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2012年5月14日月曜日

望郷の酒は夜店の味


★風にのってどこからか列車が走る線路の音が聞こえてくることがあります。汽笛の響きや線路の音、それから駅そのものが何かしら旅愁を感じさせてくれますね。
★子供の頃、私にとって汽車に乗ることはイコール、”田舎に行く”ということでした。生後2年間、母方の祖父母のもとに預けられていたこともあって、田舎の景色こそが自分の”原風景”の大部分を占めています。★バス停の隣のガソリンスタンドのオイルのニオイ。竹林のざわめき。役場のサイレンの音。駄菓子屋の当て物、買わずに見ているだけのプラモデル屋。縁側の火鉢の蓮の花。夜中にトイレに起きたとき、決まって鳴り出す意地悪な柱時計。蛍取り、そして夏祭り。



★宅地開発が進み昔の景色はもう殆ど面影を残しておらず、なにより両方の祖父母も他界してしまって、もう帰るべき田舎はなくなりました。ただひとつ、夏祭りだけは昔の風情のままです。毎年、NHKがニュースで放送するくらいの大きな行事ですから、これからもそんなに変わることはないのでしょう。★夏祭りでは貰ったお小遣いの分は夜店で何を買っても自由でしたが、あるものだけはいつも苦い顔をされたものでした・・・



★最近、BAR月読ではとくにアルコールに弱いお客様にお薦めしているお酒があります。★ポモー・ド・ノルマンディー (シャトー・ド・ブルイユ)という、とても覚えにくい名前のブランデーとリキュールの間の子です。
★カルバドスという林檎で造ったブランデーがあるのですが、このお酒はカルバドスに原料の林檎ジュースをブレンドして度数をワイン程度まで下げてから樽熟成をするため、アルコールに弱い人でもストレートやロックで美味しく飲めます。林檎の香りが鮮烈で爽やかな甘味も感じますが、ブランデーの風味もしっかり残っているので、飲み慣れた方にも食前酒や食後酒などに最適です。

★このポモー・ド・ノルマンディーを飲むと、何か不思議に懐かしい感じがします。それが何故だかずっと解らなかったのですが、久しぶりに今日、風にのって電車が走る線路の”カタンコトン、カタンコトン”という音が聞こえたとき、急に思い出しました。★夏祭りの夜店。いつも最後まで食べ切らずに”中身”だけ残して、両親に小言を言われていた林檎飴の味です。

★ ♪ 線路は続くよ、何処までも ♫ という歌があります。祖父母が亡くなり、住んでいた家もなく、もう汽車に乗っても線路は田舎には続いていないのだと思うと、つい風が吹くと線路の音を探してしまいます。

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