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2012年7月14日土曜日

カサブランカ・ダンディー

★ハンフリー・ボガートをご存知でしょうか? 名作映画『カサブランカ』等の主演で有名なハードボイルドな俳優です。彼が活躍していた当時、彼の名は『カッコイイ男』の代名詞であり、今なお映画やTVドラマなどでクールな男を演出するためにトレンチコートを着せるのはハンフリーボガートの影響によるものです。

★ハンフリー・ボガート、通称『ボギー』。彼が好きだったことで有名なお酒があります。これは多分どこのBARにいっても置いてある程、ポピュラーなリキュールなのですが、名前を”ドランブイ”(ドランビュイ)といいます。スコッチ・ウイスキーに蜂蜜や幾種類ものハーブがブレンドされていて、その製法は当時、いまでいう『国家機密』のようなものでした。


★リキュールであり蜂蜜も入っていることから、当然甘いお酒です。ハードボイルドの第一人者であるボギーが甘党であるというのはちょっと微笑ましいですね。ただ、このドランブイの甘さを理解できるのは『苦味を知る大人の男』だけだとも言われていますが、さて真相はいかに。(笑)

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★BARではたまに店の方からお客様にお酒をサービスで(無料で)お出しすることがあります。いくつかのケースがあるのですが、今回はそのうちのひとつのパターンをご紹介。

★たとえば男性が3、4人集まって飲んでいるときです。よくあるのは仕事の話をされている場合。最初は楽しくワイワイやっていたのに、いつの間にか議論が白熱して喧々諤々。どうやら怪しい雲行きです。男性同士が仲間内で論争をしているとき、意見や考え方が3者3様であればモメていても問題ないのですが、これが1対2とか1対3とかであれば要注意です。とくにBARではお酒を飲んで多少なりとも酔っているので普段よりもつい勢いがついてしまいます。その結果、場合によっては収集がつかなくなって大きな傷が残ってしまうこともあります。

★ここで取り返しがつかなくなる前に何とかする方法ですが、お酒でついた勢いはお酒で止めるのがBARの流儀です。

★いよいよ議論が攻撃的になってきた頃、ハードボイルドな男の酒”ドランブイ”の登場です。ただしカクテルとして。

《ラスティーネール》
~スコッチウイスキーとドランブイをロックグラスに注いで作るシンプルなカクテル。意味は『錆びた釘』~


★このカクテルは比較的簡単に(作業時間が短いという意味で、適当に作るという訳ではありません、念のため)できるのですが、こんな場面では3,4杯同時により早く作りたいので、ミキシング・グラスという大きな混ぜるための容器でまとめて作ってしまいます。それを従来のロックグラスではなく小さめのワイングラスなんかに注いで、くだんのお客様の間に割って入ります。(笑) いざ!

★「白熱して話されていますが、ちょっとブレイク・タイムにされませんか?」
「このカクテルは甘口ですが、議論に疲れてくる頃にはちょうどいい息抜きになりますよ」
「勿論、これは店からのサービスです」
・・・だいたいこれでお客様ははっと我に帰って一旦、場は沈静化してもらえます。

★そしてお客様から次に帰ってくる言葉はだいたいこんな内容です。
「ああ、ちょっと騒がしかったかな? 申し訳ない。」
「では遠慮なくいただきます」
「ありがとう」・・・etc

その後、最後に必ずこう聞かれます。(もし聞かれなければ自分からいいますが)
「で、このカクテルの名前は何?」と。

★「このカクテルの名前は”ラスティー・ネール”といいます。ハンフリー・ボガートが愛飲したリキュールで作られています。」

★ご年配の方ならボギーの演じたスマートな主人公を思い浮かべたりされるのでしょうね。で、その後に続けてこんな説明を付け足します。
「ラスティー・ネールの意味は”錆びた釘”なのですが、スラング(隠語)では”頑固者”らしいですよ(笑)」と。


★お客様はちょっとだけ苦笑いをされて、後は争うことなく収めてくださることになります。どんなお客様にも通用する訳ではありませんので、いつもこの手段を使うことはありませんが、状況を判断して瞬時に最も望ましいお酒を提供するのはバーテンダーという仕事の見せ場でもあるのです。ちょっとエラソーですか?(笑) _(_^_)_ 

★ところでBARでの言い争いで男性同士の場合は収集がつきやすいのですが、これが女性同士になるとカクテルなんか…ましてや男の仲介ではまったく歯が立ちません。逆らうことなく嵐が過ぎ去るまで待つことにいたしましょう…出る幕はなしです。

★かつて沢田研二氏が往年のヒット曲『カサブランカ・ダンディー』でこう歌っていましたが…


「ボギー! ボギー! あんたの時代は良かった。 男がピカピカの気障でいられた」


★さてもうひとつのケース。男と女の言い争いにはどうしましょうか?沢田研二ならこう言うでしょうね。

「勝手にしやがれ!」と。








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