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2012年9月28日金曜日

古い辞典の秘密


★月読には『誕生日辞典』という性格分析(占い)の本が置いてあります。本の内容は365日の各誕生日を見開き1ページにわたって性格が詳しく書かれています。著者が精神科医で患者を診てデータを取った統計学と占星術をミックスしたものらしいです。

★書かれている性格分析の内容が当っているかどうかはともかく、多くのお客様が手に取って楽しまれています。こういった種類の本は個人で持っているより、多くの人が集まる場所に置いていたほうが有効活用できますよね。

★実はこの『誕生日辞典』、お客様に楽しんでいただく目的の他に、もともとはある重要な役割を担うために購入したものなのです。本来は秘密事項なのですが、ネタばらしをしましょうか。(笑)


★その役割とは、こちらから聞くことなく”お客様の誕生日を知ることができる”ということで、これはとても重要なのです。お客様の誕生日を知っていればお祝いの言葉をかけることができたり、ちょっとしたサービスもできますから。まさかこちらから逐一、お客様に誕生日を聞いて回るわけにもいきませんからね! (笑)

★さて、この『誕生日辞典』ともうひとつの古株本である『モルトウイスキー大全』、この二冊は月読以前の店からお客様にも長く楽しんできていただいたので、表紙がかなり手垢で煤けてきており、所々に破損もみられます。

★でも、辞典とか辞書の類は古くなれば古くなるほどに何故だか値打ちがある貴重なものに思えてきてしまいます・・・学生時代の辞書は新品のようなままで卒業を向かえましたが。(笑)

★”愛着”というものだけではありません。子供の頃、天井裏や古い蔵に眠っている『宝の地図』を想像したものと同じ匂いがして、そこにロマンを感じるのは私だけでしょうか? あっ、あまりいませんか? そんな人・・・


★何にせよ、何度も読み返して表紙が煤けてきたような本は古くからの友達のようなものです。という訳でカクテルのご紹介です。


~ オールド・パル (古い・懐かしい友人) ~
   
<ライ・ウイスキー ドライ・ベルモット  カンパリ>

★このカクテル、歴史は古いのですが、お客様から注文されることは殆んどありません。カクテルブックにも「名前の良さだけでスタンダードカクテルに成り得た」という、可哀想なコメントがよく書かれている通り、アルコール度数も強く、ウイスキーとカンパリの苦さで、よほどカクテル通でない限り美味しく飲むことは難しいかもしれません。

★それでも口当たりは苦くても、中心は炎のように温かい色をしているところはやっぱり良く出来たカクテルだなあと思います。

★古書と同じく、古くからの友人ってそんな感じですもんね。




2012年9月26日水曜日

黄金郷への旅

★『エルドラド』という言葉をご存知でしょうか? 大航海時代、スペイン人がその伝説を信じて南米はアンデス地方に探し求めた黄金の国です。(実際は探検という名の”侵略”であったことの是非をここでは問わないことにします) 

★黄金郷への旅。大海原を渡り、未知の大陸にたどり着き、野を越え山を越え川を下る。壮大な自然の中で異文化や動植物と出会う。それはどんなに胸躍るワクワクしたシーンだったでしょうか。

★今日、少しだけそんな疑似体験をしてきました。

 
★画家・梅原龍さんの 個展が大阪、天満橋のマニフェストギャラリーで開催されています。
 


★個展のタイトルは『南国の月光』。

★梅原龍さん自身が旅人であり、常に作品や個展のテーマに”旅”のエッセンスを深く色付けていることも理由なのでしょうが、今回はこじんまりとしたギャラリー・スペースだったのにもかかわらず、広大な大陸を冒険しているような錯覚を楽しめる作品群です。


★実は龍さんから作品の写真を撮るように勧めて頂いたのですが、これから観る人の楽しみを半減させてしまうのは残念なので控えさせて頂きました。

★作品は作家である龍さん本人が旅の途中で見つけてきた奇想天外な素材であったり、あるいは各国の伝統的な紙材を使って創られています。そうして完成された世界観はかつてのスペイン人が「黄金郷への旅で出会ったシーンはこんな風景ではなかったか?!」と観覧者に夢みさせてくれます。


★よく『センスがある』とか『センスがいいね』といった言葉が使われますが、実際にそれは目に見えない不確実なものです。でも梅原龍さんの作品を観ていると、「ああ、”センスがある”とはこういう事なんだなあ」と有無を言わさずに納得させられてしまいます。

★それから、もちろん作品も素晴らしいのですが作家である梅原龍さんの話を聞くのも楽しみのひとつです。サービス精神が旺盛で、どんな場面でも人生を楽しんでいる方だなあと思います。ただし、絵を描く、詩を書く、料理を作る、酒を愉しむ、楽器が弾ける、更に会話も楽しい・・・男にとってはあまり身近にいて欲しくはない存在ですねえ。(笑)

★さて最後にお酒の紹介です。遠い異国、それも南国に旅した気分になったときは、はやりラムでしょう。軽いものよりは少し熟成したコクのあるタイプがいいですね。

エルドラド (15年) が今日の旅にはぴったりです。



~ 御案内 ~

梅原龍 作品展 『南国の月光』

マニフェスト・ギャラリー

2012 9/24(月) ~ 10/2 (火)
12:00-19:00 休廊日 9/30

540-0021
大阪市中央区大手通り1-1-1
GALLERY & TEA ROOM THE14thMOON
TEL/FAX
06-6943-5892(14thMOON

http://www.14thmoon.com/blog/m/manifesto.cgi




*個展観覧後の感想、印象は私の個人的なもので、作家である梅原龍さんの言葉ではないことをご了承ください。

2012年9月24日月曜日

美味しさはライダーキックの如く!!


★アイスクリーム、好きですか? 最近、とてもお気に入りのアイスクリームがあるのでご紹介いたします。


★こちら、セブンイレブン専売アイス、『チョコミントバー』さんです!!

★もともとミント系は好きではありません。歯磨粉を食べてるみたいで・・・。でもこれは違うのです。微かにミントっぽいなあ~・・・ってくらいの味で爽やかな風味。かじると中にぎっしり入ったチョコのパリパリ感が病みつきになります。5本入り¥198です。小さいので一回につき3本は確実にいけます!! 一度、騙されたと思って試してみてください。セブンイレブンの冷凍庫にある『BOXアイスクリーム置き場』に並んでいるアイス達の中でもいちばん数は減っていません。つまり人気がないのです。今なら先物買いのチャンスですよ。



★ある日の午後、機嫌良くチョコミントバーをかじっていると庭に面している窓ガラスに向かってうちの奥さんがなにやらブツブツしゃべっています。電話? と思っていたのですがどうやらそうではありません。その会話(一方通行の)を聞いていると彼女はガラス窓の向こう側で必死にしがみついているバッタとお話をされておりました・・・思わずその日2本目のチョコミントバーを落としそうになります。


★普通、こういった時は熱を計ったりお医者さんに連れていったりするのでしょうが、この人の場合はこの程度のことで一々気にしていたらきりがありません。思えば初めて出会った頃、目の前を通り過ぎていく野良猫にいきなり「こんにちわー!!」と大声で挨拶を交わし、びっくりさせられた覚えがあります。あれから13年の歳月を経て、今ではバッタと話ができるようになったようです。頭の中でファンファーレが鳴り響きます。『チャララ、ラチャッチャチャ~!! イガラシはレベルが上がった。バッタ語を覚えた』


★という訳で日常と夢の境目がボヤけたような生活を送っていますが、カクテルをひとつ、ご紹介いたします。


~ グラスホッパー (バッタ) ~

<グリーン・ミントリキュール ホワイト・カカオリキュール 生クリーム >

★割と有名なカクテルなのでご存知の方も多いと思います。伊坂幸太郎氏の同名小説も有名ですね。
★味はチョコミントなのですが、こちらはアイスとは違いかなりミントの味が強くなりますのでご注意を。

★淡い緑色をしたカクテルでバッタの色から名付けられたと思うのですが、秋になるとバッタは保護色で茶系の色に変わります。バッタ好きの方(そんな人がいるのか?)は状況次第でレシピを< ホワイトミント ブラウンカカオ 生クリーム > に変えると茶色のグラスホッパーになり、よりリアルな秋の気分を楽しめます。(笑)

★因みに私は昔からバッタが苦手です。仮面ライダー(バッタがモデル)は大好きでしたが。



2012年9月23日日曜日

アーリータイムズ

★人の記憶。それは誰かと共感、共有できてはじめて成り立つものなのだと最近よく実感します。それができなければ記憶はただの記録、データでしかないのだと。

★たとえば自分の結婚式に50人の知人友人が来てくれていた事実(記録)があったとしても、もしその人たちが何処にもいなくなって、話をすることが出来なくなったとすれば、それは自分の『結婚式』という記憶をシェアしてくれる人がいないことを意味します。

★これから先、たとえどんなに素晴らしい人々に出会い、仲良くなる機会が多くあったとしても、その人たちに自分の過去の出来事を話して理解してもらうことはできても、その記憶を共有しあうことは絶対にできないのです。当たり前のことですが。

★自分の大事な記憶をシェアしてくれる人を『失う』ということは、自分の中の記憶をなくすことと同じ。生きていくことの寂しさ、『人生の孤独』という大きな荷物は自分の記憶が少しずつただの記録に変わっていくことなのだと。

★人の一生という、あっという間に終わってしまう短い時間を共有してくれる人たちをもっと大切にしなくては。そんなことを考えながら”懐かしき時代”、アーリータイムズを好んで飲んでいた人を思う・・・

2012年9月20日木曜日

酒を飲みたくない日もある・・・

★最近、嫌なニュースが多いのでとくに意識してテレビをつけないうようにしている。だから今日、新聞の三面記事に小さく載ったニュースがテレビでも放送されたのかは知らない…でも。

★こんな事が起こるのではないかと嫌な予感はずっとしていた。けれど実際にこういうことが起ったことを知ると途方もなく気分が悪くなる。

★日本国内で中国人学校への放火、中華料理店への投石。まだ事件の真意は不明のようだが、おそらくは皆が思うことと一致するのだろう。起きがけにこの記事を読んで未だに気持ちが晴れない。

★すべての人がそうでないにせよ、人はどうして振り上げた拳を弱いモノにしか振り降ろせないのだろうか? 弱い者が弱いモノを叩いたところで喜ぶのは何の痛みもない高みの見物をしている強い権力者だということがどうして解らないのか? いや、その前に火をつけたり投石しようとするそのものが無関係な対象であることが何故見えないのだろう?


★太平洋戦争で為政者と軍とメディアが足並み揃えて民意を煽動、コントロールして、その結果、いちばん貧乏くじを引かされたのは誰だったのか? 過去から一体何を学んできたのだ? 忘れた、知らない、聞いてないとは言わせない。だったらまず考えろ、調べろ、尋ねろよ、と思う。そうでなければ動物以下じゃないか。

★体験したことのない過去に遡らなくてもいのかもしれない。日本には身近に手に届く素晴らしい文化がある。美術、音楽、小説、映画…それから漫画やアニメを含めたっていい。誰しもがこれらの何かに興味があって、好きで、楽しんでいるのではないか。 それらの根底にあるのは共有であったり、調和であったり、融合ではないのか? どんな戦闘もののアニメだって最終的なテーマは『争ってはいけない』ということくらい子供だって知っているぞ。

★メディアに踊らされてはいけない。新聞もテレビのニュースも正しいことを伝えるツールではない。『売れる情報』を流しているだけだ。かつて太平洋戦争前期、新聞一社だけが最後まで反戦を唱えていたという。でもある日から戦争肯定に方向転換した。何故か? 戦争反対ではその新聞がまったく売れなくなったから。メディアなんてその程度のものと思っていなければ簡単にのせられてしまう。それだけならまだしも、感情的になって弱い者、無関係な者、無抵抗な者に見境なく暴力を振るうことは見えない誰かの思うツボだ。

★今、大きく暗い力によって目の前に拳を振り降ろすべき対象が故意に据え付けられている。目の前は見えやすい。でも本当に拳を振り降ろすべき対象は見えない真逆の背中にいるはずなのだ。だたし振り降ろす拳は暴力であってはならない。


2012年9月18日火曜日

注文の仕方、あれこれ Ⅲ


その3 《 避けることをお勧めしたい、とあるカクテルのご注文 》

☆本題に入る前にカクテルのレゾンデートル(存在価値)について。

☆カクテルは2種類以上の材料を合わせて作る飲み物です。
式にすると、1 + 1 = 2  です。

☆例えば、ウオッカ + オレンジジュース = スクリュードライバー ですね。

☆もしかしたらこんな風に考えている人がいらっしゃるかも知れません。
カクテルは1 + 1 = 3 (2<) だ!! と。

☆つまり、あるものとあるものを合わせてとてつもなく美味しい飲み物にするという意味です。でもこの式が成り立ったのは遠い昔の話です。


☆カクテルが大きく発展したのはアメリカの禁酒法時代でした。粗悪な密造酒が横行していて、これを何とか美味しく飲むために色々なものを混ぜて工夫した結果、現在にも残るスタンダードなレシピがいくつも生まれたのです。この時代のカクテルならば確かに1+1=3にも4にもなったのでしょうが、現代のお酒や副材料はそれだけで素晴らしく完成度の高いものばかりなので、どんなに腕の立つバーテンダーが究極のカクテルを作ったところでおそらくは1+1=2.5くらいが限界のはずです。

☆ただ、どちらにせよ2種類以上の素材を合わせて出来上がったものが、それ以前の個々の素材より味が劣るのであればカクテルにする意味がない・・・ということです。まずこれがレゾンデートルのひとつです。・・・①


☆そしてもうひとつあります。それは注文するとき、それを飲もうとする理由が『そのカクテルのことを”美味しいと思っていなくても”飲みたい』ということがありえる、ということです。

☆例えば、ある人のことを思い出して、その人が大好きだったカクテル(”私”は好きではない)を飲むという場面もあるでしょうし、ブルームーンの夜に(カクテルの)ブルームーンを飲むことだってあるでしょう。絵描きを生業にしている人がゴッホに憧れて(*1)アブサン(パスティス)を飲むことだってあるかも知れません。

(*1)ゴッホはアブサンという薬草系のリキュールを愛飲していました。

☆このようにカクテルは味だけでなく、その名前や逸話などから飲み手が自分だけの物語を紡ぎ出して注文する事があるのです。これは他のお酒でも同じですが、ネーミングの多様性を考えればカクテルの方がその可能性は広がります。

☆カクテルを注文するときは味を無視して、物語性やシュチュエーションを重視する場合がある、これがレゾンデートルのふたつ目です。 ・・・②


☆さて、ようやく本題です。これまで『注文の仕方 Ⅰ、Ⅱ』として主にお酒に詳しくない人がBARで注文する方法などを書いてきましたが、今回は『お酒に詳しくない人が、美味しいカクテルを飲みたい場合(つまりカクテルの存在価値①を求めて②はまったく考慮しない場合)、注文しないほうが無難なカクテルの種類があるという話です。そしてこれは企業広告の関係上、市販されているどのカクテルブックにも載ってはいないでしょうし、仕事内容を狭めてしまうので現職の人間が口にすることも多分、ないと思います。

☆だたし、何分にも話は”味”という客観性のないものですから、ここでの話はあくまでも私の個人的意見であって、内容の整合性は保証できませんので悪しからずご了承ください。


☆『注文の仕方 Ⅰ、Ⅱ』でカクテルには色が重要なポイントであると書いてきました。つまり注文時に例えば「赤いカクテルを!」という感じで、色のリクエストをするのもアリ、です。

☆だたし!! 『青いカクテル』、これは避けた方が無難なのです。(存在価値②のケースで『青が大好き』とか『青でなければいけない理由』がある場合は別です。あくまで①の美味しさ追求だけの時です)

☆青いカクテル・・・色を青にするにはいくつかのリキュールがありますが、ここではスタンダード・カクテルについて、それも『ブルーキュラソー』というリキュールを使ったカクテルについてだけに限定しています。

☆有名なカクテルに『青い珊瑚礁』とか『ブルームーン』という名前に”青”が入ったものがありますが、カクテルを青くするために使われているのは『GET27』という緑色のペパーミント・リキュールと『パルフェタムール』という紫色した匂いスミレのリキュールです。


☆キュラソーというのは『オレンジの果皮』のリキュールの総称です。一般的なものは『ホワイト・キュラソー』といって薄く白濁した色をしています。いくつものメーカーから製造されていますが中でも『コアントロー』というホワイト・キュラソーが断トツに有名です。お菓子作りに使われている方もいらっしゃると思います。


☆そのホワイト・キュラソーのカラー版に『オレンジ・キュラソー』『ブルー・キュラソー』『レッド・キュラソー』などがあります。オレンジ・キュラソーは他のものとはまた一線を画した味と使い方をするので例外的な存在ですが、ブルー&レッドの両キュラソーは味や香りに全くの意味がなく、ただカクテルの色付けだけのために存在しています。(レッド・キュラソーを使う有名なカクテルはなく、とてもマイナーなので、この話題中は除外して考えます)


☆ブルー・キュラソーの青、それは『青色一号』の着色料の青です。ただし他のリキュールの多くにも着色料は使われているのでそれをここで問題視するわけではありませんが(*2)、このリキュールに関していえば味も含めて他に何も語るべき内容がないのです。ただ単に何かと混ぜて青く染めるためだけに存在するリキュール、それがブルー・キュラソーです。

(*2)リキュールの問題についてはここで少し触れています。
http://bartsukuyomi.blogspot.jp/2012/05/blog-post_20.html


☆ブルー・キュラソーとコアントローを水で割って飲み比べてみるとコアントローの方は香りがたつのに比べて、ブルー・キュラソーの方は殆んど何も発せず(元々そうですが)、酒としての能力の脆弱さが明らかです。そしてブルー・キュラソーを使うとカクテルのレゾンデートル①で立てた式、
1 + ブルー・キュラソー =2 には成り立たないような味になってしまいます。

☆仮にブルー・キュラソーを使って『1+1=2』のカクテルが成立したとします。でも必ずブルー・キュラソーを使ったレシピのカクテルと殆んど同じタイプのコアントローを使った、もしくはキュラソーを使わない、『青でない、より美味しいカクテル』が存在しています。それらふたつを飲み比べると味の優劣の違いは一目瞭然です。(ここが難しいところです。味にはそれぞれ好みがあるので断定はできませんが、多数の方に同意してもらえると『個人的、独断的偏見』として信じています)

☆例をあげましょう。

ブルー・マルガリータ × ⇔ マルガリータ ◎


ブルーレディー × ⇔ ホワイトレディー ◎


チャイナ・ブルー × ⇔ ディタ・スプモーニ ◎


スカイダイヴィング × ⇔ XYZ ◎


シャンパン・ブルース × ⇔ シャンパン・カクテル △ ⇔ シャンパン ◎
(ちょっとこれは強引かもしれませんが、キュラソーで甘味をつける代わりに砂糖を使うということで・・・)


☆レシピはあえて書きません。ブルーキュラソーをコアントローに代える、もしくは使わないだけでレシピがそっくりであるのは味とは違い客観的事実ですから。(興味のある方は調べてください・・・手抜きか?(笑))

☆長くなりましたがまとめましょう。そのカクテルの名前や青色に意味を求めない時、ブルー・キュラソーを使って作るスタンダード・カクテルには、別にほぼ同じレシピの”青くない”、より美味しいカクテルが存在するので、青いカクテルは注文しない方が無難です・・・・と私は『個人的に』考えています。


☆念を押しておきますが、もし何処かのBARで『お任せ注文』をしたとき、ブルーキュラソーを使った青いカクテル(*3)が出されたからといって、「不味いカクテルを出された!!」って訳ではありませんよ。そのカクテルをバーテンダーが選んだ理由はレゾンデートル②もあるはずですから。それにもしかしたら『ブルー・キュラソー不味い説』は世界中で私だけかもしれませんからね。(笑)

(*3)ブルー・キュラソー以外に新興リキュールで青色をしたお酒は幾つかあります。ここではそれらの青色リキュールの味については述べてはいません。

☆最後に、月読でももちろんブルー・キュラソーを使ったカクテルのご注文を頂くことがあります。そんなときはできる限り『青い味』がしないように工夫して作ります。例えばチャイナ・ブルーなら全体に青を混ぜずに、底にブルーキュラソーを沈めてテキーラ・サンライズ(カクテル)のグレナデン・シロップのように。こうすれば半分以上は『ディタ・スプモーニ』の味で、色は青を楽しめます。まあ、賛否両論あるでしょうが・・・


☆今回は長さもさることながら、かなりマニアックな内容になってしまいました。お付き合い、ありがとうございます。この内容が正しいかどうかは別として、カクテルやお酒の世界の普段とは違う角度からの楽しみ方に興味を持っていただければ幸いです。




2012年9月16日日曜日

注文の仕方、あれこれ Ⅱ


その2 《 「私のイメージでカクテルを作ってください」というご注文》

☆さて、よくあるご注文のひとつに「私のイメージで!」とか「彼女をイメージして作ってください」というものがあります。主に女性からのご注文であったり、女性が女性のために(遊びながら)オーダーされます。意外なことにカップルで男性が女性のためにこの「彼女のイメージで・・・」というご注文は殆んど記憶にありません。

☆そもそもこの「彼女のイメージ・・・」なんていうオーダーはオーセンティック(正統派)なBARでは受け付けてはもらえないでしょう。月読のような気楽な普段使いのBARならおアソビの一環でお引き受けいたしますが。(笑)


☆この「彼女のイメージ・・・」注文はお客様が複数(3人以上)のときが多く、概ね場が盛り上がっています。つまりお客様にとってはBARで過ごす間のアトラクションのひとつなのですね。中には明らかに”ウケる”、”笑える”ものが作られてくるのを期待している方々もいらっしゃいますが、よほど店とそのお客様方が親しい関係にない限りは、その人のイメージを落として笑いを取るお酒をお出しするのは難しいですね。まさか『ブラッディーメアリー』とか『エル・ディアブロ』(悪魔)とか『ダーティーマザー』なんて作る訳にはいきませんから。(笑)


☆ただ逆にいえば、この「イメージ」注文が行われるときはお客様とバーテンダーとの間にそういった暗黙の了解や予定調和が出来上がっているので、実はバーテンダー側にとってそれほど難しいご注文ではないのです。『アソビ』という前提があり、その他は”一切おまかせ”なので飲み手側のアルコールの強さを考慮する必要がありません。(本来はいちばん考慮するところです)仮にご本人にとって強すぎるアルコールであったとしても、「私、こんなに強い女って思われてるの~(笑)」といった感じで済みますからね。実際は美味しく飲んでいただけるようにベスト・マッチしたアルコール度数を考慮しますが、場の雰囲気によってはわざと心持ち強めのものを作って『盛り上げ』を重視するときもあります。


☆では本題です。バーテンダーは「私(もしくは彼女)のイメージでカクテルを作ってください」というご注文に対して、どういったアプローチで考えるのかという、ある種の種明かしです。そしてこれをするのは理由があるのですが、それは最後に。

☆「私(もしくは彼女)のイメージでカクテルを作ってください」というご注文に対して、私は二つだけご本人に質問します。

「そこそこ平均程度のアルコール度数のものでも大丈夫ですか?」
「何か嫌いなお酒はありませんか?」

☆これがクリアされれば後は今日初めてお会いした方のイメージを考えなくてはいけません。さあどうしましょう?

☆まずその方の『好きな色』、『今日の特別な色』を考えます。服、バック、靴、アクセサリー、ネイルモバイル(保護用カバー)、口紅・・・などから総合的に考えて、そのお客様の『今日、もっとも相応しい色』を決めます。少なくとも暖色・寒色、柔らかい・クッキリの好みを判断します。もちろん、これはカクテルの色の参考にするのですが、使うグラスの色に反映さす場合もあります。


☆次に大まかな『性格の傾向』や『今日の気分』を考えます。これはカクテルの味の方向性という意味合いもありますが、それよりはカクテルの”ネーミング”に反映させます。お洒落なもの、かっこいいもの、可愛いもの、ユーモアのあるもの、意味深なものなど、スタンダード・カクテルの楽しみは味だけでなくその『名前』にもありますし、特にこの「イメージ」カクテルには重要な要素です。


☆ではそれを判断するのに”何処を観るか”、ですが・・・
爪の長さ、腕時計、アクセサリー、服、モバイルや鞄に付けられているストラップなどの小物、靴の種類やヒールの高さ、姿勢、あと、注文時のやり取りのときのご本人の視線の向きや躰の向きなどで判断します。(といっても、こちらの思い込みに過ぎないのですが)そして性格、趣味、嗜好、気分が判断できたらそれとリンクするようなカクテルの名前をいくつか探します。


☆あとは作るカクテルの味の方向性です。これはもっと前に仕掛けを用意しておきます。「・・・イメージでカクテルを作ってください」というご注文がでた段階で、さりげなく皆さんに『ここに(BARに)来る前に食事に行ったときの話』を聞いておきます。複数でのBAR利用はだいたい2次会的に使われることが多いので、事前に食事をされているはずなのです。例えばこういう会話をします。

「いらっしゃいませ。・・・楽しいそうですね! 今日は皆さんでお食事会ですか?」
「どんなお料理を召し上がってこられたのですか?」
「へぇ~そうですか! 美味しそうですね。やっぱり中華だと食後のデザートは杏仁豆腐ですか?」

☆その食事内容によってはその後に『喉が渇く』『甘いデザートが欲しくなる』『デザートを食べたので甘いものはいらない』『さっぱり洗い流したい』『お腹が膨れているので量は飲めない』『繊細な味がわかりにくい(濃い味の食事をした)』など、おおよそ次の欲しい味の見当をつけることができます。

☆だいたいこれで『私のためのイメージ・カクテル』の参考材料は揃います。
あとは野となれ山となれ。(笑) お気に召していただければ幸い・・・というか”ラッキー”です。


☆さて今回、こんな裏話的なことを書いたのは理由がありまして、デートをするときにBARを利用されることも多いと思います。そのときのご注文なのですが、男性がまず自分のオーダーを決めてこちらに伝え、その後、女性に「何にする?」と問いかける場面、よくあります。

☆問われた女性がどうしていいか迷っているので仕方なく男性が「じゃあ、彼女には軽いカクテルを何か・・・」とか「彼女にはお任せで!」とか。最悪なのは男性もそこから進めなくて、女性に仕方なく「彼と同じものでいいです・・・」と言わせてしまう人もいらっしゃいます。同じものって・・・ウイスキーのオン・ザ・ロックだったりします。大丈夫ですか!? 

☆カップルの場合、オーダー時でもなかなかこちらが話に入っていきにくい場面も多々あります。エスコートする男性にはぜひ孤独に耐えて頑張って欲しいものです。(笑) 少なくとも女性に「同じものでいいです」とは言わせてはいけませんよ。

☆お酒の名前を知らなくても、知識がなくても、バーテンダーがヘルプに入らなくても大丈夫です!(二人の雰囲気、壊されたくないでしょ?(笑))


☆もし「彼女になにか軽いカクテルを」というのなら少しだけ言葉を付け足して、「彼女には何か軽いカクテルを、ピアスの色に合わせて柔らかいピンク色をしたものを」、なんて注文できたら二人のBARタイムが素敵な時間になると思いませんか?






2012年9月14日金曜日

注文の仕方、あれこれ


その1 《 お酒を知らない人が注文する方法 》

☆ご注文を伺うとき、お客様のよくあるセリフのひとつに「スイマセン、私、お酒のことよくしらないんです・・・」というのがあります。謝る必要なんてありませんし、知識がなくても全く気後れする必要もありません。病気や薬の知識がなくても具合が悪ければ病院に行くのと同じで、お酒を飲みたい気分の時はお酒に関する知識がなくてもBARに来ていただいたらいいのです。そのために病院には医師がいるのだし、BARにはバーテンダーがいるのですから。


☆では実際にお酒のことをほとんど知らないお客様に対して月読ではどのようにオーダーを伺い、提供するお酒を決めるのか順を追ってご説明いたします。

~ サンプル事例 (女性のお客様)~

BAR 「いらっしゃいませ。ご注文は如何いたしましょうか?」

お客様 「私、お酒のことよく知らないのでおまかせしたいのですが・・・」

BAR 「ありがとうございます。では少しお聞きいたしますね」
「どのくらいまでアルコールの強さが大丈夫なのか知りたいので、飲んだことのあるお酒の種類や飲み方とか、覚えている銘柄やカクテルの名前はおありですか?」
「それと、もし嫌いな種類のお酒があればおっしゃってください」


お客様 「ブランデーの水割りは美味しかったです。銘柄は覚えていません。あと梅酒は好きです」
「嫌いなお酒は・・・わかりません。焼酎はちょっと苦手かな?」

BAR 「分かりました。ウイスキーやブランデーのような純粋なお酒を飲みたいですか? それともカクテルがいいですか?」

お客様 「ブランデーも飲んでみたいですが、今日は折角ですからカクテルがいいですね」


BAR 「お食事はもうお済みでしょうか? 今日は暑かったので、もし喉が乾いていらっしゃるならソーダ類を使ったカクテルで喉を潤すのもいいのですが、お食事前ならお腹が膨れてしまうのでお勧めできません(特に女性は)。あと甘いデザートのようなカクテルもありますが、これも食前は食欲をなくすのでお勧めできませんが・・・」

 
お客様 「今日はもう食事は済みました」

BAR 「お食事中は何か飲まれましたか?」

お客様 「イタリアンだったのでワインを少し、ああ、その前にビールを飲みましたので炭酸はもういいです・・・」

BAR 「じゃあ、食後酒ですね」
「ところで飲むときに使うグラスですが、この三つのうちどれがいいですか?」

 
お客様 「この逆三角の小さなグラスがいいです。バーで飲むカクテルぽくって」


BAR 「この”カクテル・グラス”でつくるカクテルは概ねアルコール度数が強いものばかりですがよろしいですか?」

お客様 「う~ん・・・あまり強いのはちょっと・・・弱くて飲みやすいのはありませんか?」

BAR 「そうですね、選択肢は狭くなりますが大丈夫ですよ」
「あと、チョコやクリームタイプの濃厚なデザート・カクテルとフルーツ的な味のものと、どちらがよろしいですか?」

お客様 「フルーツがいいです!」


BAR 「では最後に・・・オレンジ色はお好きですか?」

お客様 「はい、とても好きな色です」

BAR 「ありがとうございました。では〇×△□というカクテルをお作りいたします」



☆といった具合に(月読では)進んでいきますが主だった要点は次の事柄です。
  1. 飲めるアルコール度数の強さはどのくらい?
  2. 飲めない種類のお酒はありますか?
  3. カテゴリーの選定(ウイスキー? ジン? カクテル?・・・)
  4. 食前?食後?、事前に何を飲んだのか?
  5. 好きな副材料はありますか?(フルーツ、ソーダ、ジンジャエールなど)
  6. 味のタイプは濃厚? 爽やか?(クリームタイプ? フルーツタイプ? ハーブ系?)
  7. グラスに氷が入る? 入らない?(じっくり飲む? さーっと飲む?)
  8. お好みの色は何?(カクテルに色は重要なポイントです)
 
☆ここまで詳しくなくても、このうちのどれかを端的に告げることで、求めているお酒に巡り会う可能性は高くなります。もちろんBARではバーテンダーがサポート致しますが、事前にいくつか考えていればよりスムーズに事が運びます。今後の『おまかせオーダー』の参考にしていただけましたら幸いです。



☆では次回、『注文の仕方、あれこれ』
その2 《 「私のイメージでカクテルを作ってください」というご注文について(仮)》に続きます。

・・・因みに上記の例で決定したカクテル『〇×△□』、実際に想定したカクテルの名前がちゃんとあります。何か分かる方、いらっしゃいますでしょうか? (^v^)



2012年9月13日木曜日

宝塚記念・・・日

☆およそひと月前。鰻が大好きな常連様からの申し入れ。(月読にて)

「ひらいわさん、宝塚にいこ!」

「えっ? 阪神競馬場ですか? 宝塚記念はもう終わりましたよ・・・」

「違う、歌劇団の方や!」

「ああ・・・いえ、遠慮しときます。興味ないですし」

「何言ってんの、観たことあるの? 宝塚。 ないでしょ? オレも、ない!」

「はあ・・・」

「関西に住んでたら一度は観とかなあかんでしょ? 宝塚。 じゃあ、店が休みの火曜日、来月の11日に決定ね!」

☆人が歌って踊るより、馬が走っている宝塚の方が断然モチベーションが上がるのですが、うちの奥さんが観劇にいきたがったのと、もう一人、月読のご常連で宝塚歌劇が大好きな人がいらっしゃいまして、この方、同じ演目を常に何度も観にいくというかなりコアなファンだったので案内してもらえれば面白いかなということでシブシブ同意。

☆という訳で半ば無理矢理に連行されることになり、昨日、行ってきました華の宝塚歌劇団!!


想像していた通り、綺麗な劇場。


ドアノブまで作り込まれています。




本日の演目は『銀河英雄伝説』です。


演目終了後、偶然出くわした『出待ち』のファンの人だかり。


劇場付近だけでなく、街も全体的に綺麗です。


宝塚の夜景はとても美しく、緑の多い坂のある街並みです。


☆観劇後・・・
やはり歴史の重みと根強い人気だけあって、とても楽しく過ごせました。約3時間を飽きさせずに魅せられる演出、照明などには圧倒されます。それに、演じられている男性像、かっこいいですね。現実にはこんな男たちは絶対に存在しませんが、だからこそ女性にあれだけの絶大な支持があるのでしょう。・・・オトコにとってはコンプレックス以外のなにものでもありませんがね。

☆街全体がオシャレな雰囲気で、劇場内も楽しませるスポットがいくつもあって、「おおっ、さすが!!」という感じ。まさに夢の世界です。終わってみれば無理矢理連れてこられた割に”来てよかったな”と素直に思えましたし、意外なほど”普通”に楽しめました。もっとコスプレした、ナリキリおねー様達がいるのかと思っていましたが一人も確認できず、これはこれでちょっと残念でしたが。

☆結論として(個人的感想ですが)同じ夢の世界でも、何時間も待たされる『鼠の国』よりもずっと良かったです。ただしハマったりはしませんけどね。(笑)