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2012年6月25日月曜日

もし僕らのコトバがカクテルであったなら

★BARでの仕事の段取りは次の5つがあります。
  1. 開店準備
  2. 営業
  3. 閉店・片付け
  4. 明日の準備
★そして5番目が”いつか来る日のための準備”です。たとえば、明日は必要ないかもしれないけれど、いつかお客様から注文されるかもしれないカクテルの準備(研究)とかです。

★今回は私流の5番目の内容をお見せいたします。

★準備・研究対象はカクテル、”コスモポリタン”です。某人気TVの影響で一躍、有名カクテルの仲間入りを果たしました。


~コスモポリタン・レシピ~(幾つかバリエーションがありますが最も一般的なものを掲載)
  • ウオッカ 30ml
  • ホワイト・キュラソー 10ml
  • ライム 10ml
  • クランベリー・ジュース 10ml
~名前の意味~
  1. 世界的視野と行動力とをもつ人。世界人。国際人。
  2. コスモポリタニズムを信じる人。世界主義者。
  3. 定住しないで、世界を放浪する人。
***ちょっと補足***
月読ブログでは本来、なるべくレシピなどの掲載は省略することを心がけております。これはお客様側に実用性のない知識は不必要であり、もっとお酒を感覚的に楽しんでいただきたいとの思いがあるからです。 また、ブログ内容を”検索”することで得た、自分の血肉となっていない知識をコピーするように綴るよりも、自分の言葉でBARやお酒の楽しさをお伝えしたいと思っているのですが、今回は内容上、どうしても必要だったので、「コスモポリタンの意味」は検索して得たものをそのまま写させて頂きました。


★実はもうすでにコスモポリタンは自分なりに上記のレシピをアレンジして使っていました。(コスモポリタンなどの新興カクテルは厳密なレシピが存在しないことが多く、店や本によって様々です)

~アレンジ版・コスモポリタン・レシピ~


  • ウオッカ 20ml
  • ホワイト・キュラソー 10ml
  • ライム 5ml
  • クランベリー・ジュース(濃度の高いペースト状のもの) 25ml

  • ★アレンジした理由は、ショート・カクテルのアルコール度数が日本人の体質には不向きなので、なるべくアルコール含有量をへらし、ペースト状のクランベリーを使うことでジャムのような少しトロ味のある一風変わった飲みやすいカクテルにするのが目的です。

    ★さて、ここからは私の勝手な個人的解釈です。おそらくどの検索エンジンにかけても出てはこないと思います。したがって確かめようがなく、もしかしたら全然的外れの内容かもしれないことをお断りしておきます。

    ★コスモポリタンというカクテルの誕生は比較的新しいはずなのですが、諸説あって定かではありません。ただアメリカ生まれなのは確かなようです。

    ★そのことを踏まえて考えるに、私はこのカクテルが好きになれません。それはこのカクテルをこう解釈しているからです。

    (A)名前の意味(1)(2)に「世界的視野と行動力とをもつ人。世界人。世界主義者」とありますが、これはアメリカという国とアメリカ人の”世界での有り様”を象徴。グローバルスタンダードを掲げるアメリカの立ち位置を垣間見るように思います。

    (B)レシピの隠喩が象徴するもの。
    • ウオッカ=ロシア『資本主義の席巻、敵対勢力の崩壊』
    • クランベリー=アメリカ南部(好んでよく食べられる)=黒人『人種差別』
    • ライム=メキシコ『領地拡大・制圧』
    • ホワイト・キュラソー=白人
    ★以上のことから、このカクテルの作者の意図を推測すると『アメリカのアメリカによる、アメリカのための世界』と考えてしまいます・・・勘ぐりすぎの妄想でしょうか?

    ★まあ、そういう勝手な解釈をしているのでこのカクテルはあまりいい印象は持っていないのですが、ご注文はよくいただきます。確かに味は美味しいですしね。


    ★で、当初の準備・研究にもどります。今回、以前アレンジしたカクテルを更に踏み込んで、フレッシュ・クランベリーの実を使いまして、レシピを以下のように変えて作ってみました。
    • ウオッカ 20ml
    • ライム 15ml
    • ホワイト・キュラソー 15ml
    • フレッシュ・クランベリーの実 6個
    • ガム・シロップ(クランベリージュースの甘味の代用) 5ml
    ★以上をミキサーでミックスして、さらにシェークして飲んでみたところ・・・
    ・・・見事に・・・失敗。

    ★ちょっとアルコールが立ち過ぎるし、残念ながらこの試みの核である生のクランベリーの皮は、口の中でガサガサしすぎでした。

    ☆ーーー☆ーーー☆

    ★村上春樹氏は”もし僕らのことばがウィスキーであったなら ”というスコットランドとアイルランドのウイスキーにまつわる紀行文を書いています。

    ★もし、言葉がウイスキーであったなら・・・”あったなら”の次は・・・?

    ★雄弁なだけがコトバではなく、声高に叫ぶことがコトバでもない。物静かにたゆたう者のコトバを聞くことができたなら、物言えぬ者のコトバに耳を傾けられたなら、もし僕らの言葉がウイスキーであったなら、きっと熟成されて、穏やかで優しい言葉を”感じとれる”ことでしょう。

    ★今回は失敗に終わりましたが、また懲りずにコスモポリタンのアレンジに挑戦してみようかと思っています。コスモポリタンの尊大な言葉を、もう少し優しいコトバで語らせることができるように。それまでは月読でのコスモポリタンの意味は(3)の『定住しないで、世界を放浪する人』にしておきます。

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