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2012年4月17日火曜日

最も好きな”ラスト・シーン”


★BARのお客様の中にはミステリー好きが多くいらっしゃいます。「お勧め、何かあります?」と聞かれたらジェフリー・ディーヴァー作”リンカーン・ライム”シリーズの中の一冊、”石の猿”を挙げています。
★事故によって脊髄を損傷し、小指しか自分の意思で動かせなくなった主人公のリンカーン・ライム。天才的才能を持った元、科学捜査官の彼は車椅子に座ったまま、科学的証拠をもとに凶悪犯罪者を追い詰めていくという人気のシリーズですが、その4作目が”石の猿”です。
★それまでのシリーズで、主人公のライムは「科学がすべて」「証拠が絶対」という、一切ぶれないスタンスで事件を解決していくのですが、”石の猿”の事件ではそれが通用しなくなる事象が起こります。その鍵を握るのが中国系の刑事ソニー・リーの存在。
★当初、ライムの最も嫌いな「科学と対局にいるタイプ」のリーと徐々に理解を深めて、科学と東洋思想の両軸で事件を解決していく様も楽しいのですが、”石の猿”を推す理由は何といってもラスト・シーンの良さです。今まで読んだミステリーの中で、エンディングの秀逸さが群を抜いているのです。もちろん個人的な、まったくの主観ですが・・・
★最後の場面、ライムと彼の恋人が部屋でリーに教わった囲碁を打ちます。取り立てて多くの事が語られる訳ではなく、その情景の中での”行間を読ませる”量が膨大で、心の中に”切なさ”や”寂しさ””哀しさ”といったものがどんどん溢れてきます。
★でも、ボロボロ涙を流すといった感じではなく、ほんの少し目頭が熱くなり、心がギュッと締めつけられるような感じです。ちょうど今頃、桜が散っていくのを見る感じといえば解りやすいでしょうか?


★常連のお客様にA女史がいます。以前、ミステリー好きの彼女に”石の猿”をお貸ししたことがあったのですが、彼女は月読からの帰り道、電車内で読み始めて、降りるべき駅を乗り越し、適当に降りた駅の近くのコンビニの駐車場で雨の降る中を朝までかかって読破(上下巻)したという豪快な逸話があります。
★先日、久しぶりにA女史がいらっしゃって「他にお勧めは?」と聞かれたので、「ライム・シリーズの”コフィン・ダンサー”もいいですよ」と話しましたが、これはまたの機会に。
★最後にBARらしくお酒の話。リンカーン・ライムはスコッチが好きなようで、特に初期シリーズはマッカランを好んでいたように記憶しています。
★小説や映画に登場する”インテリ系探偵”はほとんどバーボンやビールではなくスコッチを好みます。これはおそらく、酒という小道具でその人物のキャラクターをより鮮明に浮かび上がらせるためなのでしょうね。

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