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2014年12月25日木曜日

年末年始 営業のお知らせ

今年もご愛顧いただきましてありがとうございました。

2014年、年内は29日(月曜日)まで、また2015年の営業開始は1月4日(日曜日)からいたします。

どうぞ宜しくお願い致します。

2014年11月17日月曜日

白の境界

カクテル ホワイトレディ

このカクテルの誕生については諸説あって確かではない。

とくにどういった理由でこの名前がついたのかも。

人は大人になるにつれて何かしら汚れずにはいられない。時に濁り水を啜り、泥の中を這いずり回る。どんなに嫌であろうと避けては通れない事もある。この時、濁りに染まってしまうのか、それでも自分のカラーを保ち続けていけるのか?

汚れないことが強さではない、汚れ染まっても耐えられる、あるいは平然としていられる事が強さでもない。なにがあろうと決して染まらずにはじき返し、自分の色を保ち続ける事が強さなのではないだろうか。

ホワイトレディの香りをコトバで説明するのは難しい。
例えば初恋であるとか、古いアルバムを開いて懐かしい写真を見つけたような、胸がキュッと締め付けられて、少し心地よくもあり、哀しくもあるようなそんな想いのする香りのカクテルだ。

ホワイトレディに合わす曲は井上陽水の”いつのまにか少女は”がいい。この曲は大ヒットした訳ではないのだけれど、少女が大人になる瞬間をギリギリのところで写し撮った名曲で、ホワイトレディと共に”凛とした哀しさ”を内包している。

もしまだホワイトレディを飲んだ事がない人もこの曲を聴くと香りのイメージが湧くのではないだろうか。



いつの間にか少女は   井上陽水







2014年11月7日金曜日

林檎の香るバーボン


80年代から90年代にかけてのbarシーンを知っている人からすると、最近はあまりバーボンを飲む人口が減ったなという印象は否めない。

ただし、当時に比べてプレミアムなバーボン、つまり少数生産であったり、高品質で上品な、比較的高価な銘柄は随分と多くなった。もちろんそれらは昔からあるスタンダードなバーボンよりも味、品質ともに優れているのだけれど…。

最近、僕個人の好みとしては少々変化があって、昔ながらのスタンダード・バーボンに回帰している。ただしなんでもOKという訳ではなく、ワイルドターキーという銘柄にのみについて。

これは長期熟成の12年物ではなく、もっともスタンダードな8年物に限る。
その理由はオンザロックにして、少し氷が溶け出した頃合いに、ふっとグラスの中から林檎の香りがするから。

50度以上ある強い酒に似合わず、このアップル香を発する不似合いなバランス感にどこか危うい魅力を感じてしまうのだ。林檎の香りに合わすため、最近、ワイルドターキーのオンザロックにシナモンスティックを入れて飲んでいるのだけど、これがとてもいい。


ところで、この酒と合わせて聴くBGMはなんといってもキャノンボール・アダレイのサムシン・エルス、A面の一曲目 ”オータムリーフ”が相応しい。

秋のタイトルでありながら、冬のようでもあり、夏の夜道のようでもある。トラディショナルでありながら攻撃的でもあり、孤高でありながら決して淋しくはない。マイルスデイビスの妖しい魅力とこの酒の危ういバランスが妙にしっくり、心地よい。約5分間、ちょっと変わった秋にトリップする。

ちなみに僕はジャズに詳しい訳ではないのだけれど、このサムシン・エルスに入っているオータムリーフの演奏が全ての知っているジャスの中でいちばん好きだ。ジャズに詳しい人からすると多分、「けっ!」って嘲笑されそうなほど有名どころの曲ではあるのだけどね。(サッカーで言うところの本田、野球で言うところのダルビッシュみたいなものか?)

ただ以前、ジャズバーにいて、あれこれあった結果、自宅にジャスのレコードが1500枚以上ある。
全部聴いたけど、”自分好みの”という感覚で言うと、この曲以上に凄いと思える演奏にはまだ出会えてはいない。


今でもこの曲を聴くとその演奏の後半部分で頬っぺたの後ろの方が痺れるくらい、ヤられてしまう。
ただ、そんな曲に合わす酒がまさかスタンダードのワイルドターキーになるとは今まで想像だにしなかったけど、まあ、所詮そんなものなんだろうな。
マイルスデイビスならなんと言うだろうか?







2014年10月31日金曜日

アンニュイなチョコレートの時間

秋が深まると飲みたくなるカクテルのひとつにアレクサンダーがあります。
フレンチブランデーとカカオリキュール、そして生クリームを使った濃厚なチョコレートムースのようなデザートドリンク。
月読版のレシピは少しだけ変った処方を施しているので、従来のものよりも、よりムースっぽさを強調しています。



このカクテルを飲むときに聴く曲はフランソワーズアルディの”さよならを教えて”がいい。
チョコレートの甘さとブランデーの大人味が曲の世界観と違和感なく混じり合って、とても心地いいのです。

短い曲です。一杯のショートカクテルを飲み干すにはちょうどいい長さでしょう。
アレクサンダーはどのカクテルブックをみても必ず載っているスタンダードカクテルなのですが、いまいち過小評価されているように思えてなりません。
チョコレート好きの方はぜひ、食事のあとのスイーツ感覚で最寄りのbarでオーダーされる事をお勧めします。

出来ればBGMに”さよならを教えて”をかけながら、曲とカクテルのマリアージュも楽しんでみて下さい。


フランソワーズ・アルディー さよならを教えて










2014年10月13日月曜日

お知らせ

10月13日(月曜日)より、10月16日(木曜日)まで臨時休業させて頂きます。

ご迷惑をおかけ致しますが、宜しく御了承の程、お願い致します。


2014年9月4日木曜日

異国情緒

9月、静かな夜。

年輩の女性のお客様。
他には誰もいない。

彼女は月読をオープンする前の店からの御常連様で、年に2回程お越し頂いている。

以前はもっと頻繁にお越しだったのだけど、介護の関係でなかなか外出が不自由になってしまった。

今日も久しぶりに街や鴨川をぶらついてからのご来店。

「この店も、もうあと数ヶ月でまる十年になりますよ」と僕が言うと、彼女は店内をゆっくりと見回して子供の成長を見守るように、それでいてどこか寂しそうな顔をして静かに笑っていた。

JAZZの好きな彼女に「何かリクエストがあればおかけしますよ」と尋ねる。

「うーん、まさかここにそんな曲があるとは思いませんが…
特に好きでもファンでもなかったのに最近、頭から離れない曲があるんですよ。なんかね、懐かしくて聴きたいなあと思ってたのですが…」

彼女が言ったのは本当に懐かしい邦楽の歌謡曲。

ふふふっ。
彼女はこの店が別名、”昭和歌謡bar”と呼ばれているのを知らない。w

ちょうど一杯目のグラスが空いていたので、その曲があるとは告げずに「その曲をもし聴くとしたら、一緒に飲むのに相応しいカクテルがありますよ」と僕が言うと彼女は「じゃあ、それをぜひ」OKしてくれた。



カクテル ヨコハマ。
1920年代のクラシックなカクテルで、ポイントはアブサンを一滴落として八角の香りを纏わせることにある。
少しアジアンテイストな港町を想起することが出来るのだ。

出来上がったカクテルを彼女の前に置き、リクエストの曲をかける。

「えっ!」と言う彼女の驚きのあと、八角の香りに埃っぽい港町の風情を感じながら店内は時間を遡る。

およそ3分半くらいだけのタイムマシーン。

流れた曲は中村雅俊、恋人も濡れる街角。





2014年8月22日金曜日

笑いとばす

人はその人生において色々な経験やそれに伴う成長をすることで、ある種のスキルを手に入れることがあります。

それはまるでロールプレイングゲームで経験値があがって新しい魔法や必殺技を取得するように。ただ残念なことに生身の人間はゲームと違ってなかなかレベルが上がらない。w

どの人も必ず同じスキルを手に入れられる訳ではないし、その数も違うけど僕が今いちばん手に入れたいと望むスキルは”笑いとばす”という能力。これは人間が持ち得るスキルの中でも究極の技のひとつではなかろうかと思う。付け加えるならばこれを望むということはその時点で僕は全く持ち得ていないということだけれど。

この”笑いとばす”というスキル、友人の中で少なからず使いこなしている人達がいて、とても羨ましい。何故ならこのスキルの使い手は必ず幸せであるという共通項があるから。

大事故や災害、政治(家)など笑えない事も多々あるけれど、日々の身近な生活の中で起こる不快な事くらいはせめて、些細なことだと笑い飛ばせる度量がほしいなと思う。”器の大きさ”とよく言うけれど、それはそういった場面での笑う量で計れるのではないだろうか。


こんなウイスキーがあります。

有名なワイルドターキーというバーボンウイスキー蒸留所での話。

数年に一度、その上質なものだけを集めたものに間違ってある作業員がライ麦で造った別のウイスキーを混ぜ入れてしまった。本来なら重大な責任問題になるところを、その味を確かめた蒸留所の責任者は偶然にも素晴らしいブレンド比率で出来上がっていたので一度きりの限定品として販売することに決定しました。その銘柄はフォーギブン(許し)と言います。

超レアものと言うわけではありませんが、さすがに限定品なのでぼちぼち市場では少なくなってきています。何処かのBarで見かけたら現存するうちに飲んでみては如何でしょうか?

たとえば大事な人とケンカでもした夜なんかに。





2014年8月11日月曜日

それでも待ってる夏休み


数年前から今日という日は、この人と一緒に飲む日になった。
…なってしまったと言うべきかもしれない。

うちの店に二枚のLPレコードと飲みかけのジャックダニエルのキープボトルを預けたまま、この人は今年、おじいちゃんになった。

おめでとう。でも孫を実際に抱いた姿を見てみたかったな。

この人はうちの店に来る度に口癖のように言っていた。

「barはイリュージョンであれ!」と。

だけど僕にはまだ魔法も手品も使えない。だからとりあえず乾杯だ。この人には”献杯”とは言いたくない。だからやっぱり"乾杯"と言うのがふさわしい。


麦わら帽子はもうきえた。
たんぼの蛙はもうきえた。
それでも待っている夏休み…

この人が預けたままにしているLPレコードの一枚。タイトルは”元気です。”

2014 8 10




2014年8月5日火曜日

真夏のアペリティフ

暑い夏の日、食事の前の最初の一杯、何にします?

例えばデートの日、barで待ち合わせて、その後、何処かで食事をするとして…モヒートもいいですけど、ちょっと流行り過ぎて面白味に欠けるかな。それに個人的にはモヒートは昼酒用だと思っているしね。

では、何がお勧めかというと、ズバリ、それはカンパリソーダです‼︎

あ、「なんだ、カンパリソーダかよ…モヒートより全然つまんないじゃん」と思った人、多いでしょうね。

でもカンパリソーダ、いいんですよ。暑い夏の日のアペリティフに。
まず清涼感があり、食欲増進の苦味もあり、アルコール度数が低めなので、後々の食事に影響せず、体に優しい。ソコソコの量があるので一杯で待ち合わせの時間稼ぎが出来るのでお財布にも優しいなどなど。

カンパリソーダ、何処にでもある、決して主役になれないお手軽カクテルのように思われがちですが、実は中々バーテンダー泣かせのカクテルのひとつなのです。

カンパリとソーダの割合においてスイートスポットが非常に狭いのと、ウイスキーなどのハイボールと比べて何故か炭酸の抜けるのが非常に早く、下手に作ると後半には甘苦い駄菓子屋で売っている怪しいジュースのようになってしまいます。

シンプルだけど奥の深いカンパリソーダ。是非この夏の間に一度試してみて下さい。各barによって味が面白いくらいに違いますよ。


2014年7月11日金曜日

世情




台風が過ぎ去った深夜。

三人でお越しのお客様、中島みゆきのLPアルバム ”愛してると云ってくれ ”をリクエスト。

なんやかんやと話しながらB面に裏返した途中でチェックアウトされていった。

誰もいなくなった店の中に独り。

今、世情がかかっている。

シュプレヒコールの波が通り過ぎるのを待って、今夜はもう閉店だなぁ…

(FBより)

2014年6月23日月曜日

臨時休業のお知らせ

6月23日(月)より25日(水)の間、沖縄ケータリングサービスのため、臨時休業させて頂きます。

ご迷惑をおかけ致しますが、よろしくご了承ください。

店主

2014年6月20日金曜日

表窓

うちの店(月読)は二階にあり、窓からは路地を見下ろせる。
日の暮れるのが遅い六月の夕方。窓の側でぼんやりとレコードを聴いていたら視界の左から二十代とおぼしきメガネをかけた会社員風の出で立ちをした青年が現れた。別に不思議ではない。この路地は人通りも交通量もけっこう多いのだ。

僕がそのよくある風景の青年に注意を向けたのは他でもない、彼が途中で立ち止まって、僕の視界の右側に向かって満面の笑みを浮かべたからだった。彼女とでも待ち合わせ? …右側にまだ人物は見えてはいない。

それにしては何か違和感があった。彼の顔には偶然出会ったような驚きがみてとれたし、うちの店の前は待ち合わせをする様な場所ではない。もしそうだとすると、彼らはうちの店か下の店に入ってくる公算が大きい。瞬時にそこまで考え、身体は自然と営業モードに入り椅子から腰を浮かす。
するとどうだろう、座っていたために死角になっていた通りの低い部分の景色が見え、同時に答えが明らかになった。

彼は彼女を見つけたのではなかった。近所の仲良くしているのであろう、小学生低学年くらいの男の子がこれまた小さな自転車に乗って、すれ違おうとしているところだった。相変わらず彼は満面の笑みを保っていたし、その男の子も彼のそばで一旦、自転車を停め、嬉しそうに顔をクシャクシャにして笑い、彼とハイタッチを交わし、やがて僕の左の視界からは男の子が、右側には青年の姿が消えて行ったのだった。

嫌な風景が目に映ることの多い中、こんな事もたまにはある。

まだ大丈夫かもしれない。

2014年6月17日火曜日

鯛2匹

月読のビールを切らしたので仕入れに行き、ゴソゴソと冷蔵庫に詰め込んでいたら、お出ましされました!
今年はこれで二本目だったかな、ラッキーエビス。(鯛が二匹います)

ワールドカップ不況になりませんよーに! 商売繁盛、よろしくお願い致します。
m(_ _)m


オーガ フミヒロ展

友人から個展のDMが届く。
その画家がうち(月読)に来たのはもう何年も前で、暇な平日の夜遅くだったと思う。まあ、うちは週末でも暇なのだから平日に特定出来る根拠は薄いのだけど。

その時、彼は手書きで別々のデザインを施した名刺をくれたので素性が絵描きなのだと分かった。いや、先に本人が名乗っていたかも知れない。

彼は見た感じ、孤独を身に纏って血を流してるようにも見えたし、ギラギラした眼の光が挑戦的であるようにも思えた。トータル的にはちょっとした男前なので「むむっ、モテんだろーな」という感想だったと思う。
今は”血を吐いても酒を呑み続けるタイプ”だな、と思っている。

そんなこんなで、彼が京都で個展のあるときはちょこちょことうちに寄ってくれている。それでも全部合わせても5回くらいかもしれない。だから本来は彼の事を”お客様”と呼ばなければならないのだが、どういう訳かウマが合って、「一度、飲みに行こう」と約束している。それ以来、彼が関西に来ていないという事もあって、その約束はまだ遂行されてはいないのだけれど、僕はもう何度か一緒に飲みに行ったような気になっていて、勝手に友達呼ばわりしている。(笑) 考えてみれば随分と失礼な話だ。



さて、肝心の彼の絵なのだけど、”絵本的”とか”寓話 童話的”という評価はもう既に定着しているようで…ただ僕はエドワード ホッパーのナイトホークスという絵が好きなのだけど、彼の絵はナイトホークスを見た時とある種、同じ様な感覚を覚える。(本人は嫌がるような気がするが…笑) それは”心地よい孤独感”と孤独だけれど決して独りで居たい訳ではなく、近くに寄ると”適度に話かけてきてくれる”といった類のものだ。

久しぶりに神戸まで行ってみようと思う。残念ながら休日には行くことが出来ないので、今度もまた”飲み”は持ち越しになるだろうけど。

で、その”お客様”の名前はオーガ フミヒロ氏。

個展は6月21日から26日まで神戸の島田ギャラリーさんで開催されます。

http://gallery-shimada.com/?page_id=1699

★もしお近くに行かれた際には覗いてみてあげて下さい。
よろしくお願いします。



2014年5月30日金曜日

氷の微笑

営業中、お客様の前で氷を割っているとよくこう聞かれる事があります。
「アイスピックで指を突いたりしませんか?」って。

そんな時は決まってこう答えています。
「アイスピックで指を突くようなことがあったら、それはもうバーテンダーを辞めるときですね。かれこれ30年弱この仕事をしてますが、今まで一度もそんなことはないですね」と。
さも当然という風にしれッとね。

… …昨日、やってしまった。
左の人差し指。

ルールの変更をお知らせします。
加齢による衰えのため、ペナルティは累積3回で退場に改正。

当たり前だけど、けっこう痛い。


2014年5月5日月曜日

出来ない相談

数日前。

普段より早めに店に入り、カウンターで氷を使いやすいサイズに割っていた。確か午後3時半頃だったと思う。

入口のシャッターは半分程閉めてあり、身体を屈めないと入れないようになっていた。2階に続く階段の電気も消してあるのでかなり暗い。見知らぬ人が入ってこれる環境ではなかったはずだった…

なのに突然ドアが開いた。

びっくりしてそこを見ると黒人の若い女性が一人で立っていた。

誰かの家と間違えて入ってきたのかと思い、僕は彼女に向かってここはBarだと言った。

すると彼女は「もう営業しているのか?」と尋ねたので、夜の6時から開店すると伝えたら「OK」とだけ言って暗い階段を降りて行った。

観光客のようだったけど女性が一人、それも異国でシャッターを掻い潜って暗い階段から密室に入ることに恐怖はなかったのだろうか?

言葉にするとそれは例えば”安全な国”というような簡単なものになってしまうけれど…







街角に貼ってあるポスターは”取り戻せ! 取り戻せ!”と意気揚々と謳っているけど、いったい何を取り戻すというのだろう。

この国が誇るべきものはもう既に手に入れているというのに。

”星の王子さま”にでてくる狐は言っていた。

「大事なものは目に見えないんだ」


”取り戻そう”  何を? ”手放そう”の間違いじゃないのか。

そう言うと今度はポスターの男に追従する者達から声が返ってくる。

「お前はここだけ安全ならそれでいいのか?!」

まるで無料で配られている薄っぺらな広告入りのティッシュペーパーだ。

ワイドショーで得た詭弁と知識はあっても想像力が欠如している。


その大義は誰が行う?

人より多くの税金を払えば椅子に座っていられるのか?

それともコントローラーのAボタンを連打したら敵を撃破出来ると思ってるのか?

件の島に油をまき散らして更に火をつけた幼稚な作家はその後どうしただろう?

あの島に住み込んで大好きな戦車に乗りながら自分自身で守っているか? 

今頃、高級な羽毛布団にくるまってイビキでもかいて寝てるだろう。

じゃあ、命を危険に晒しているのはいったい誰だ?


フィリップ マーロウは「撃ってもいいのは自分が撃たれる覚悟がある奴だけだ」という小説上の名言を遺したけれど、大義を口にするならその覚悟はあるのか?

いや、撃たれる覚悟の方じゃない。そもそも”撃つ”覚悟を持てるのか?

”引き金”を引くか引かないかは想像力にかかっている。思いやりも優しさも想像力がなければ生まれやしない。


昨日、5月4日はオードリーヘプバーンの誕生日だった。

彼女は晩年、あまり映画には出演しなくなって、かわりにユニセフでの活動を活発にしていた。

そこで彼女はこんなことを言っている。

「いつの日にか政治が人道化する日がやってくるでしょう」と。

残念ながら、日出処の國がその最初ではなさそうだ。






もしオードリーヘプバーンというキーワードでカクテルを選ぶなら、ムーンリバーからの連想でブルームーンでどうだろうか?

このカクテル、実は『出来ない相談』という隠された意味がある。実際に青い月が存在しないことや、バラの品種で同名のものがあるのだけれど、実際には青いバラにはならない事から由来する。


さて、ブルームーンをオードリーヘプバーンの誕生日プレゼントにしてもいいのだけれど、今はそれより先にこの『出来ない相談』を100杯くらい作って無理やりにでも飲ませたい人物が一人、いる。










さよならの符合

コルトレーンと言えばマイフェイバリットシングスを思い出す人は多いでしょう。レコードアルバムもマイフェイバリットシングスがタイトルになっているものがやはり有名ですね。

この曲はA面の一曲目に入っています。では2曲目が何か覚えている人はいるでしょうか?
余程のJAZZファンで無い限り覚えている人はいないのではないでしょうか。逆に言えばそれだけマイフェイバリットシングスが有名過ぎるということですが…

2曲目のタイトルはEverytime We Say Goodbyeという曲です。

実はこの曲、前から気になってたのです。
タイトル、僕たちがサヨナラをいうときはいつも…って、なんか意味深でしょ? なんとなく村上春樹のタイトルっぽくもあるし。
コルトレーンの演奏ではボーカルは入ってなくて、どちらかというと殆どソロにちかく、スローナンバーでそこはかとなく悲しい曲ですか、きっと歌詞が存在するのだろうと思っていました。


探してみました、歌詞。
以外にも想像していたのとは全然違って、どちらかと言えば可愛い内容の歌詞でした。

彼氏のいる女の子の幸せな気持ちと、会えないときの寂しさを歌ったもので.「サヨナラをいうたび、私は少し死んでしまう。神様は意地悪、彼を行かせて知らんぷり。彼といると春風が吹くようで、それは素敵なラヴソング。でも明るい歌も突然、色をなくしてしまうの、サヨナラをいうときはいつも…」と、こんな感じの内容です。

ところで、この歌詞を読んで気になったのは冒頭の部分。”サヨナラをいうとき、少し私は死んでしまう”というところ。

探偵小説ファンなら一度は読むチャンドラーの”長いお別れ”。
エンディングで主人公のフィリップマーロウが彼女との別れに際して同じようなセリフを言うのですね。
「サヨナラを言うことは少しの間、死ぬことだ」と。(清水俊二 訳)

昔、これを読んだとき、何か”少しのの間、死ぬ”っていう言い回しがピンとこなくて、チャンドラー独自の世界観かなあ、なんて思ってたのですが、ここでこの歌詞をみたとき、どうもこういった”少しの間だけ死ぬ”っていうのは西洋では慣用的に使われてるのかなあと思ったりして…
まあ、殆どどうでもいい話ですがね。

そう言えば最近、村上春樹も長いお別れを翻訳していましたが、彼はこの部分をなんと訳したのだろう?
気になるけど、長編の古典をもう一度読み返す気力も根気もないなあ…


さて、ではサヨナラの場面で相応しい酒は何か?
いろいろあるけど今回はベタでもギムレットにしときましょうか。
もう閉店時間を過ぎているのでギムレットには”遅すぎる” ですけどね。



2014年4月1日火曜日

桜のカクテル

カクテルを作るとき、桜の季節には是非とも使いたい副材料は”桜の花びら”の塩漬けです。

それを使った最も有名なカクテルのひとつがおそらく”春暁”というカクテルですが、ウオッカ、日本酒を使うために大変アルコール度数の強いものになってしまいます。なんとかアルコール弱者(笑)にも優しく飲みやすい、尚且つカクテルグラスを使ったショートタイプの桜入りカクテルは出来ないものか。

そこで考えたのが、バーテンダーなら一度は必ず読むであろうバーテンダーズマニュアルという本に載っているカクテル。


 この本、BARの基礎知識がずらっと網羅されているのですが、巻末に幾つかのスタンダードカクテルのレシピが紹介されています。その中に不思議なカクテルがひとつ。

今まで何冊かのカクテルブックを読んだけど、知る限りここでしか見たことのないカクテル。それがロゼワインダイキリです。

通常のダイキリは有名ですが、そのベースになるラムを飲みやすいロゼワインに取り替えたものです。色も勿論、白色から薄いピンクになります。

いつもこのバーテンダーズマニュアルを読み返す時、このカクテルはバーテンダー側からの勧めがない限り、お客様の方からのご注文はきっと生涯きくことはないだろうなあ、と思っていました。

で、今回の命題に当てはまるカクテルはこれだな‼︎ と、なった訳です。アルコールを飲み慣れてる人にとっては、一気飲み出来るくらいの低アルコールなカクテルですが、ダイキリのレシピにロゼワインを使うアイデアはとても秀逸だと思います。このまま埋れさせるには勿体無い気がするので、せめて春だけでもスポットライトを当ててやろうとBAR月読ではキャンペーン実施中です。(笑)

桜を入れたカクテルを作るとき、概ね咲いた桜のイメージですが、ロゼワインダイキリに桜を落とすと、水面に映った桜並木の中に散った桜の花びらが流れていくような感じでとても気に入っています。


2014年3月20日木曜日

限りなく無力な一滴

アンゴスチュラ・ビターズ
おそらく何処のBarにも必ず置いてあり、にもかかわらず誰にも注意を払ってもらえない地味で知名度の低い酒。ボトルの大きさも15センチくらいとかなり小さめのサイズだ。味は…苦い。

実際、その用途は酒とすら呼べない。
”彼”の仕事の殆んどはマティーニやマンハッタンといったカクテルの香り付け。その制作過程において”一滴”だけ使用される。

元々は健胃剤として調合された薬=薬草酒の一種だ。
Barで悪酔いした時や腹痛の時にチェイサー(ロックやストレートなどアルコール度数の高い酒を飲むときに横に添えられる水又はそのグラスの事)に数滴落として無償で提供される。ただその効能が現在でもあるのかどうかは甚だ怪しいと思われる。おまじない、悪く言えば気休めの一滴に過ぎない。やはりアンゴスチュラ・ビターズはどこまでいっても地味な酒なのだ。




ある日の深夜―――閉店間際に彼女は店に入ってきた。”彼女のお客様”を伴って。彼女は祇園のクラブで働いている、古くからの僕の友人だ。ただし歳は僕よりもかなり若いと彼女の名誉のためには言っておこうか。

童顔でまだ少女の面影を残してはいるものの、年々と化粧は上手くなり、身に付けているものは少しづつ煌びやかになってきている。
何より彼女の”接客態度”が最も時間の経過を感じさせたのかもしれない。



昔、彼女がまだ学生だった頃、月読に来てこんなことを言っていたのが印象に残っている。

「ねえねえマスター、私ね、ヤモリが好きなんですよ。夜に窓から外を眺めているとね、どこからともなくペタペタとヤモリがでてきて羽虫をパクッって食べるんですよー。 ね?! カワイイでしょう? でも先月一人暮らしを始めて引越ししたんで、もうヤモリに会えなくなっちゃったんですよねー」

「それは残念やったねえ…」と僕。

「でもね、昨日の夜、新しい部屋の窓から外を眺めてたら出てきてくれたの、ヤモリが!! ねえ、すごいでしょう!! 私に会いに来てくれたのかなあ…」

そう言って彼女は童顔に輪をかけたようにしてケラケラ笑ったのだった。




―――今夜の彼女はいつになく酔っていた。もとからそんなに酒に強いほうではない。それでもマメに、それでいて強引さを感じさせない程度に”彼女のお客様”に対して、しきりに酒のお代わりを勧めているのはこの店、つまり月読に、ひいては僕に対して少しでも売上を揚げさせてやろうという心遣いなのだろう。ただ、お客様に勧めるということはイコール、自分も飲まなければならないという暗黙のルールがある。


「ねえ、もう一杯飲みましょうか?」

また彼女はお客様に勧める。彼が断る筈も無く、ついに4杯目のオーダーが通った。もちろんここに来る前にも飲んできていることは明白だった。

彼女ひとりだったら、「そんなに無理して飲む必要はないよ」と”友人”として言えただろう。でも今、彼女は”仕事中”なのだ。興醒めしてしまうような野暮なことは言えない。

こんな時、いったいバーテンダーに何が出来るだろう? いや、実際に何も出来はしないのだ。ただ彼女と彼女のお客様が話に夢中になっている間――その隙に作りかけのオンザロックから手を放して、水を足すふりをしながらアンゴスチュラ・ビターズを取り出し、彼女のチェイサーに一滴だけそれを落とす。

それは限りなく無力に等しい一滴に違いない。


思うにBarには華やかなカクテルや高価なウイスキーが無数に存在する。けれどもしバーテンダーの仕事を最も象徴する酒は何かと問われたならば、この無力で地味なアンゴスチュラ・ビターズこそが、もしかしたらそれに相応しいのかも知れない。

無力にも等しい行為を誰にも気づかれることなく行う。けれどもそこに”意味”だけは存在する。


今回も”気づかれず”に終わるはずだった。
ところが僕はついうっかり忘れていた。彼女がとても聡明であり、記憶力がいいことを。

以前、彼女は僕に尋ねた事があったのだ。バックカウンターに置かれている小さく地味なアンゴスチュラ・ビターズを指さして、「あれは何?」って。

あの時、一通りアンゴスチュラ・ビターズの説明をした後、彼女は「へぇー、なんだかヤモリみたいなお酒ですね!!」と言った。

それはアンゴスチュラ・ビターズのサイズが小さいことからの連想だったのか、その存在感になにかしらの共通項を見つけたのかは分からない。


そんなことがあったものだから、彼女がアンゴスチュラ・ビターズ入りのチェイサーを口にしたとき、その一滴に込めたメッセージを彼女はすべて理解したのだろう。それからほどなくして彼女はタクシーを呼んだのだった。



”お客様”を先に乗せて彼女がタクシーに乗り込む際、僕は彼女にだけ聞こえるようにこう言った。

「今度またゆっくりおいで。酒は飲まなくていいから紅茶でも…」

すると彼女は顔を上げて一瞬だけ真顔になり、そのあと少し恥ずかしそうに笑った。その時だけは以前にヤモリの話をした時のような少女の顔だった。

次の日、彼女の二日酔いがどれ程のものだったか?

―――アンゴスチュラ・ビターズが効いたかどうかは未だに聞いてはいない。



2014年3月13日木曜日

十三夜

見上げれば東の空に月ひとつ

満月ならば愛でられように
三日月ならば見取られように
満に足らず 若きに戻れず

昇ってみたはいいものの
何処に落つるか思案六歩

 彷徨うように歪みながら
十三夜の見限られた月ひとつ


2014年3月10日月曜日

ノルウェイの森とマティーニと

ちょっとした用事で久しぶりに実家に帰り、聴きたかったレコードを持ち帰るついでに本棚にあったハードカバーの”ノルウェイの森”を手提げ袋に詰め込んできた。


ちょっとした用事で久しぶりに実家に帰り、聴きたかったレコードを持ち帰るついでに本棚にあったハードカバーの”ノルウェイの森”を手提げ袋に詰め込んできた。

 大学生の時、失恋した。
その時の彼女が”別れ際”にくれたのが、このノルウェーの森だった。
 当時、物語の内容に何か意味やメッセージがあるのかと慎重に読んだのだが、わからなかった。今だにそれはわからない。そもそも意味なんて無かったのかも知れない。
まあ、今となってはどうでもいいことなのだけど。

店のテーブルにノルウェイの森を並べてみた。相伴する酒はドライマティーニが相応しいように思う。


 僕は村上春樹氏の作品の面白さがよくわからない。喪失感というのは現実だけで沢山で、本を読んでまで味わいたくはないと思ってしまう。
 村上春樹自身が口にしてはいないが、氏のファンがよく使う”自分探し”というフレーズも苦手だ。

 村上春樹氏のエッセイは好きなのだが、物語になると途端に難解になる。ある程度は解るのだけと、その向こうにある筈の扉がどうしても開かない。或いは近親憎悪に近いものかも知れない。

 誤解されたくないのだけれど、キライなのではなく、ワカラナイ、のだ。

 難しいな、と思う。

それ故、どうして彼の作品はあんなに売れるのだろうと不思議で仕方ない。ま、自分の読解力がないだけの話かもしれないけど。

それと同様にドライマティーニの味もよくわからない。
 美味しさのバランスを無視した極端な禅問答のようなレシピで、どうしてあんなに人気があるのだろう?
 強いアルコールに弱い筈の日本人の多くが、あの強いマティーニを人気No.1に押し上げることがとても不思議で仕方ない。

そして僕はこの仕事をしているのにもかかわらず、未だにドライマティーニの美味しさが理解出来ずにいる。

きっとこちらも”扉の向こう”があるのだろう。

ただやはり、村上春樹にしてもドライマティーニにしても、その”人気”に対してはかなり懐疑的ではある。

まあ、村上春樹に対しては失恋した逆恨みが、若干、無くもない…かも。(笑)

2014年2月17日月曜日

人間なんて

ちょとだけ昔の話。
 僕がまだ自分で店をしていなかった頃、たまに飲みにいく居酒屋があった。

ある時、そこの店主にいつか自分でbarをやるつもりだと話した。するとその店主が一手ご教授下さった。

曰く、世の中を賢い人と馬鹿な人に分けると圧倒的に馬鹿な人が多い。ゆえに賢い人にしか分からない商売をしても儲からないよ、例外もあるけどね。だから馬鹿相手に馬鹿に解るものを売らないと成功しないから。安いとか、量が多いとか、流行ってるとかね。
…と。

 以来、そこには行かなくなったのだけど、たまに何かの拍子でこの店主殿の格言を思い出すことがある。

 先日、割烹着が売り切れたという話を聞いて、ふとこの話を思い出した。

たまにね、こんな話を聞くと毒されそうになるけども。

くだんの店はもう今はない。
もしあの時に戻れるのなら、彼のセリフの後にこう付け加えてあげたい。

 店だって類は友を呼ぶんだよ、と。


2014年2月6日木曜日

伊藤博文さん

月読の前の店の時からのお付き合いあるお客様。

 久々にお見えになって「義父の介護で忙しくて中々、出かけられない」とのこと。

105歳だそうです。
 明治生まれ‼

若者よ、明治って知っているか?
チョコのメーカーじゃないぞ。

そのお父様、しっかりしてらっしゃるようで、何かに立て替えてもらっていた金三千円なりを今日、そのお客様に返してくれたそうです。
…ピン札の旧千円札。
お父様の財布には現在流通してる紙幣、貨幣はないんだろうね。
 聖徳太子や五百円札もあるのかな?

 凄いぞ、明治生まれ!

 介護、頑張ってください。
する方、される方、どちらもね。

 因みにこの三千円で今日の月読のお支払いでした。


2014年2月3日月曜日

アートテイタム

雨の日はだいたいMJQをかける事が多いのだけれども…こんな暖かい冬の夜の雨はどうにもしっくりこない。

なのでアートテイタムとベンウェブスターにチェンジ。
このアルバム、テイタム グルーブ マスターピーシズはジャズレコードの中でマイベスト10に入るくらいのお気に入りで、A面一曲目の’’風と共にさりぬ”が今夜の雨にはぴったりくる気がする。

お供の酒も思い切ってコーンウイスキーにしようか。


2014年1月31日金曜日

たけやぶやけた

あけましておめでとうございます。

本日、1月31日は陰暦での新年ですので、”月読”的にはこちらが正式な暦となります。

今年も宜しくお願いたします。


さて新年でおめでたい話がいいので、最近、お客様から聞いた話を。

竹。

その客様は「なんの役にも立たない話ですが…」と前置きした上で…


竹には雄と雌があるそうです。
ただ種としてあるわけではなく、異種二つを便宜上、雄雌に分けただけであり、別に甲と乙でもいいのですね。

で、どう違うかというと雄は地面から数えて最初の節に枝が1本、雌は2本出てるという違いだけで見分けるのです。

大筋の話では雄は日本古来の竹で、雌は平安の頃に中国から来た孟宗竹ということですが、この話がややこしいのは地域ごとや竹を扱う職業などでルールが違っていて、ある場所では雌が雄になっていたりします。

でもまあ、どっちでもいいんですけどね。大方の人にはそんなのは日常…というか恐らく一生関係ないですから。

ただ気になることがひとつ。

筍、雌の方が美味しいらしいですよ。(ここでは孟宗竹が雌。京都の竹は殆んど孟宗竹で、門松に使うのは日本古来の竹ということです。虫も竹もオンナの方が強いんですね…ああ人間も)

心情的にはなんか在来種の筍の方が美味しくあって欲しかったような、まあ、これもどうでもいいですね。


ところで筍の雌はどうやって見分けるのだろう? 枝、出てないし…

雄雌が混在している竹林でニョキっと出てきた筍が”誰の”子供か分かるのだろうか?

それとも孟宗竹オンリーの竹林から採れた筍なのか?

このお客様の話やネットなんかで調べてみると、多くの竹林は混在していて、里山の奥深くは大陸の影響を受けずに在来種だけの竹林だそうなのだが…

あと実際に味はどのくらい違うのかなあ。

結局、全てにおいてよくは分からないけど”まったく役に立たない話”でもなかったみたいで、ちょっと本格的な春が楽しみになってきた。

春、料理屋に行った時、こう注文しようと思う。

「筍の雌、下さい」と。


カクテルに”バンブー”という明治時代に横浜で生まれたものがあります。

シェリーをベースにベルモットを加えた食前酒向きの爽やかなものですから、バーコーナーのあるようなフレンチレストランに行かれたときはオーダーしてみては如何でしょうか?

ただし「雌のバンブーください」とは言わないようにお願いします。


2014年1月30日木曜日

大文字山

冬の休日。

日頃の運動不足を解消すべく連れ合いに引っ張られて、五山の送り火で有名な大文字山にアタック。

まあ、登山といっても付近の人は普段からの散歩コースにするような山なので小一時間程を歩けば山頂につくのだけれど。(犬を連れる人も何人か見かけた)

山に行く前、遠足にはサクマドロップとかキャラメルが要るなと思っていたのだが、麓付近は銀閣寺という観光のメッカで軒並み土産屋さんしか見当たらない。

コンビニがない…

連れ合いは八ッ橋を買っていこうと言い出すが何か嫌だ。

そうしてる間にどんどん進んでいって土産物屋の通りも最後の一軒となる。
最後の店はシュークリーム屋さん・・・

連れ合いは山の登山口に進もうとするので仕方なく妥協。急遽、ドロップからシュークリームとなるが、ここで大きな誤算が。てっきり紙袋に入っていると思った2コのシュークリームは個別に口のあいた小さな銀紙で手にもって食べ歩きが出来る用のもの。

山に登るので手ブラで来たのに、右手に連れ合いの分のカスタードのシュークリーム、左手にクリームチーズのシュークリームを持ちながらの苦しい態勢での登山が始まった。

坂を登りながら両手にシュークリームを潰さないように持っているので、手を振って歩けない。これはかなりしんどいことが分かる。10分ぐらいが過ぎた頃、仕方ないので食べながら歩くことにしたのだが、これも思っていたよりかなり苦しい。息が出来ないし、喉も乾くし。

もう次からは山を登りながらシュークリームを食べるのはやめようと心に誓う。

あぁ、サクマドロップ…


そんなこんなで怠けて固くなった体に鞭打ちながら、ひーひー言いつつ何とか頂上にたどり着く。

400メートルとはいえ、京都盆地が一望できる眺めは壮観で気持ちがいい。


「あそこが御所や」とか「あそこは加茂川や」とかなんだかんだ言いながらも結構、盛り上がる。




さて、家に帰ってピザ生地を作り、リオハのワインで登頂成功の祝賀会をする。


日常ではないけれど、非日常というほどかけ離れてはいない、そんな休日。