーイ』を思い出したのですが、今年はちょっとそれが耳に聞こえてくるのが嫌な気持ちになっていました。何故だか分かりません。思うに”祭りのあとの寂しさ”=”夏の終わり”で自分の年齢を省みて”若さへの未練”みたいなものが出てきたのかもしれません。(笑)
♫ 「・・・すがるように絡みつく ダニーボーイに耳をふさいで』 ♪
★10代の頃、よく聞いていた曲の歌詞にこんなフレーズがあったのを思い出し、久しぶりに聞いてみたくなりました。不思議ですが10代の頃に覚えた歌詞って絶対に忘れませんね。今では好きな曲のタイトルや歌手の名前すら覚えることすら出来なくなりました。
やっぱり若さか。
ああ、人生の夏が遠ざかってゆく・・・
★最後に『祭りのあと』(”人生の”ではありません、念のため)に似合うお酒をひとつご紹介します。
~吟香露~
純米大吟醸と純米吟醸酒の酒粕から造られた焼酎です。焼酎とは思えない吟醸香が素晴らしく、優雅だけれど消え入りそうな切なさを醸し出すお酒です。
★焼酎党だけでなく日本酒党にもお薦めの一本です。五山の送り火の後なんかにはいいと思いますよ。
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