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2015年6月5日金曜日

祭りばやしが聞こえる

ジンフィズ。

このカクテル、僕は作るのも飲むのも大好きな飲み物のひとつなのだけど、最近では注文を受けることは少なくなった。

ただし作るにあたっては、けっこう手間のかかるカクテルではある。

今夜、bar月読は珍しく忙しかった。”いつ来ても空いている”が売りの寂れたバーの木曜日の夜なのに…

ジンフィズが四つ出た。
月読、始まって以来の一夜にして4杯のジンフィズだ。

と、同時にモヒートが3つにソルティドッグにジントニックにブラッディシーザー2つにカルアミルクが4つ。あとシャルトリューズトニック3つに…ええっと、あと何だっけ?
途中でお一人様がもう2人を迎えに行ったから乾杯に合わすには…えーっと、彼女の注文は何だったかな?
それはまだ作っては温くなるのでダメだし、後回し…ああ、ミントが足りない‼︎

とにかく木曜日の夜だからヒマだろうと余裕こいて過ごしていたら北島三郎が5人くらい入って来て一斉に祭を輪唱で歌い出したような、そんな夜になった。

昔ならこういうシュチュエーションは大好きで、頭で考える前に身体がパッパッと反応してスムーズに仕事がこなせたのに、今はもうダメだね、頭も身体もモタモタして全然ついて行かない。

「悲しいけどコレ、年齢なんだよね…」

衰えは隠しきれない、衰戦士…(575)

あ、歳がいってもひとつだけは発達してるな、”口”とか”言い訳”とか?

…全然ダメじゃん。


2015年6月4日木曜日

ステキな恋の別れ方

小説に出てくる男女の別れのシーン(会話や台詞について)で、特に印象深いものが2つある。

ひとつは作者もタイトルも覚えてはいない。話の内容もイマイチだった気がする。なのにそのシーンだけは覚えているのだから、やはり”よほど気に入った”のだと思う。

たしか大学生くらいの青年が一時、何だったかの店でアルバイトをする。そこには彼よりかなり歳上で物静かなお姉さんが若くして(店を商うにしては)店主をしていた。

二人はお互いに彼氏彼女がいる身であり、なんだかんだありながらラストで青年はアルバイトを辞めて店を出ていく。

この間、二人はプラトニックな関係であり、自分の意思表示は一切、相手に分かるようには現してはいなかった。

別れ際、青年が彼女を見て「さよなら。僕はたぶん、少しだけ貴女の事が好きでした…」という。
彼女はそれを聞いてまっすぐに青年を見つめ返して「さようなら…わたしもきっと少しだけ、貴方の事が好きだったわ」と応える。

これだけなんだけど、この”たぶん、きっと…少しだけ”あなたが、という微妙な機微がとても甘痛い感じで良かったんだなあ。

もうひとつはチャンドラーの長いお別れでマーロウが最後に呟く「サヨナラを言うことは少しの間、死ぬことだ」かな。

この小説も話の内容やプロットよりも会話や台詞が断然優れている類だったけれど…
高校生の時にコレ読んで「カッチョイー! 自分もいつか別れ話のあと、この台詞を言ってみよー」と思ったものだった。

あれから数十年、人生とはままならないものだと身に染みている。サヨナラを”言われて”死ぬ事多数。未だ”言って”死んだことはない…



カクテル ダスヴィダーニャ
(ロシア語でサヨナラの意)

ウオッカとグレープフルーツ、少しのライムとアクセントにサクランボのリキュールを。
ほんのりサクランボの香りが今の季節とマッチングして、飲むには旬も感じることが出来ます。

時間が経てば甘く美味しく思える…そんなサヨナラ、いいですね。